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第3話「お悩み解決!クリモン集合!」

初期に投稿してたやつには登場しなかったキャラが出てきます。

「ここがギルド本部がある街、「ショイサノチマ」。結構規模は小さいけど生活に必要な物はほとんど手に入れる事が出来るわ。」

「お〜。」


アリアの家で一晩を過ごしたツクル、ラッパこうもり、クラバーはその翌日、アリアの案内で街に来ていた。市場があり、屋台もあり、雑貨屋もあり、ツクルがよく読むファンタジー小説に出て来る街そのものだった。


「おい、あれ何だ?」

「さあ…魔物じゃね?」

「魔物が何で人間と一緒にいるんだよ…ってか魔物にしちゃ変な見た目だな…」


街にいる人々は見たこともない魔物を連れているツクルを見てヒソヒソと話す。


「何や?みんなわいらの事ジロジロ見て…ファンか?」

「そんな訳ないでしょ?あまり動かれると騒ぎになるから大人しく…」


その時だった。近くから赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたのだ。


「びぇ〜ん!」

「うん!?赤ん坊の泣き声がする!」


ラッパこうもりはその泣き声がする方に飛んでいく。


「あっ!?」

「ちょっと!?」


ツクル達は慌てて追いかける。


「びえ〜ん!」

「ああ泣かないで〜!良い子だからね〜!」


ラッパこうもりがその場所に辿り着くと赤ちゃんをあやしている母親がいた。


「どないしたん?」

「キャッ!?ま、魔物…!」

「大丈夫大丈夫。わいは危害を加えたりせんど。で、どないしてん?」

「この子、突然泣き出しちゃって…」

「よし分かった!お〜い赤ちゃん、こっち見てみ?」

「びえ〜!」

「ほ〜らいないいな〜い…ばぁ!」


ラッパこうもりは赤ちゃんの前で変顔をする。


「うぇ…?」

「いないいな〜い…ばぁ!」


赤ちゃんはラッパこうもりの変顔を見て泣き止み、笑顔になる。


「キャハハ!」

「凄い…この子1回泣き出したら中々泣き止まないのに…!」

「ほ〜ら良い子はおねんねの時間やで?」


ラッパこうもりはラッパの口で心地よい音楽を奏でる。するとどんどん赤ちゃんのまぶたが閉じていき、スヤスヤと眠ってしまった。


「あ、ありがとうございます!」

「こんなのお安い御用や!」


ツクル達はラッパこうもりに追いつく。


「追いついた〜…って…」

「赤ちゃんを…あやしてる?」

「あっ。ツクルはん、アリアはん。あとクラバー。」

「何をしてらしたんです?」

「この赤ん坊が泣いとったからな。あやしたまでや。」

「本当にありがとうございました!私達はこれで!」


母親は去っていく。


「気をつけて帰るんやに〜。」

「やるじゃんラッパこうもり〜!」

「よっ!あんたが大将!」

「えへへ〜!そんな褒めやんといてや〜!」

「…。」


ツクル達が和気あいあいとする様子をアリアはぼーっと見ていた。


「よ〜し!ラッパこうもりを見習って俺達も人助けしよう!」

「おー!」

「てことで〜!よいしょ〜!」


ツクルは何を思ったか落書き帳をひっくり返し、ポンポンと叩く。


「こんにちはー!チョコミントアイスアイドル!チョコミンドルでーす!」

「マッチョ!マッチョ!私の名はストロングベリーマッチョ!よろしく!」

「俺バッタジン!よろ!」


チョコミントアイスのアイドルモンスターチョコミンドル、マッチョなストロベリーモンスターストロングベリーマッチョ、バッタの怪人バッタジンが落書き帳から出て来る。


「みんな!各々自分達の力を活かして人助けしよう!」

「おー!」


チョコミンドル達は街に出る。


「ちょっ!?あんな奴ら街に放ったら大変な事に…!」

「大丈夫!クリモンを信じて!」

「クリモン?何それ?」

「俺が作ったモンスター!作る…つまりクリエイト。クリエイトされたモンスター!クリエイトモンスター、略してクリモン!」

「ネーミングがさ〜…」


アリアはツクルの安直なネーミングセンスに呆れる。


「アリアはん、あれ見てみてや。」


ラッパこうもりはアリアの頭の上に乗り、街の様子を見るように促す。


「え?」


アリアは街の光景を目にする。


