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第10話「王様に挨拶!」

第10話です!王様が登場!

ある日の朝、ツクル達が寝ている中、ラッパこうもりは一人家事をしていた。


「わいは〜♪ラッパこうもり〜♪ キュートな瞳にちんまりした足、口はラッパで出来ている〜♪ はぁ〜♪ラッパこうもり〜♪」


ラッパこうもりは歌いながら皿洗いをしたり、箒で床を掃いたり、外に出て枯れ葉を集め枯れ葉を掃いていた。


「ん〜!気持ちええ朝や〜!ツクルはん達はまだ起きてへんし、こうやってのんびり掃除するってのもええな〜!」


ラッパこうもりは背伸びをしながら朝日を浴びていた。


「ん?」


するとラッパこうもりの前に立派な甲冑を着た男が現れる。


「え?だ、誰?」

「失礼。私は王宮の者です。」

「王宮?」

「はい。この国、ショイサ王国の王宮に勤める者でございます。」

「ショイサ王国?あ〜、そういやショイサノチマって王国の都市やったっけか。この国ショイサ王国って言うんやな…」


この世界に住み始め数週間、ようやくラッパこうもりは住む国の名前を知る。


「こちら、アリア殿とツクル殿に。」


甲冑を着た男は手紙をラッパこうもりに渡す。


「あ、はい。」


ラッパこうもりは翼でその手紙を受け取る。


「では。」


男はその場から去る。


「ほえ〜、王宮の人から手紙か…てか何や〜、わいのファンレターちゃうんか…まあええわい。え〜っとどれどれ…」


ラッパこうもりは手紙を見る。


「何々…?差出人はショイサ国王…ははは!なんや国王はんからの手紙かいな!誰からかな〜って思ってビビって損したわ!はっはっは!」


ラッパこうもりはそのまま家に入る。


「…国王からの手紙ー!?」


家に入った瞬間ラッパこうもりは差出人の正体に驚き、弾みでラッパを吹く。


「何々何々!?」

「ちょっと!朝から何騒いでるの!」

「一体どうしたんです?」


ツクルとアリア、クラバーが降りてくる。


「た、大変や大変や!ツクルはんとアリアはん宛に国王はんからの手紙が!」

「え?な〜んだ、朝から何だと思ったら国王からの手紙か〜。」

「そんな事でわざわざ叫ばないでちょうだい。」

「私達二度寝してきますからね。」


ツクル達は階段を登る。


「「「国王からの手紙!?」」」


しかし、次の瞬間、ツクル達は大慌てで降りてきてラッパこうもりに近づく。


数分後…


「ちょっと…早く開けなさいよ…」

「え?で、でもこれアリア宛でもあるし…」

「国王からの手紙なんて絶対ヤバいわよ!アンタ何かやらかした!?」

「何もしてないよ〜!」


ツクル達は机に手紙を置いて、読もうか迷っていた。


「国王はんからの手紙か〜…どう思う?」

「そもそも国王さんを見たことがないですし〜…」


ラッパこうもりとクラバーも国王からの手紙の内容が気になっていた。


「と、取り敢えず読んでみるしかない!」


ツクルは勇気を振り絞り、手紙の封を開ける。


「何々?「ツクル殿とアリア殿へ。そなた達の活躍は私の親友であるギルドマスターからよく聞いている。何でも、絵に描いたモンスターを実体化させる事が出来る能力を持っていると。その能力にとても興味がある。是非、我が城に来てほしい。ショイサ王より。追記…最近側近が構ってくれない。」…だって。」

「ほっ、良かった〜。何かやらかしたのかと思った…」


アリアは安堵する。


「これ、要するに招待状って事だよね?」

「まあそういう事になるわね。招待されてるんだったら行かないと。」

「オッケー!じゃあ身支度する!」


ツクルは化粧室に向かう。


「ふんふふんふ〜ん♪」


ツクルは髪をセットしたり、顔を洗ったり、王様に会うためのおしゃれをする。


「あいつ、意外におしゃれ好きなのね…」

「ツクルはんのパパはんとママはんもおしゃれ好きやからな〜。」

「意外に美意識は高い方ですよ。」


アリアはツクルの意外な一面を知って驚く。


「よし!後は服だな〜…そうだ!」


ツクルの脳内にクリモンのアイデアが浮かび、それを絵にするため落書き帳を開く。


「どりゃさ〜!」


ツクルは一気に落書き帳にクリモンを描く。


「出来た!出て来い!」


ツクルは落書き帳をポンと叩き、クリモンを出す。


「ファッションならミーにお任せあ〜れ!」


出て来たのは蝶ネクタイが顔となっている服のクリモンだった。


挿絵(By みてみん)


