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世界滅亡の時空恋愛  作者: 小泉
第1章 別の時空での転機
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02 運命を変えるリンク

気がつくと、立偉は自分が漁港にいることに気づいた。

地元の人に尋ねてみると、ここは「鶴田村(町)」という海沿いの地域で、東京都から九百キロ以上も離れているという……


そして彼らは、少し不思議そうに私を見つめていた。


頭の血を拭いながら、それがとても大きな傷であることに気づく。しかもそれだけではない。右手全体に、さまざまな刀傷や血痕が残っていて、動脈近くには本当に血がにじむほどの大きな傷跡まであった……


海面を見つめても、自分の姿は映らない。


前方と現在の服装を触って確認すると、なんと自分の姿が変わっていた——少女になっていたのだ。

しかし、なぜか海面や鏡に顔だけが映らない……


傷の深さが分からないため、とりあえずガーゼで拭い、一番近くのコンビニへ向かった。

だが、この少女はどうやらお金を持っていないらしい……


いや、今はお金のことを気にしている場合ではない。重要なのは——ここはどこなのか? 一体何が起こったのか……


太陽が空から差し込み、ここが田舎の海辺の町だと分かる。

やっぱり……これは魂の入れ替わりだ。まるでアニメやラノベの展開みたいだ……


でも、どういうことだ?

この身体は私のものじゃないし、間違いなく女性の身体だ……


少女の胸元を見る。大きくはない、普通の大きさ。だが全身にさまざまな傷痕があった……


スカートのポケットにはスマホが入っている。画面はひび割れ、破片もこぼれ落ちそうで、何かにぶつけられて壊れたようだ。そこにはうっすら血の跡までついている……


電源が入るか分からないが、試しに指紋で解除すると開くことができた。

しかし、中には何もない。写真もゼロで、ずっと昔の旧型スマホのようだ。だが、この少女はSNSを使っていた……


フォローも友達もほとんどおらず、メッセージ欄には広告の連絡先のようなものしかなかった……


そして、そのSNSに何件もの自殺をほのめかす投稿を見つけた。最後の投稿はわずか一時間前、「さようなら、世界!」と書かれていた……

もしかして、この少女は自殺をしにこの海辺に来たのか?

この手の傷も全部、そのためにつけられたのか……


そんなことを考えていると、背後から声がした。


「おい、澄羽! 大丈夫か! お前の投稿を見て、またあんな馬鹿なことをするんじゃないかって心配で……無事か、澄羽!」


黒髪でツインテールの少女が走ってきた。透け感のある白いロングワンピースを着ている。


私はその少女を見つめた。

田舎だからだろうか、このあたりの女の子たちの服装はどこか特別だ。そんなことを考えている間にも、彼女は必死に私——いや、この身体の持ち主を心配していた。


「……ああ、澄羽。澄羽って、この子の名前なのか……」

どうやら彼女とは友達らしい。


「うん……ごめん、大丈夫だよ、はは……」

適当にそう答える。


彼女は近づき、私の頭の傷を見てこう言った。

「バカ……こんなに怪我してるのに、なんで黙ってるの? 大丈夫だから!」


彼女が私のすぐそばに寄ってくる。こんなに近くで女の子と接するのは初めてで、息が詰まるほど緊張してしまった……

彼女の香りがふわりと漂い、近すぎて本当にドキドキしてしまう……


私は緊張しながらその少女を見つめた。彼女は心配そうな表情で私を見返していた。

私の手の傷口に気づいた彼女は、こう言った。


「おお……またこんなことして、自分を傷つけて……私たち、約束したじゃない?

もしかして、私が君の変化に気づかなかったから、また自分を傷つけたの……?

