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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
魔境攻略計画

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第73話 魔境攻略計画~月影の庵旅団の正体②

いよいよ、月影の庵旅団の秘密が明らかに!

「そもそもこの世界は、未開拓地と呼ばれる広大なエリアがあることはご存じかと思います。」


ハミータは、焚火を囲むみんなの前で、静かに話を始めた。


「その、未開拓地という表現は、あくまで人族側からのものでして、この星の中で、ごく限られたエリアに人族が棲息していると言った方が実態に即しています。」


なるほど、どのサイドから見るかによって、物事の見え方が違ってくるのは、世の常だ。

戦争なんて、正義と正義のぶつかり合いな訳だから、一方から見た正義は、他方から見た悪になって、その判断は、勝者にのみ決する権利が与えられる。


「したがいまして、この星の大半は、魔族が支配しておりました。」


それを聞いた俺は、思わず声をあげてしまった。


「なんですと!

ちょっと何言ってるかわかんないんですけど!」


すかさずタケシトがツッコミを入れる。


「それ、俺のネタだから!

しかも、使い方間違ってるから!

本当に訳がわからないことを言われた時に使うネタじゃないからな!

だいたい、ボケ担当の俺にツッコミ入れさせてどうするんだ!」


「ああ、タケシト、お前も来てたのか?」


「最初からずっと一緒だっただろ!

何、いまさっき現れたみたいな言い方してんだ!」


「いや、セリフも無かったし、なんか存在感無かったし」


それまで黙っていたナーチャンが、軌道修正を入れる。


「タケシトさんは、ずっと寝てるか飲んでるかだったので、存在感が無かっただけです。

そんなことよりも、ハミータさん。

この世界は、本当に魔王が統べる世界で、一部の開拓地に人族がいるということで、間違いないのですか?」


ハミータは、一呼吸入れてから続けた。


「そうです。

いえ、正確に言うと、かつてはそうだったということです。」


「かつては、と言いますと、今は違うと?」


「はい。

人族のごく一部の権力者しか知らないところで、魔王軍と我が軍とのし烈な戦いが、ながらく続けられていました。

圧倒的な戦力を誇る魔王軍に対し、我が軍の軍全は多勢に無勢。

苦戦を強いられる局面が長く、いよいよ情勢が厳しくなった時に、時の団長は異世界からの勇者召喚を行ったのです。」


それを聞いた俺は、思わず言った。


「なるほど!

それが神楽耶の父親ってことか?

でも確か、ラーメン屋だったんじゃないのか?

そんな人が、魔王軍と戦えたのか?」


ハミータは、少し苦笑を浮かべながら言った。


「はい。

神楽耶さまのお父君、高倉健二さまは、召喚される前は、ラーメン屋を営みながら、無類の戦闘オタクとして、その界隈では有名な方だったそうです。

彼のもたらした戦略は、圧倒的不利だった我が軍にとって、まさに大どんでん返しとも言えるものでした。

健二さまが召喚されて以降、我が軍は連戦連勝。

次第にかつての勢力を取り戻し、両軍は拮抗するところまで戦局が変化し、小康状態に陥ったのです。」


それまで黙っていたイコタンが、質問した。

「その頃、人族はどうしていたのですか?」


神楽耶が、悔しそうに言った。


「我関せずじゃ。

自分たちの領域に引きこもって、戦闘が行われていることすら見て見ぬふりじゃったわ。」


アルノルトが続ける。


「そもそも、我々は、人族の地から追放された一族なんだ。」


俺は驚いて言った。

「そうなの?

それで未開拓地に住んでたの?」


「そういうことだ。

魔王軍との戦いが避けられないと悟った人族の連合軍は、当時最強との呼び声が高かった我が帝国第一軍を魔王討伐に向かわせることを考えた。

しかし、人類の危機を我が軍のみに押し付ける、その非道なやり口に反対した団長は、徹底的に拒絶したが、その結果が追放だったという訳だ。」


「そりゃひどいな。」


そうつぶやいた俺に向かって、アルノルトはさらに言った。


「だろ?

でもな、それだけじゃないんだ。

人族の連合国は、我が軍に向かって、魔王討伐を果たした場合、贖罪が済んだと見做して追放処分を取り消してやると言いやがったんだ。

つまり、結局のところ、すべてを俺たちに押し付けて、自分たちは高みの見物という訳さ。」


俺は、首をひねりながら言った。


「じゃあさ、逃げちゃえば良かったんじゃないの?」


「逃げると言っても、どこにさ?

人族の棲息エリアには、結界が張ってあって、魔族は入り込むことが出来なかった。

だが、その結界の外に出た途端、すべてが戦場になるんだ。

そこでは、魔獣が跋扈している上、魔王軍の兵士が定期的に巡回していて、逃げ場などどこにも無いんだ。」


「そりゃ大変だったんだな?

で、その後どうなったんだ?

君たちは、どうやってその難局を乗り越えたんだ?」


「幸い、我が軍には屈強な兵士が多数在籍していたし、約8000人を擁する旅団だったんだ。

ただし、追放によりロジスティクスが断たれた状態での戦闘は、熾烈を極めた。

武器弾薬のストックが心もとなく、食料支援も期待出来ない。

かと言って、他の部族からの略奪行為は避けねばならなかった。」


「八方塞がりじゃん。

昔から、戦争のプロはロジスティクスを語り、素人は戦略を語るって言うじゃん。

ナポレオン軍だって、日本軍だって、ロジスティクスが戦争の勝敗を大きく左右したんだよ。

それを、後はお前たちだけで頑張れ!

なんて、酷いにも程があるぞ!」


俺は、人族のあまりの非道に、激おこプンプン丸だった。


しかし、そんな俺の様子を後目に、神楽耶がつぶやいたのだった。


「だからこそのリサイクル、それ故の廃棄物の再利用なんじゃよ。」


次話に続く!

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