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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
魔境攻略計画

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第80話 魔境攻略計画~神楽耶の反応

ハミータの報告を聞いた神楽耶ですが、どうやらちょっと違う方向に話が進んで行くようです。

「以上が、タスクフォースに関する報告書でございます。」


ひとしきり諜報活動を終えたハミータは、月影の庵旅団の本拠地に戻り、その調査結果を神楽耶に報告していた。


「ハミータよ、ご苦労であった。

つまり、ユージ殿率いる王国のタスクフォースは、確固とした実力と気概を兼ねそろえた、信頼に足る組織ということで良いのじゃな?」


「はっ。簡単にまとめると、その通りでございます。」


それを聞いた神楽耶は、大きく頷きながら言った。


「うむ。

彼らは、結成直後から、国内の抵抗勢力の制圧を行い、様々な施策で国内を制圧し、衰退していた王国を見事復活させて、財政面・軍事面ともに強国と言えるまでに成長させた。

その上、未曽有の大災害となりかねなかった大地震による魔導発電施設のメルトダウンを食い止めたばかりではなく、核融合と廃棄物処理をベースとして全く新たな発電施設を発明・建築し、エネルギー問題を一挙に解決した。

さらに、列強各国との戦争を、圧倒的な軍事力で最低限の犠牲者しか出さずに瞬殺。

これだけの実績を見ただけで、我が月影の庵旅団の同盟先としては申し分無いと思っておった。」


片膝をついて控えつつ、ハミータはそれに答えた。


「おっしゃる通りでございます。

ただし、噂というものは一人歩きしがちなもの。

実際に敵陣に乗り込み、その様子を伺って来いとの神楽耶さまのご命令、さすがでございます。」


目を細めつつ、神楽耶は言った。


「世辞は良い。

それよりも、おぬしの成果により、わらわは確信したぞ。

彼らとの同盟以外の選択肢は無いとな。

でかしたぞ、ハミータ!」


「ははっ。恐悦至極にございます。」


そう答えたハミータに対して、神楽耶は少しモジモジしながら続けた。」


「時にハミータよ。

おぬしは、報告書の中にあった、サンマなるものを食したのかえ?」


ハミータは、不思議そうに答えた。


「はい?ええ。

これも偵察の一環ですから、ユージ殿と同じものを食しました。

それが何か?」


「で、味はどうじゃった?」


「ええ、それはもう、美味しゅうございました。」


神楽耶は、少し拗ねた表情をしながらつぶやいた。


「ズルい。。。」


「はい?

神楽耶さま、今なんと?」


「ズルいと言ったのじゃ!

わらわもそのサンマなるものを食してみたいぞよ!」


ハミータは、苦笑いをしながら言った。


「そうおっしゃるのではないかと思い、ちゃんと購入して参りましたよ!」


神楽耶は、途端に目を輝かせて言った。


「なんと!さすがはハミータ!

褒めてつかわすぞ!」


タスクフォースの実態を報告した時よりも、数倍のテンションで食いついて来た神楽耶に対し、若干引きながら、ハミータは言った。


「では、ただいまからサンマの塩焼きをお作りいたしますので、しばしお待ちください。」


そう言って、バーベキューセットを用意したハミータは、器用な手つきでサンマの塩焼きを作った。


「ちなみに、サンマに限らず、魚を焼く際には塩を振って5分ほど置くと、臭みとともに水分が排出され、旨味が凝縮されて美味しくなるのですよ。」


そんなハミータの説明を聞きながら焼き上がりを待つ間に、サンマの脂が焼ける匂いが、周囲に広がった。

なんとそれに釣られて、アルノルトもやって来た。


「何かものすごく良い匂いがするが、それは何だ?

俺にもくれないか?」


ハミータは、笑いながら言った。


「そうおっしゃるかと思い、たくさん買ってきましたから、皆さんもどうぞ!

ユージさまがおっしゃっていましたが、彼の故郷では、メグロのサンマなる古典があるそうです。

その話は、時の為政者が、偶然メグロなる地にて食したサンマをいたく気に入ったという内容で、安価な庶民の食べ物が、普段高級料理を食べなれている貴族にとってもご馳走だったというものです。

そして、メグロなる地では、現在でも毎年サンマ祭りが行われ、旬の素材を皆で楽しんでいるとのことですよ。」


それを聞いた神楽耶は言った。


「うんちくは良い!

わらわも早く食したい!」


ハミータは、駄々をこねる子供を諭すように言った。


「もうすぐ焼き上がりますから、少々お待ちください。

それと、この大根なる野菜と、レモンなる果物が、サンマの塩焼きには必須のアイテムなのです。

今から、大根おろしとレモンの櫛切りを作りますね。」


そう言いながらハミータは、焼けたサンマに大根おろしとレモンを添えた皿を神楽耶に差し出した。

その皿をひったくるように取った神楽耶は、ようやく熱々のサンマにありつくことが出来たのだった。


皮は香ばしく焼き上がり、脂がジュウジュウと音を立てて滴っている。添えられた大根おろしとレモンが、銀色の魚体に彩りを添えていた。

神楽耶は箸を手に取り、慎重に一口分を切り分けると、静かに口に運んだ。

その瞬間、彼女の瞳がわずかに見開かれた。


「……これは……」


しばし沈黙の後、神楽耶はゆっくりと語り始めた。


「まず、皮の香ばしさが鼻腔をくすぐる。

そして、口に含んだ瞬間、脂の甘みが舌の上でとろけるように広がる。

だが、それだけではない。大根おろしの清涼感が、脂の濃厚さを中和し、レモンの酸味が全体を引き締める。

まるで、戦場における剣と盾のような絶妙なバランスよ。」


ハミータは、神楽耶の表情を見て驚いた。

普段は冷静沈着な彼女が、ここまで感情を込めて語るのは珍しい。

神楽耶はさらに続けた。


「この苦み……これは内臓か。

だが、ただの苦みではない。

これは、命の重みを感じさせる味だ。」


それに対し、ハミータが言った。


「ワタクシの調査によりますと、サンマには胃袋がございません。

ですので、食べたものはすぐに腸へ送られ、約30分ほどで消化・排泄されます。

そのため、体内に排泄物がほとんど残らず、内臓が清潔な状態なのです。

また、サンマは昼間にプランクトンなどを捕食し、夜はほとんど何も食べません。

そして、サンマ漁は主に夜間に行われるため、捕獲された時点で胃の中は空っぽなのです。

その結果、内臓に未消化物が残っておらず、臭みや汚れが少ないのです。」


ハミータの説明を聞いた神楽耶は、しみじみとつぶやいた。


「魚が海を生き抜いた証、その記憶が舌に残る。

まるで、戦士が背負う過去のようだな……」


そして、神楽耶は静かに箸を置き、満足げに微笑んだ。


「ふむ……ユージ殿がこの魚に魅了されるのも、無理はない。

これはただの食事ではない。

これは、自然と人の知恵が織りなす、ひとつの芸術だ。」


隣で、2匹目のサンマを手づかみで一心不乱に齧り付いているアルノルトを後目に、ハミータは深く頷きながら言った。


「さすがでございます、神楽耶さま。

そのお言葉、ユージさまにもぜひお伝えしたく存じます。」


神楽耶は、空を見上げながら静かに呟いた。


「この星に、まだこのような味が残っているとは……

守り伝えねばならぬな。

この味を、未来へと。」



美味しいは正義ですね!

皆さんも、この話を読んで、サンマを食べてくなったのでは?

今がチャンスですよ!



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こんにちは、作者のアズマユージです!

『産廃屋のおっさんの異世界奮戦記』を読んでくださりありがとうございます!

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