「暑い…最近暑すぎるよ…」

「そこのお兄さん!」

「ん?な、何だ!?」

「私、チョコミントアイスアイドルチョコミンドル!暑いんでしたら私の顔を!」


チョコミンドルはスプーンでアイスである自分の頭の一部を取って男性の口に突っ込む。


「んぐっ!?お、美味しいし…冷たくて気持ちいい!」

「何だ何だ?」

「何してるんだ?」

「貴方達もどうぞ!」


チョコミンドルは集まって来た人々に自分の頭の一部を次々と食べさせる。


「美味しい!ありがとう!」

「お陰で涼しくなれたよ!」

「君は俺達のアイドルだ!」

「いえいえ!みんなを涼しくさせて、美味しくいただいて楽しんでいただくのが私の役目ですから!」


チョコミンドルはアイスである頭が無くなっており、身体であるコーンと手足しか無くなっていた。


「あ、あれ大丈夫なの!?」

「大丈夫大丈夫!」


チョコミンドルは卵、砂糖、牛乳、生クリーム、ミント、板チョコを取り出し、身体のコーンの穴に一気に入れて、棒でかき混ぜる。


「ふん!」


するとチョコミンドルの頭が復活する。


「いやどんな仕組み!?」


アリアはあまりに奇妙なチョコミンドルの仕組みに驚く。


「あ、ストロングベリーマッチョの方もチヤホヤされとるみたいやで。」

「え?」


ラッパこうもりはストロングベリーマッチョの方を見るように促す。


「どりゃー!」

「がっ!?」


ストロングベリーマッチョは中年男性にスープレックスを食らわしていた。


「ふう!これに懲りたらもう悪い事はするんじゃないぞ!」


ストロングベリーマッチョは男性が持っていた財布を取る。


「お嬢さん、取り返しましたよ。」

「ありがとうございます!」


どうやら男性は泥棒らしく、女性から財布を奪っていたのだ。ストロングベリーマッチョはそれを聞いて男性を懲らしめ、財布を取り返したのだ。


「すげぇ…!魔物が人助けした…!」

「ていうかめちゃくちゃムキムキ…」

「どうだい?君達も一緒にムキムキにならないか?」


ストロングベリーマッチョはポージングを華麗に決める。


「お〜!」


人々はポージングの美しさに見惚れて思わず拍手する。


「ストロングベリーマッチョさんすっかり人気者ですね!」

「お、バッタジンの方も凄いで!」


ツクル達がバッタジンがいる方に向くと…


「君、どうしたんだい?」

「迷子になっちゃって…」

「そりゃ大変だ。待ってな。とおっ!」


バッタジンは迷子の男の子を助けるため建物の上に向かってジャンプし、屋上に着く。


「え〜っと…」


バッタジンは街の様子を屋上から見る。すると何かを探している女性が見えた。


「おっ。もしかして…」


バッタジンは屋上から飛び降りる。


「君、しっかり掴まってるんだよ。」

「う、うん。」


バッタジンは迷子の男の子を抱きしめ、建物の屋上をジャンプで渡りながら女性の元へ向かう。


「はあ…あの子どこ行っちゃったのかしら…?」

「ここにいるぜ!」


女性の元にバッタジンがやって来る。


「キャアッ!?」

「君、この人がお母さんかい?」

「うん!」


バッタジンは男の子を降ろす。


「お母さん!」

「坊や!無事で良かった!」


親子は無事に再会し、抱き合う。


「これでいいのだ!」


バッタジンは近くに落ちていた葉っぱをパリパリと食べる。


「じゃあね!次からは迷子にならないように気をつけるんだよ!」


バッタジンは飛び跳ねながらツクル達の元に戻っていく。


「人助けは気持ちいいぜ!」

「みんな喜んでくれて嬉しい!」

「筋肉の素晴らしさを伝えられたから満足だ!」


バッタジン達は集まって人助けをする喜びを分かち合う。


「みんなー!」


ツクル達はバッタジン達に駆け寄る。


「みんな凄かったよ!人の役に立てて良かったね!」

「えへへ!」

「嬉しい限りです!」

「私の筋肉は人の為に使うものだからな!マッチョ!マッチョ!」

「ちょっと!人助けはいいけど、あまり騒ぎを起こさないで!目立つと…!」


アリアは慌ててしまう。それもそのはず、人助けを積極的にするモンスターなんて目立つなんてものじゃない。騒ぎになるに決まっている。そんなアリアの予感はすぐに的中する事になる。