ごめん、これからはもっと君のことをちゃんと見てるから、もうこんなことしないでね。じゃないと、本当に怒っちゃうから!」


彼女は少し怒ったようにそう言った……


はは……実は私は、この子とどんな約束をしたのか全く知らない。

彼女の名前すら分からない。今分かっているのは、この少女の名前が澄羽で、私は彼女の身体に入り込んでしまったということだけだ。

ということは、その少女は私の身体に入っているはず……


「どうしたの? 何か考え事?」ツインテールの少女が問いかけた。


「はは、いや……でも、君の名前忘れちゃったみたい。私たちっていつから友達になったんだっけ?」私は尋ねた。


「え? いつから? たぶん二日前くらいかな。なんでそんなすぐ私の名前忘れちゃうの? 私は雲歌だよ、もう!」

ツインテールの少女、雲歌はそう言った。


何しろ私は二日前の記憶なんて全くない。というより、この身体の本当の持ち主が誰なのかすら知らない……


そのとき、私は雲歌が長いストラップかネックレスのようなものを身につけていることに気づいた。

雲歌はそのネックレスに手を添え、するとそれがキラキラと光り始め、その光を両手に集めていった。


私は少し不思議そうに彼女を見つめた。

すると雲歌は、その手を私の額の傷口に当てた。すると驚くことに、その傷は瞬時に消えてしまった……


次に、彼女は私の負傷した腕に触れた。するとその傷もまた、すぐに癒えてしまった。


私は衝撃で、信じられない思いで彼女を見つめた。

触れられたときの感覚は柔らかく、温かく、特別な安心感を与えてくれる……


あれは一体何だ……?

私は彼女を見つめながら、今起きたことを言葉で表すことができなかった。


そのとき、私の脳裏に彼女の過去の記憶が流れ込んできた。だがそれは一人称視点で、彼女の顔は見えない。

回想の中の彼女は……もしかして、学校でクラスメイトに孤立され、それで自殺を選んだのだろうか?


記憶はほんの一瞬だけだったが、その中の一場面では、彼女が港から海に飛び込み自殺しようとして、しかし横の漁船にぶつかり、それで気絶してしまった場面があった……

回想はそこで途切れた。


雲歌は私を見て言った。

「どうしたの? なんでずっと前を見てるの? どこか行くつもり?」


私は何が起こっているのか混乱していたが、それでも口を開いた。

「その……聞きたいんだけど……君の能力って一体何? なんであんな光る力を持ってるの?」


雲歌は不思議そうに私を見つめ、こう答えた。

「え? 何言ってるの? だって私は魔女だからだよ。魔女の血を受け継いでるんだよ。忘れたの? 前に永遠に私を信じるって約束したじゃない」

雲歌は笑いながらそう言った……


はぁ? そうなの……?


「その……ごめん、なんだかちょっと寝ぼけちゃって……私の家ってどこだったか教えてくれる?」私は尋ねた。

あまりに奇妙すぎる。とにかく彼女の家に戻って、元の身体に戻る方法を考えたい……


「え? 何それ……まあいいや、じゃあ家まで送ってあげるよ。なんだか本当に寝ぼけてるみたいだね、住んでる場所まで忘れるなんて……」

雲歌はそう言った。


しばらく道を歩き、ようやく澄羽の家にたどり着いた。

このあたりの街並みは東京とはまるで違い、田舎の海辺の雰囲気が漂っており、かすかに潮風の香りが混じっていた。


澄羽の家に着いて初めて気づいた。家にはまともな家具がほとんどない。

鏡を覗き込んでも、やはり澄羽の顔は映らなかった……


巡回してみたが、この家は目測で十五平方メートルにも満たない広さだった。

簡素な部屋を見回していると、机の上に一冊の日記が置かれているのを見つけた。

……ちょっとくらいなら大丈夫だろう。少しくらい覗いても問題ないよな、へへ……


日記を開くと、そこには世界への絶望と無力感がびっしりと書き連ねられていた。

どうやら彼女は友達ができず、いじめのようなものを受けていたらしい……


また、自分がなりたい人生の姿についても記されていた。

何にも縛られたくない、けれども抜け出せない現状。

現実の無力さと、夢への思い――友達を作ること、自分を変えること、生きる目的を見つけること……


最後の一文には、いつから自分がこうなってしまったのか、なぜ世界がこうなってしまったのか……

なぜ、あるいは、あの時こうなってしまったのか……と書かれていた。


鶴田 澄羽のベッドに横たわりながら、俺もそんなことを考えて目を閉じた……


再び目を開けると、そこは青い空間で、床一面に水が広がっていた。

俺はゆっくりと前へ進む……


――ここはどこだ?この水、飲めるのか?……いや、俺は何を考えてるんだ?

