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弟子

「ほんっとに焦ったんだからね!溶けるなら溶けるって言ってよ!」

『お嬢ちゃんが無理な扱いするからやで。そもそもロゼ単機がスラスター全力で超長距離を移動するなんて聞いたこともないわ』

「ホロだって『できるもんならやってみぃ』とか言ってたじゃん!」

『それをそのまま受けとってやる奴がおるかいな!ハンガーの外に単機用の飛翔ライダーがあったやろうに!初っ端でぶちかましたあとは制御が乱れたあの子らにライダーに乗って近づいて各個撃破。そう言おうと思ったらどっかの誰かさんはいきなりフルスロットルなんやもんなぁ。Gで潰されてぺちゃんこになりかけたわ、どあほ!』

「誰があほよ!?大体あんたが——」

『ええから口つぐみや。もう管制室やで』


 いつの間にか管制室に着いていたようだ。大きな不満を抱えながらも、私とホロ中に入る。


(——うっ)


 Aクラス全員からの突き刺さるような視線。

 一人だけ微笑んでいる人がいたが、見ればアンナ理事長である。あれはノーカウントだ。

 ちょっとだけ、いやそこそこにやりすぎてしまった気がしたのだが、そう思っていたのは私だけではないようだ。


(『うそやろお嬢ちゃん。あそこまでしておいてそこそこやと……!?』)


 ホロがやばいものを見つめるかのような仕草をする。ナノマシン集合体なので目などはないのだが、明らかに引いている様子だ。

 どうしようと引き攣った笑みを浮かべる私。

 その瞬間、今まで俯いていたロジャーが、勢いよく顔を上げた。彼はまっすぐ私の元に歩み寄ると、ためらいなく、深く頭を下げた。


「すみませんでした!サーシャ講師の実力を疑うような、生意気な口を利いたこと、お詫びします!」


 突然の潔い謝罪だった。


「あ、ううん、気にしないで。私もちょっとやりすぎちゃったし、座学ではクラスメイトになるんだし、よろしくね」

「——あれで、ちょっと?」

「——まじかよ、あれで本気じゃないのかよ」


 幾分周りがざわついたが、誤魔化そうと構わず私が差し出した右手を、ロジャーはがっしりと掴んだ。そして真っ直ぐな瞳で、こう言った。


「——俺を、弟子にしてください」

「…………へ?」

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