「騒ぎが起こってたから駆けつけてみれば…一体何なんだ?」


一人の青年と一人の女性がやって来る。


「うぇ?」

「あ、あの二人は…!」


アリアはその二人組に何やら見覚えがあるらしい。


「君、そのモンスター達は君の仲間か?」

「え?あぁはい。そうなります。」


青年の問いにツクルはごくごく普通に答える。


「そうか…すまないが、拘束してもいいかな?」

「へ?こうそく?学校のルールの事?」

「それは校則だ。」

「じゃあ行方不明者を探すこと?」

「それは捜索だね。」

「直ちに対応いたします!」

「それは迅速。」

「え〜っと…ここからここまで大体30センチぐらい…」

「それは実測。」

「美味しそうなお肉!いただきます!」

「実食だねそれは。」

「俺の力が欲しいか?ならお前の大事な物を寄越せ。」

「それは悪魔の契約…っていい加減にしろ!」


青年はツクルとの漫才じみたやりとりをするも流石に我慢の限界を迎え、ツクルの頭を叩く。


「ナイスツッコミ!」


ツクルは親指を立てながら倒れる。意外に力は強かったらしい。


「ツクルー!?」


アリアの叫び声は気絶したツクルの耳に届く事は無かった。


「いや、せやからわいらは何もしてまへんって!」

「そうそう!我々はツクルさんや人々の役に立つ事をするのが使命なんです!」

「頼むよ!ツクルを見逃してくれ!」

「お願いします!」

「頼む!」

「気絶から目を覚ませば事情聴取を始める!そろそろ起きる頃だろうから待っていてくれ!」


数十分後、ツクル達はギルド本部がある酒場に連れられており、クリモン達は青年に向かってツクルの弁明をしていた。肝心のツクルはというと…


「う〜ん…」


ギルド酒場の奥の部屋で椅子に縛られていた。


「はっ!?ここはどこ?俺はツクル?」

「ツクル、目が覚めたのね。」


ツクルは目を覚まし、椅子の近くにはアリアが立っていた。


「あ、アリア。」

「はあ…だから言ったのよ!騒ぎ起こすなって!よりにも寄ってあの人達に見つかるなんて〜!」

「あの人のツッコミ鋭かったな〜!もう一度漫才したい!」

「いい加減にして!貴方能天気すぎるのよ!」

「全くね。」


すると青年と共にいた女性がやって来る。


「あ、貴方は…」


ツクルは女性の姿に思わず見惚れる。長い黒髪に美しい顔、スラッとしたスタイルに美しい顔に見合う美しい服。とにかく美しいその姿にツクルの鼻から赤い液体がツー、ツーっと出ていた。


「ちょっ!?ツクル!?鼻血鼻血!」

「我が生涯に一片の悔いなし…!」


ツクルはガクッと首を下に傾ける。


「ツクルー!?」

「ツクルはん!?」


アリアの叫びを聞きつけたラッパこうもり達はドアを開ける。


「つ、ツクルはん!?」

「は、鼻血出してます!?」

「大変大変!早く詰め物詰め物!」

「こんな時こそ冷静になるんだ!混乱するんじゃない!とにかく詰め物を止めるために鼻血を用意して…!」

「お前が一番混乱してんじゃねーか!」


ラッパこうもり達は慌てふためく。


「落ち着くんだ!」


青年はツクルの顔を上げさせ、鼻に魔法をかける。


「うん?あれ?鼻血止まった?」

「全く世話をかけさせる…ちょっとした治療魔法を君にかけた。それにしても君は本当に能天気だな…」

「よく言われます。」


ツクルは笑顔で答える。縛られているという状況を理解していないのだろうか。


「ツクル…貴方いい加減にして…場合によっちゃ貴方出禁くらうわよ…」


アリアはツクルの肩に顔を置きながら自分の状況を理解してくれと懇願する。


「自己紹介をしておこう。僕はこのギルドに所属する冒険者の一人、「シカリ・テルシ」だ。」

「ほうほう…」

「一応このギルドに所属している冒険者の中では上位のランクに入っている。故に、僕はここのギルドの副責任者でもある。」

「副責任者?じゃあ責任者は他にいるのか。」

「そして、こちらは僕のチームに所属している「レーセ・ジメマ」だ。」

「よろしくね。」

「れ、レーセさん…」

「今から君に質問をする。嘘をつくんじゃないぞ?」

「嘘?大丈夫です!俺はこう見えて正直な事に定評があります!」

「じゃあ聞こう。君の出身は?」

「こことは違う世界です。」

「…え〜っと…このモンスター達は?」

「俺が作りました。俺、絵を実体化させる能力持ってて…」

「…えっと…それ本当?」

「本当です。あ、そこの机に置いてある落書き帳取ってください。」

「これ?」


レーセは机に置いてある落書き帳を取る。


「クラバー、頼んだ。」

「はいはい。」


クラバーはツクルを縛っていた縄を切る。


「あっ!?勝手に何を!?」

「ちょっと失礼〜。」


ツクルは落書き帳をレーセから取り返し、絵を描く。


「出て来い!」


落書き帳から光が放たれる。


「ぴょ〜ん!キネウサギだぴょん!よろしく!」


光が収まると杵を担いでいるウサギモンスター、キネウサギがいた。


「嘘…!?」


レーセは驚きの光景に絶句する。


「…。」


シカリは声も出せず、そのまま気絶してしまった。


次回「ギルド登録は調査の後で」に続く。






シカリはいわゆるおもしれー男です。

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