「コーディネータークリモン、コアーディネイター!」

「お〜!」


アリア達は取り敢えず拍手する。


「コアーディネイター!おしゃれな服を頼む!」

「はいはいミーにお任せ!コアーディネイト光線!」


コアーディネイターは腕からビームを発射する。


「うお〜!」


ツクルにビームが当たり、ツクルの服が変わっていく。


数十分後、ショイサ国王宮…


「いや〜…まだかの〜…手紙ちゃんと届いてるんじゃろうか…」


ツクル達の到着を今か今かと待っているのはショイサ王国の王様だ。ふくよかな体型をしており、白く大きい髭をしていて顔は一言で言えば温厚そうな顔だ。


「王様、ツクル殿達が参られました。」

「お〜そうか!早速通してくれ!」

「分かりました。どうぞ!」


王室の扉が開き、ツクル達が入ってくる。


「お〜!来てくれた…か…?」


王様はツクルの姿を見て衝撃を受ける。


「お初にお目にかかります!俺、総三ツクルです!」


ツクルの服は露出度が非常に高く、頭にはウサギの耳のカチューシャが付いている。つまりバニーガールの様な服だった。


「ちょっとアンタ…!あれどういう事…!?」


アリアはコアーディネイターの顔を掴みながら問い詰めていた。


「えっ!?な、何がおかしいんですか!?ミーはミスターツクルに似合うファッションを…!」

「あれほとんど女装じゃないのよ!?王宮に似合う服って注文だったでしょ!?ほら見なさい!」


アリアが王様の方を指差すと王様は絶句していた。


「王様が絶句してるでしょうが!てか何でツクルはツクルで満更でもなさそうなのよ!?」

「えっと…コアーディネイターの設定は…」


ラッパこうもりは落書き帳に書かれているコアーディネイターの設定を読む。


「えっと…「服のモンスター。相手に光線を浴びせ、おしゃれなファッションを着させてくれる。ただし、一部の人にしか刺さらない、つまりコアでマニアックな服しか着させてくれない。」やって。」

「なるほど!コアなコーディネートしかしてくれないからコアーディネイターって事ですね!」

「面倒くさっ!?何でこう面倒くさい奴ばっか作るの!?」

「ん?あれ?あ、アリアさん!王様のご様子が…」

「え?」


アリアが王様の方を見ると王様は絶句しながらも顔を赤らめていた。


「え…?まさか…?」

「はっ!?いかんいかん!ツクル殿、普通の服装でいいから着替えてくれんかの?」


王様は首を横に振る。まるで自分はツクルの格好に興奮なんてしていないぞと誤魔化すように。


「あ、そうですか?」


ツクルは王室から出てトイレを借り、着替える。


「これで大丈夫ですか?」


ツクルは普通の格好になる。


「ああ大丈夫だよ。お主がツクルだね?」

「はい!ツクルです!」

「わしはこの国、ショイサ王国の王、ショイサ王だよ。」

「はは〜!お会いできて光栄の限りでございます!」

「礼儀作法はしっかりしてるの何なのよ…」


ツクルは敬語を使い、丁寧な言葉遣いでショイサ王に接する。


「はっはっは。そんなにかしこまらなくてよい。今日はな、お主に話があったんだ。」

「話?と申しますと?」

「お主…奇妙奇天烈なモンスターを生み出せると聞いたが…?」

「はい!クリモンの事ですね!ラッパこうもり!皆!挨拶して!」

「どうもどうも〜!わい、ラッパこうもり言います〜!よろしゅう頼んます!」

「私はクラバーと申します!恐縮です!」

「ミーはコアーディネイター!よろしくお願いしマース!」


ラッパこうもり達はツクルの前に出て挨拶する。


「お〜!お主達がそうか!聞けばお主達は絵から生まれるそうじゃな?」

「はい!俺が描いたモンスター、クリモンです!」

「クリモン…!ほ〜、中々良い名前じゃ!」

「嘘でしょ?」

「では、話を本題に戻そう。実はの…お主に頼みたい事があるんじゃ。」


ショイサ王はツクルに近寄り、耳打ちをする。


「ゴニョゴニョゴニョゴニョ…」

「何々…?人の本音が聞けるクリモンを作ってほしい?」

「あぁ…実は手紙にも書いたと思うんじゃが、最近わしの側近がそっけなくての…」

「側近さんが?」

「ああ。今は別部屋で作業していていないんじゃが…。」

「はぁはぁ。」

「最近、あいつがわしにする受け答えが冷たいんじゃよ…わしが何言ってもそうですね、とか、頷くだけとか、前までは話を広げてくれたり、もっと楽しそうに答えてくれたりしたのに…」

