第13話「来たぜキリスタリア!忍び寄る陰謀!」
今回はクリモンが4体新登場!
フォリナからパーティーに来るよう誘われた日の翌日、ツクルは楽しみで楽しみで仕方なくなっていた。
「あ〜!楽しみ過ぎる〜!早くパーティー当日にならないかな〜!」
ツクルは部屋に籠もり、パーティーの日が来るのを今か今かと絵を描きながら待ち侘びていた。
「あいつ、あれからずっと部屋にいるわね…」
リビングではアリアとラッパこうもり、クラバー、チョコミンドルが話していた。
「ツクルはん、テンション上がると絵をどんどん描く癖がありまんねん。」
「そういえば私が描かれたとき…」
チョコミンドルは自分が描かれた時の事を思い出す。
「(明日は俺の推しのアイドルライブだー!楽しみだな〜!はっ!?アイディアが思い浮かんだぞ!ふんふふんふ〜ん♪)」
「って感じでアイドルライブに行く事がきっかけで私は描かれたんですよね〜。」
「そんな経緯で作られたの貴方…」
アリアはチョコミンドルの出生に驚く。
「っていうか、わいらクリモンってツクルはんがこういうのが現実にいたら良いな〜とか友達にこんな奴が欲しいな〜とか、こういうのいたらカッコいいよね!とか可愛いよね、面白いよね!を絵に描いたモンスターやからな〜。」
「今はテンションが上がってますからね〜。どれほど新しい仲間が増えるんでしょう…?」
クラバーは今、ツクルが描いている仲間の事が気になる。
「変な奴じゃなきゃいいけど…」
「ははは。そりゃ無理な話や。ツクルはん、何処か癖強いモンスター描くのが好きやから。」
「ま、そりゃそうね。アンタ達がその最たる例だし。」
「「「「あはははは…」」」」
アリア達は笑い合う。そんなこんなでパーティー当日の朝…
「よし!皆!準備はいいか!」
アリアの家の前ではラッパこうもり達含め、多数のクリモンが集まっており、出発を今か今かと待ち侘びていた。
「いや、作り過ぎでしょ…」
「よし!皆!これからキリスタリア王国のパーティーに行く!くれぐれも羽目を外さず、無礼がないように!何より楽しむ事も忘れずに!」
「おー!」
クリモン達はツクルの言葉に賛同する。
「話を聞いて来てみれば…」
「面白い事になってるわね。」
するとシカリ達がやって来る。
「シカリさん!レーセさんも!」
「まさか君達がキリスタリア王国のパーティーに誘われるなんてね。くれぐれも無礼がないように楽しんでくるんだよ。」
「お土産期待してるわ♡」
レーセは投げキッスをする。
「うっ!?」
そのあまりの美しさにツクルは鼻血を流して倒れる。
「ツクルー!?」
アリアとクリモン達は慌てて駆け寄る。
「先が思いやられるな…」
シカリは呆れる。
「それじゃ行ってきまーす!」
「出発しま〜す。」
ツクルはクリモン達を落書き帳に戻してアリアと共にガターンゴドーンに乗り込む。
「ガターンゴドーン、発進〜。」
ガターンゴドーンはキリスタリア王国に向かう。
「行ってらっしゃ〜い。」
「…」
シカリとレーセは見送るが、シカリは浮かない表情わしていた。
「ん?どうしたのシカリ?」
「何か胸騒ぎがする…気の所為だと良いんだが…」
数時間後…
「キリスタリア王国〜。キリスタリア王国〜。」
ガターンゴドーンはツクルがフォリナから貰っていた地図を見ながら進み、キリスタリア王国に到着していた。
「ありがとうガターンゴドーン!」
「自分に出来るのはこれぐらいですので…では。」
ガターンゴドーンは光になって落書き帳に戻る。
「ここがキリスタリア王国か〜!」
キリスタリア王国の都市は非常にキラキラ輝いており、至る所に宝石店やアクセサリー店、高級レストランがあった。
「わ〜、キラキラ〜…」
「子供の頃来たことあったけどその頃からめちゃくちゃキラキラしてたのよね〜。」
「おっ、あれがお城か。」
都市の中心には城がそびえ立っていた。
「お頼み申します!お頼み申します!ショイサ王国から参りました総三ツクルと申します!」
門の前でツクルが叫ぶと扉が開く。
「お待ちしておりました!」
するとフォリナとガリオがツクル達を出迎えるように立っていた。
「フォリナさん!ガリオさん!」
「来てくださったのですねツクルさんにアリアさん!早速中へどうぞ!」
「へい!」
「はい!」
ツクルとアリアはウキウキで城の中に入る。その様子を上の階の部屋の窓から覗いていた女性がいた。
「うふふ…」