それにしても、今日はどうなってるんだ、変な場所ばかり出てくるじゃないか……


その時、前方に一人の少女がしゃがみ込んでいた。顔は見えず、膝に顔を埋めている……


「お前、鶴田 澄羽だろ?何してるんだ、戻らないのか?」俺は声をかけた。


「そう? 本当なら私は死ねたはずなのに……なんであなたがここにいるの……

明日には私は死ねたのに……何でそこで余計なことしてるのよ、このクソ……」澄羽が言った。


「ん?何を言ってるんだ、お前。女の子がそんなトゲトゲしい言い方するんじゃないよ。

お前はもう雲歌と約束したんだろ? ここで腐ってる場合じゃない。

もし本気でその夢を叶えたいなら、愚痴ばかり言ってないで、立ち上がって何か行動しろ!!」俺は言った。


「そう?じゃああんたはどうなの?あんただって同じじゃない。

同じ足踏みを繰り返して、自分がどうしてこうなったかも分からない。

全部から逃げてるだけのクズじゃない……」澄羽はそう言い放った……


「このやろう……いいだろう。じゃあ試してみようじゃないか、俺たちに運命が変えられるのかどうか。どうだ……?」俺は言った。


澄羽はしゃがんだまま俺を見上げ、少しだけ折れたように言った。

「……いいわ。そうしましょう。あなたが誰かは知らないけど……もしまた会えたら、その時は縁があったということね。

次に会うときまでに、あなたがその約束を果たせるかどうか、見せてもらうわ……」澄羽は笑った。


「ああ、約束だぞ、澄羽!」俺は別の方向へ歩き出しながら言った。


「パッ==¥=¥=¥=¥=¥==¥¥==¥=¥=¥=¥¥……」


再び目を開けると、そこは俺の部屋だった。

また元の場所に戻ったのか?

なんとも意味不明な夢だ……だが妙にリアルで、強烈に印象に残る。

雲歌って一体何者だ、魔女?

鶴田町って本当に存在するのか?――そんなことを考えているうちに、学校へ着いた……


教室に入ると、俺の机が外に出されていた。

……何だこれは、どういうことだ、クソッ……


そう言って机を戻そうとすると、後ろから一人の男子が近づいてきて言った。

「おい、昨日班長を罵ったのはお前だろ?お前、男だろ?

女子、それも班長を罵るなんてどういうつもりだ?

クラスの男子の何人が彼女のこと好きだと思ってるんだ?男として恥を知れ……」


そう言うと、そいつは思い切り俺を蹴り飛ばした……

班長か……結局また班長かよ……


「ねえ……立偉、大丈夫?机、戻すの手伝おうか?

ごめんね、止められなかった……ごめん……」玲奈が言った。


班長……またお前か。

俺は玲奈の正面に歩み寄り、言った。

「もういいだろ、班長。いつまで俺を騙し続けるつもりだ?

もう十分だろ。みんなに嫌われても、それで終わりだ。――行け……消えろ!」


玲奈は俺を見つめ、責めることなく、ただ微笑んで去っていった。

ただ、その背中は何かを考えているようで、拳を固く握りしめていた。


周囲の視線は俺に冷たく突き刺さる……

もういい、くだらない。バカばっかだ……


「そうなの? 地雷系の子とはまだ話してないの?

それどころか班長とケンカしたんだ……

前は仲良かったんじゃなかったっけ?

