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これが運命ではなかったとしても  作者: gacchi(がっち)


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25/57

25.女性騎士

次の日、学園から宮に帰ると、アルフレッド様とアズが出迎えてくれる。


もうすぐ女性騎士四人がここに連れて来られると聞いて、

気がつかれないようにゆっくりと息を吸った。


……私のための護衛なのだから、落ち着いて。


アルフレッド様が気に入っているかもしれない、

なんて思ったことだけで落としたりしちゃいけない。


少しして、わぁという女性たちの声がした。

どうやら宮の扉から中に入って来たらしい。


連れて来られた四人はアルフレッド様の宮に入れたことで、

見るからに浮足立っていた。


それを見て、アズがため息をついた。


「これは一人もいないかもな」


その小さなつぶやきは私には聞こえたけれど、

アルフレッド様には届かない。

何事もなかったように、冷静な表情のままだ。


「アズ、面接をしてくれ」


「わかりました」


一人ずつ前に出して質問を重ねていく。


どうして女性騎士になったのか、

護衛として覚悟はあるのか、

人を切ることにためらいはないのか、


そして、アルフレッド様によこしまな想いはないのか。


一人、二人と脱落していき、最後の一人になる。

あの背の高い女性騎士はドロテと名乗った。


「私は覚悟を持って騎士の仕事についています。

 護衛として選ばれたなら、ルーチェ様を命がけで全力で守ります」


「どうしてそう思ったんだ?護衛なら王妃もシンディ様もいるのに」


「……アントシュの戦いで恋人が亡くなりました。

 彼はアルフレッド様の部下として亡くなったのです。

 ですので、私も……アルフレッド様の部下として生きたいのです」


アントシュの戦いで亡くなった?

あの時、死亡者は一人もいなかったはずなのに。


おかしいと思ったけれど、ドロテは嘘をついていない。

精霊たちは警戒しているけれど、その言葉には何も反応しなかった。


アズが振り返って確認してくるので、嘘はないと合図を送る。

その答えに動揺したアズは、アルフレッド様に確認した。


「アルフレッド様、あの時の戦いに死亡者はいましたか?」


「……いや、いなかった。誰のことを言っているのかわからない」


「そんな!トーニオです!トーニオ・フレゴリ」


「トーニオは……行方不明者だ」


「彼が逃げるわけがありません。

 戻ってこないのなら戦死したに違いないと……」


「そういうことか……わかった。

 アズ、面接は終わりでいいのか?」


あ、まだドロテには聞いていない。

アルフレッド様によこしまな想いはないのか、と。


だが、恋人が亡くなったと訴えるドロテにその質問はできなかったのか、

アズの面接は終わってしまった。


どうしよう……三人は精霊が嘘をついていると言っていた。

だが、ドロテは嘘をついていない。


だけど、ドロテだけは採用してほしくない。


迷っていたら、アルフレッド様が口を開いた。


「全員、不採用だな」


「どうしてですか!」


異議をとなえたのはドロテだけだった。

採用されると思っていたのか、一人だけアルフレッド様に食って掛かる。


「理由は言えないが、採用できない。

 四人は明日からまた剣技場で腕を磨いてくれ。

 そうすれば、護衛として呼ばれることもあるだろう」


「それはアルフレッド様の宮でですか?

 私はアルフレッド様の部下になりたくて騎士になったのです!

 どうか採用してください!」


「とりあえず、今の時点では無理だとしか言えない。

 アズ、四人を帰してくれ」


「わかりました」


まだ懇願し続けているドロテをアズが無理やり引っ張っていく。

他の三人は落ちた理由に心当たりがあるのか、おとなしく帰って行った。


「アズ一人で大丈夫でしょうか?」


「ああ見えて、俺とずっと訓練している。

 女性騎士を引きずっていくくらいは問題ないだろう。

 ここで俺の次に強いのはアズだろうな」


「意外でした……そうなんですね」


二人は幼馴染だとは聞いていたけれど、

アズの柔和な顔立ちからは戦っている場面が想像できない。


しばらくしてアズが疲れた顔で戻って来る。


「……いやぁ、大変でした。

 私はドロテは採用するだろうと思っていましたが、

 どうして採用しなかったのですか?」


「アントシュの戦いで行方不明だったのは、

 俺を襲撃した者たちだ」


「あっ、あの時の!」


「襲撃者でしたか……それでは採用できませんね」


アントシュを奪還する時に死者は出なかったと聞いている。

だが、ベルコヴァへ戻って来る時にアルフレッド様は襲撃された。

三度の襲撃で数名切り倒し、遺体は処分すると言っていた。


ドロテの恋人は、その襲撃者だったということ……。


「ドロテに本当のことを言うわけにはいかない。

 襲撃されたとはいえ、トーニオを俺が殺したのは事実だ。

 それを逆恨みされても困るからな」


「そうですね……それにしても護衛が一人も見つかりませんでしたね」


「それは仕方ないな……。

 危険なものをルーチェのそばに置くわけにもいかない。

 侍女たちに頑張ってもらうしかないな」


結局はドロテも採用されなかったことにほっとした。

もし採用されていたら、私はどうしたのかな。

気に入らないから不採用にしてと言えたのだろうか。


とりあえずは誰も採用されなかったのだから、

アルフレッド様のそばに女性が来ることもない。

そう安心していたのだけど、ドロテはあきらめなかった。




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