その女性はその光景を見てほくそ笑み、パンパンと手を叩く。
「お呼びでしょうか?」
現れたのはフードの男だ。
「彼らが来ました。計画通りに進めなさい。」
「はっ。」
フードの男はその場から消える。
「ふふふ…彼らを利用すれば…」
女性は緑色の長髪をたなびかせながら不敵な笑みを浮かべ、部屋から出る。
「大っきいお城〜…」
「ホントね〜…」
その頃、ツクル達は城を案内されていた。
「この扉を開けば王室となっています。どうぞ!」
フォリナは一際大きい扉を開ける。
「お〜!君達が噂の!」
玉座には髭を携えた細身の中年男性がおり、隣には美貌を放つ女性、そしてフォリナと顔が似ている女性がいた。
「紹介しますね!こちら、私のお父様でこの国の王、「プラナ・キリスタリア」、こちらは私のお母様でこの国の女王「ダイア・キリスタリア」、そしてこちらが私のお姉様で次期女王候補の「ルビ・キリスタリア」です。」
「プラナ・キリスタリアだ。よろしく頼む!」
「ダイア・キリスタリアよ。よろしくお願いね!」
「ルビ・キリスタリアでーす!よろしくね!」
「初めまして!総三ツクルと申します!」
「アリア・ワイザーです。」
ツクル達は挨拶し合う。
「おや?もういらしたのですか!」
すると王室に緑色の長髪をした女性がやって来る。
「ん?貴方は?」
「お会いできて光栄ですわ!私、この国の大臣をやらせていただいてる「ルズー・マダシ」と申します!」
「大臣?あ、じゃあ貴方が俺達を!」
「その通りです!その人が今回のパーティーを行うにあたってツクルさん達をお招きする事を提案したルズーさんです!」
「こんにちは!貴方達のお噂はショイサ国を越えてこのキリスタリア王国にまで伝わっているんですの!想造したものを実体化する能力を持っているなんて素晴らしい能力ですわ!」
ルズーはツクルの手を取る。
「よろしくお願いしますわ、ツクルさん!」
「よ、よろしくお願いします!」
「所で…貴方のその描いたモンスターをお見せしていただきたいのですが…」
「もちろん!ちょっと待ってくださいね〜…」
「ふふふ…」
ツクルは上機嫌で落書き帳を取り出す。その時、アリアは見逃さなかった。ルズーがその様子を鋭い眼光で見ている事を。
「…ん?」
「アリアさん?どうかなさいました?」
「え?あぁいや、何でもないですよ!」
フォリナに不思議がられたアリアは咄嗟に誤魔化す。
「皆!出て来い!」
ツクルは落書き帳をポンと叩き、クリモン達を実体化させる。
「ラッパこうもり!」
「クラバー!」
「バッタジン!」
「キネウサギ!」
ラッパこうもり達の他にも…
「タートラー!」
亀の怪人タートラー。
「ひょうたんマン!」
ひょうたんモンスターひょうたんマン。
「コマレード!」
コマのモンスターコマレードを出す。
「わ〜!凄い!」
「ほう…!これが…!」
「凄〜い!」
プラナ達はクリモンに近づく。
「どうもどうも!ラッパこうもり言います!」
「私クラバー!こう見えて料理が得意なんです!」
「俺バッタジン!よろしくな!」
「ボク、キネウサギ!」
「タートラーだ!よろしくな!」
「オイラひょうたんマン!」
「コマレードだよ!」
ラッパこうもり達は口々に挨拶する。
「お〜!何と素晴らしい!」
ルズーはラッパこうもりに近づく。
「私、ルズー・マダシと申します!私、貴方方に会いたくて会いたくて!」
「ほえ〜、わいらの事知ってくれてんの?」
「もちろんでございますわ!是非、私とお友達になっていただいても?」
「もちろんや!ツクルはんの友達イコールわいらとも友達や!よろしゅう頼んます!」
ラッパこうもりは翼でルズーの手を握る。
「うふふ…」
「えへへ…」
二人は笑い合う。その時だった。
「た、大変です!」
慌てた様子の騎士が扉を開けてやって来る。
「うん!?どうした!?」
「ま、街にサンドワームが!」
「何っ!?」
ツクル達が街に出るとヤツメウナギの様な口をした巨大ミミズモンスターが街を進んでいた。
「グオ〜!」
「な、何だアイツ!?」
「あれはサンドワーム!?砂漠にしか生息してないモンスターのはず…!」
「グオ〜!」
サンドワームは周りを見渡しながら慌てるように進む。その方向には家があった。
「まずい!あのままでは!」
「っ!」
フォリナは急いでサンドワームの前に立つ。
「止まってください!」
フォリナは指で魔法陣を描き、そこから電撃を放出させる。
「グオ〜!?」