まったく、今のあんたはどうしちゃったのよ!」リヤが言った。


「うん、そうだよ。俺はもう一つの用事を果たしに行くんだ。地雷系を探して友達になる!」そう言い終えて、俺はその場を離れた。


「そうか……このやつ、まだその約束を忘れてないのか?まあいい、まあいい……」莉雅は前を見つめながら言った。


「おいおい、晨安、おはよう。話そうぜ、いいか?」俺は尋ねた。


晨安は俺を嫌そうな目で見て、背を向け、中指を立ててこう言った。

「うるせぇ。あんた、私と話したら友達ができるとでも思ってんの?あんたなんて友達もできないゴミだよ、死ね、低能……」


俺は晨安の様子を見て、少し意外で、そして気まずかった。

その態度は、本当に近づけない。まさに地雷だな、バカ!!


……うん、立偉のやつ、一体何やってんだよ。バカ、そんなことするなよ、アホ……

玲奈は立偉のそばを見つめながら、なぜそうするのかを考えていた。

そう思っていると、横から誰かが玲奈に話しかけた。


また放課後になった。

澄羽のやつと約束したのに、結局何もできず、ただクラス全員からさらに嫌われただけだった。

やっぱり三次元は嫌いだ……二次元、二次元……


あの地雷系とまともに話せるわけがない。最初から最後まで地雷って何なんだよ……

そうだ、あの夢が消えてから、俺は少し変わった。

雲歌……あの時の距離感、あの時の触れ合い、今でもはっきり覚えている。

そうだ、あの時雲歌が言っていた……彼女は魔女だって、そうだよな……


魔女は本当に存在するのか?

でも、鶴田鎮とあの港が本当にあるってことは、俺が澄羽の体に入ったのは事実だ……


でも、もしあの地雷系とすら話せないなら、俺はクラスで本当に何の役にも立たない。

もう、そんな意味のないことは言わないでおこう……


放課後の十字路に差し掛かったとき、地雷系がイヤホンで音楽を聴きながら、ゲームをしつつ前に進んでいるのを見かけた。

信号はすでに赤になっていたが、彼女は止まらず、そのまま進んだ……


その時、一台の大型トラックが横から突っ込んできた。

俺はそれを見て、すぐに駆け寄り、地雷系を引っ張った――


その勢いで彼女は転び、スマホとイヤホンが落ちたが、幸いケガはなかった。


俺は緊張しながら近づき、手を差し伸べて言った。

「大丈夫か?危ないだろ……」


「クソッ、何すんだよ、この野郎、混帳……」彼女は吐き捨てるように言った。

そしてイヤホンが飛ばされたことに気づき、怒って俺を殴った。

「この野郎、私のイヤホン飛ばしやがって!探せ!探さないなら弁償しろ!明日持ってこい!それか払え!それ、だいたい九千円以上だぞ!!」


そう言って、彼女は怒ったまま立ち去った。

残された俺は困惑して、「はぁ……何だよそれ、意味わかんねぇ、バカかよ……」


でも、今の俺は金もほとんどない。飯を食うのも厳しいのに、どうやって払うんだよ……

もう探すしかない。

あぁ、助けなきゃよかった……そのままトラックに轢かれて死ねばよかったのに……


でも、もう一度やり直せるとしても、俺はきっとまた助けただろうな……きっと。


夕日の光が俺の体に降り注ぐ。俺は地面にしゃがみ込み、イヤホンを探した。

けれど、いくら探しても見つからない。何分探したのか、いや、何時間かもわからない。


周りの人たちはスマホをいじりながら、俺にぶつかったり、蹴ったりしてくる。

俺はそんな中、惨めに探し続けた……


どれくらい経ったのだろうか、太陽はもう沈んでいた。腹は減り、視界もだんだんぼやけてくる。あの日から、ろくに飯を食ってない。倒れそうだ。


俺はいつからこんなふうになったんだ……一体、俺は……


もう立ち上がれない。

その時、目の前に一つの手が差し出された――


「……大丈夫か、坊主?立てるか?」


その手の先にいたのは、玲奈だった。


「……なんでここに?大丈夫だ、どけよ。お前がいなけりゃ……」俺は言葉に詰まった。


「……?とにかく、まずは立ちなよ……」玲奈は俺を支えた。


「嫌だ!お前のせいで、俺は……お前があいつらとグルになったせいで、俺はこんな惨めになったんだ。絶対お前のせいだ……」


「パシッ――」


玲奈は俺の頬を軽く叩いた。


「あんた、一体どうしちゃったの?私はずっと助けたかったし、昔みたいな友達の関係に戻りたかったんだよ。それなのに、あんたはずっと逃げて、私を信じようともしない……どうしちゃったの、立偉……」玲奈は少し心配そうで、少し失望した表情で言った。


