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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
魔境攻略計画

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第70話 魔境攻略計画~魔族?それとも人?

久しぶりの食事回です!

肉、美味いですよね。

でも、歳のせいか、〇々苑なんかで高級カルビ食べると、すぐにえげつなくなってしまって、あまり食べられないんですよね。

なので最近は、赤身中心のお肉を看板にしているお店がお気に入りです!

今日の夕食は、バーベキューにした。

持参した食料に加えて、ワイバーンの肉。

俺は、手際良く調理しながら、皆に説明していた。


「昼間食べたワイバーンの肉は、食べ応えがあって、すごく美味かったんだけど、やはり少し固かったと思うんだ。

まあ、家畜と違って、常に動き回っているし、脂肪が落ちて筋肉が締まるのは、仕方の無いことなんだけどな。

しかも、肉本来の旨みが凝縮されていて、それはそれでいいんだが、出来ればもう少し柔らかくて、口の中でとろける感触も味わいたい。

そこで使うのが、これだ。」


そう言って俺は、おもむろに白い粉を取り出した。


「じゃじゃーん!じゅーそー!」


俺は、耳の無いネコ型ロボットを真似て、重曹を持ち上げて皆の前に見せたが、当然のことながら、俺のギャグはガン無視された。


「くっ。やはり日本のアニメパロディギャグは、ここでは通用しないか。無念orz。」


そんな俺の様子に呆れながらも、ナーチャンが俺に質問した。


「ユージさま、その白い粉は何ですか?

まさか、メタンフェタミンかアンフェタミンの成分を含んだ、一時的な覚醒・高揚感・集中力をもたらす、いけないお薬ですか?」


「あほか!

そりゃ覚せい剤だろううが!

薬やめますか、それとも人間やめますか?

ってやつだよ。

俺は、ワイバーンの肉のために人間やめたかないわ!

これはな、重曹と言って、炭酸水素ナトリウムだな。

弱アルカリ性で、料理・掃除・医療などに使われる、万能アイテムだ。

この粉を肉にまぶして置いておけば、肉が柔らかくなるんだ。

ただし、あまり多く使いすぎると、肉本来の風味を損なうから要注意だ。」


「なるほど、下処理によって、少し固いワイバーンの肉を柔らかく食べやすいものにするということですね。」


「その通りだ。

しかしナーチャン、肉を柔らかくする工夫は、それだけじゃないんだぜ。」


「と、おっしゃいますと?」


「まずはこうやって、肉を叩いて筋を切る。」


俺は、分厚めの大きな葉にくるんだ肉を、木の棒で叩きながら言った。


「肉を叩くことによって、筋繊維が切れて、食感が柔らかくなるんだ。

それから、切り方だ。

これも筋繊維を断ち切るように包丁を入れることによって、噛み切りやすくする。

安い肉を美味く食わせるために、焼き肉屋が良く使う手だな。」


「なるほど、切って焼くだけじゃなくて、いろいろと工夫されてるんですね。」


「最後は、焼き方だ。

まずは、150~160度くらいの強火で、肉の表面に少し焦げめを付ける。

そうすると、アミノ酸と糖が化学反応して、匂いと旨みが増すんだ。

これを、メイラード反応って言うんだ。」


「確かに、こんがり焼き色が付いたお肉は、美味しそうですもんね。」


「そうなんだ。

ただし、そのまま中心まで火を通すそうとすると、外は焦げて、中は生焼けになって、はっきり言って不味くなる。

そこでだ、表面だけこんがり焼いたら、低温調理をするんだ。」


「低温調理?」


「そう。

65度くらいで、肉に熱を通すんだ。

いちおう、俺の国の食肉加工基準では、中心温度63度で30分以上の過熱をすることになっている。

ちなみに、肉屋で牛もも肉ブロックを買う時に、ローストビーフならいいけど、牛叩きにするなら売れないって言われたことがある。

低温でも中心まで加熱するローストビーフなら売れるけど、表面だけ炙って中身は生肉の叩きはダメってことだな。」


「どうも良くわからない単語が頻発しましたが、なんとなくおっしゃりたいことは理解しました。」


そりゃ悪かったな!

自己満足で気持ちよくうんちく披露してるんだから、大きく頷きながら聞いてくれよ!

と思ったが、かしこい俺は、優しい笑顔を浮かべながら、ナーチャンに言った。


「うん、自動翻訳も限界あるな。

まあそれはともかく、低温調理機が無い中で、ちゃんと低温調理するには、少々コツがいる。

まずは、直火じゃなくて、遠火の熾火で、じっくり焼くんだ。

そうすると、低温調理とスモークの両方の効果で、肉が美味くなるんだ。」


「うんちくはそのへんで良いので、ワタクシは早くお肉が食べたいです。」


「わあったよ!

そろそろ焼きあがったから、仲良く食ってくれ。

味付けはシンプルに塩でな。」


そう言って俺は、器用に肉を切り分けて、皆に配ったのだった。


「リーダー!これは美味いぜ!

昼間に食った肉が、ワイルドな男の料理とすれば、これは最高級の料理人が戦災に調理したメインディッシュって感じだぜ!」


「確かに。

これは美味いですね。

外側は香ばしく焼けあがっている上に、中身は柔らかく、しかもジューシー。

噛んだ瞬間に、濃厚な肉汁が口の中に溢れ出すうえに、簡単に嚙み切れて、まるで溶けてしまうようだ。

これは止まらない!で、ござる。」


「まったりとしていて、それでいてしつこく無いですぅ。

これは、今まで食べたどんなお肉よりも美味しいですぅ。」


「リーダー。

おかわり頼むぜ!」


「ユージさま、長めのうんちくには少しうんざりしていましたが、それもこれも、この至高のお肉を食するためのじらしプレイと思えば、我慢できます!」


おい、最後のやつ!

たまには素直に褒められないのかよ!

まあ、また蹴られるよりいいけど。


「ほお!これは美味じゃな。

これほどの食事は、魔境広しといえども、そう簡単に口にできるものでは無いの。

喜べおぬし、わらわの専属料理人として雇ってやろうぞ。」


気が付くと、なんかえらく上から目線の少女が、勝手に俺たちに参加して、ワイバーン肉を堪能していた。


「ん?誰だお前?」



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ぜひご一読を!

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