サンドワームは電撃を食らうも、ピンピンしていた。
「グオ〜!」
サンドワームは怒ったのか、フォリナに襲いかかる。
「あっ!?」
「させるか!」
しかし、ガリオがサンドワームに飛び蹴りを食らわせる。ガリオの身体能力は並の人間ではないのだ。
「グオ〜!?」
サンドワームは倒れるが、幸いにも倒れた場所には何も無かった。
「グオ〜…!」
サンドワームは起き上がり、鳴き声を上げる。その声には怒りの感情が滲んでいた。
「皆さん!早く逃げて!」
「わいらが避難所に誘導しますさかい!騎士さん、案内してちょ!」
「わ、分かった!こっちだ!」
ラッパこうもり達は民間人を避難所に誘導させる。
「グオ〜!」
サンドワームは尻尾を振り上げ、ガリオ目掛けて振り下ろす。
「くっ!?」
ガリオは剣で防ごうとするが間に合わず、そのまま潰される。
「ガリオ!?」
「ギャオ?」
サンドワームは不思議がる。何故なら潰したはずなのに潰した感覚がしない、それだけじゃなく地面に当たった感触もないからだ。その答えはすぐに出た。
「ふぐぐ…!」
「お前は…!」
タートラーが尻尾とガリオの間に入っており、潰されるギリギリのラインで粘っていたのだ。
「兄ちゃん…!早く脱出するんだ!」
「…!礼は言う。」
ガリオは何とか脱出する。しかし、タートラーはそのまま潰される。
「キュ〜…」
タートラーは光の玉となり、ツクルの落書き帳に戻る。
「タートラー…ありがとう!」
「グオ〜!」
サンドワームは再度周りを見渡し、何かを探すように進み出す。
「大丈夫ですかガリオ!」
「はい…何とか…しかしこのままでは街は奴の手によってムチャクチャに…」
「…!ねえアリア。サンドワームって砂漠にしか生息しないの?」
「え?えぇ…それに無益な戦いは好まない性質のはずなんだけど…」
「…分かった。今は落ち着かせるのが先だ。」
「落ち着かせるって?」
「あいつを気絶させる!」
「お〜い!民間人の避難終わったで〜!」
ラッパこうもり達が戻って来る。
「ちょうどいい所に!皆!あいつを気絶させて!」
「え?わ、分かった!」
「ではまず私から!」
クラバーはサンドワームの進む方向に向かって泡を放出し、滑らせる。
「グオッ!?」
「よ〜しオイラも!」
ひょうたんマンも頭の穴から水を出し、サンドワームにかける。
「グオッ!?」
「どりゃー!」
続けてコマレードが回転して空に舞い、サンドワームに体当たりする。
「グオ〜!?」
「どりゃー!」
「せいやー!」
最後にラッパこうもりとバッタジンのダブルキックが炸裂し、サンドワームは倒れ完全に気絶する。
「お〜!お見事!」
民間人の避難を終わらせたプラナ達も拍手する。
「よし!後は…!」
ツクルは落書き帳をポンと叩く。
「おいどん参上!」
落書き帳からハンマーのクリモンが出て来る。
「ハンマーと打ち出の小槌が組み合わさったイッスンハンマーだ!頼んだよ!」
「任せんしゃい!」
イッスンハンマーはそのまま打ち出の小槌となっている腕を振るう。するとサンドワームはみるみる小さくなり、人の肩に乗るほどのサイズになる。
「グ…グオ?」
サンドワームは起き上がる。
「グオッ!?」
サンドワームは自分が小さくなったと気付き、慌てる。
「まあ可愛らしい!」
フォリナはしゃがんでサンドワームに目線を合わせる。
「グオッ…!?」
サンドワームは怯える。
「バッタジン、サンドワームの言葉を翻訳出来る?」
「任せとけ!」
バッタジンはサンドワームと会話する。
「ふむふむ…なるほどなるほど!皆!安心していいぜ!こいつ怖がってただけらしい!」
「怖がってた?」
「砂漠でいつものように過ごしてたらいつの間にか見知らぬ場所に来てて怖くなって暴れてたんだとよ!ま、防衛本能が働いてたってこった!」
「そうだったのですか…」
「グオ〜…」
サンドワームは申し訳なさそうにする。
「まあ貴方に悪気が無いってことは分かったけど…あれ?そう考えるとこのサンドワームはどうやってここに?」
ルビの疑問に全員は首をかしげる。しかし、ただ一人だけ首をかしげず、不敵に笑う人物がいた。
「(ふふ…総三ツクル…貴方の腕前拝見させていただきましたわ…)」
その人物とはルズーであった。
次回「パーティー開始と思ったら」に続く。
次回はパーティーで大波乱!?
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