俺は玲奈を見て、自分の手を見つめ、なぜか胸に刺すような痛みと、悲しさが込み上げてきた。

何とも言えない酸っぱさ……言葉にはできない感情だった。


「ポタ――」


玲奈の目尻から一粒の涙が落ちた。

それは彼女が本気で向き合う相手にだけ流す涙だった。

昔もそうだった。守りたいと思った相手には、彼女はいつもこうして執着してきた。


「俺も分からない……いや、正確に言えば、怖いんだ。これから起こることが怖くて、時間をうまく掴めない。何かをやろうとすると、恐怖で足がすくんで前に進めなくなる。そしていつも間違いを他人のせいにしてしまう……これが俺なんだ。もういいだろ、玲奈。また会える日があれば……!!」

そう言って、俺は背を向け、立ち去ろうとした。


その時、玲奈が俺の手を掴み、静かに言った。


「もう逃げないで。私は、あの時あなたに何があったのかは分からない。でも忘れないで——私たちはまだ友達だよ。友達は、相手が間違い続けるのを黙って見ているだけなんてしない。それって、あなたが昔、自分の口で言ったことでしょう?あなた自身が認めたことでしょう?

あなたはいつも同じ間違いを繰り返してる。まるで真っ暗な夜の中で何度もつまずいて倒れてるみたいに……そしてその一つひとつの失敗は、鏡のように、私たちの未熟さや弱さを映し出してる……」


玲奈の言葉は針のように俺の胸に刺さり、もう何も言い返せなくなった。

その瞬間、理由もなく涙が溢れ出す——止めようとしても止まらない。

声を押し殺そうと口を噤むが、胸の震えはどうしても抑えられなかった。


「まったく……泣くなって……いや、もういい。泣きたいなら泣けばいい。大丈夫だから……」


そう言って、玲奈はゆっくりと俺に近づき、そっと抱きしめてくれた。


「昔もそうだったよね。私はよくちょっとしたことで泣いて、あなたはいつも慰めてくれた。私たちは、ただそれだけの関係だったんだ……」

玲奈は微笑みながらそう言った。


どれくらい時間が経ったのか分からない。

玲奈は俺と一緒に家まで送ってくれた。


耳機イヤホンのことね。そのイヤホン、私も同じの持ってるから、私のをあげるよ。それを直接彼女に渡しちゃえばいい!」

そう言って、玲奈は自分のイヤホンを俺に手渡した。

彼女は優しく微笑んでくれた……


そうだ、俺は一体何をしてたんだ……

あんなにいい子なのに、俺はどれだけ酷いことをしてきたんだ……俺は……


「そうだ、ご飯まだ食べてないでしょ……」

そう言うと、玲奈はコンビニへ行き、おにぎりを買ってきてくれた。


最初は受け取るつもりなんてなかった。

けれど、その強い意志を前に、俺は結局受け取るしかなかった……


玲奈とゆっくり別れ、俺たちはそれぞれの家へ帰っていった。

心の奥に、深い後悔が湧き上がる——こんなに大事な友達を、俺は忘れていたなんて……


だが、本当に問題なのは、もう一度どうやって彼女に近づけばいいのか分からないことだ。

だって、俺たちはもう同じ世界にはいないから……


俺は前に置かれたアニメのフィギュアを見つめ、小さく呟いた。

「三次元の女の子も……悪くないな……でも、やっぱり俺は二次元の方が好きだな……」

——立偉はそう独り言を漏らした。

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