「ほ〜…」

「だから頼む!あいつの心を分かりたいんじゃ!あいつが最近どう思ってるのか!」

「王様…申し訳ございません!」


ツクルは王様の頼みを断るように頭を下げる。


「ツクル!?」

「えっ…?だ、ダメなのか!?」

「王様、確かに俺は想像したモンスターを実体化させる事が出来ます!無論、心を読めるモンスターも、作ろうと思えば作れます!ですが、他人の心は知ろうと思って知るものではないと思うんです!」

「…!」

「相手の心を知りたい時は本人同士で直接話し合う事が大切なんです!思い切って心の内をぶつければきっとどんなに冷たい態度を取ってくる人も自分の心の内を打ち明けてくれます!」

「し、しかし…!」

「側近さんと王様の絆はそんなものなんですか!互いに本音をぶつけられない間柄なのですか!本音を打ち明けれない存在なのですか!」

「…!そ、そうじゃ…!わしはいつの間にか自分の心に蓋をしとった!ありがとうツクル殿!わしは思い切ってあいつに気持ちをぶつけてみるよ!」


ツクルの言葉に感銘を受けたショイサ王はツクルと握手する。


「王様!分かってくれたんですね!」

「ああ!」

「ツクル…あいつホント凄いわね…王様相手に物怖じせず自分の意見言うなんて…」

「ツクルはんは良くも悪くも正直なんや。」

「ツクルさんなりに王様の悩みの解決を真摯に考えた結果、あの言葉を送ったほうがいいと考えたんでしょうね。」

「でも…」


するとショイサ王の口が開く。


「やっぱ恥ずかしい〜!腹を割って話すなんてあんました事ないし、難しいぞ〜!」


ショイサ王は顔を赤らめてジタバタしながら言う。


「ずこっ!?結局かい!」


アリアはずっこけながらツッコむ。


「任せてください!心を読むクリモンは作れませんが、協力は最大限します!皆!協力してくれ!」

「任せとき!」

「お任せを!」

「お任せデース!」


ラッパこうもり達は胸をドンと自信満々に叩く。


「よし!そうと決まったら側近さん連れてきます!王様!側近さんはどちらに?」

「確か今は書斎の整理をしているはず…」

「オッケーです!うお〜!」


ツクル達は書斎に向かう。アリアを置いていって。


「ツクルー!?はあ…行っちゃった…」

「アリア殿。」

「はい?」


ショイサ王は置いていかれたアリアに話しかける。


「わしは確信したよ。ツクル殿はお人好しで人の為に本気になれる人物だと言う事を。」

「王様…」

「身分の違いも気にせず、自分の意見を言い、それでいて協力する姿勢は崩さない。あのような者は今時珍しい。」

「そうですね…でも…」

「でも?」

「あいつ、お人好しだけど馬鹿ですからね〜…何しでかすか分からないから怖いんですよ…」

「はっはっは。側近をこっちに連れてくるだけじゃろ?何を心配する要素があるんじゃ?」

「う〜ん…何か嫌な予感が…」


書斎…


書斎では一人の青年が掃除をしていた。この青年こそ、ショイサ王の側近「キシリア・キンソー」である。


「ふう。これぐらいか。」


キシリアは掃除を終えたらしく、掃除道具の片付けをしていた。


「すみませーん!誰かいますか?」

「うん?」


するとツクル達が入ってくる。


「こんにちは!俺、総三ツクルって言います!」

「ツクル?あぁ最近噂の。そう言えばショイサ様言ってたな…」

「こっちは俺の仲間のラッパこうもり、クラバー、コアーディネイターです!」

「よろしゅう!」

「こんにちは!」

「どうも!」

「ほ〜、君達が…」


キシリアは興味深そうにラッパこうもり達を見る。


「えっと、貴方のお名前聞いてもよろしいですか?」

「僕?僕はキシリア。よろしくね。」

「キシリアさん!よろしくお願いします!」

「それで?何か用?」

「あ〜、王様がお呼びでしたよ?何やらお話があるみたいで。」

「えっ!?あ、あぁそうか…」


キシリアは何か驚いた様な表情を見せる。何か隠し事がバレた時の様に。


「な、なんだ…?やっぱ最近冷たくしちゃってたからかな…どうしよどうしよ…」


キシリアはブツブツと独り言を言いながら王室に向かう。


「あっ。」

「行ってもうた…」

「うん?」


ツクルはキシリアが何かを落とした事に気付き、それを拾い上げる。


「何だこれ?」


ツクルはキシリアが落とした一枚の紙切れを見る。


「あっ!?こ、これって!?ど、どうしよう…余計な事しちゃったかも…」


果たして紙切れに書かれていた事とは?


次回「何故側近は冷たかったのか」に続く。

次回はツクルが大暴走!?

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