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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
魔境攻略計画

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第67話 魔境攻略計画~いざ、出陣!

いよいよ、出撃準備です!

今回も、リシュンのすごい発明が!

リシュンが開発した、魔素遮断スーツは、秀逸だった。

かなりの高濃度魔素にも対応しており、これを着用していれば、魔素に侵される懸念は無い。

しかも、バトルスーツの機能も有しており、Sランククラスの魔獣とも戦闘可能となっていた。

歩行支援機能が、これまた素晴らしい。

目的地を頭に思い浮かべると、GPSとAIで瞬時に道程を計算し、より迅速にかつより安全なルートを自動的に算出してくれるのである。

しかも、歩行自体もスーツがサポートしてくれるので、ほぼ立ってるだけで目的地に到着してしまう。

まさに、夢のスーツであった。


ただし、問題が2つあった。

スーツが体に密着し過ぎていて、ボディーラインが丸見えなのである。

そして、俺の下っ腹は、このところのキャバクラ通いによる自堕落な生活をモロに反映していて、ぽっこりと飛び出していた。


「なんか、かなり恰好悪くね?」


それを見たリシュンは、笑いをこらえながら言った。


「わかったぜ、リーダー。

その、緑色のボタンを押してみてくれ。」


「ん?これか?」


俺がボタンを押した瞬間、スーツから異様な圧がかかり、俺の体型がみるみる間に変化していった。

ものの数秒で、ぽっこりお腹のおっさん体型が、細マッチョの逆三角形体型に早変わりだ!

しかし俺は叫んだ。


「何これ格好いい!本当に俺?

なんか、大昔に漫画や雑誌に必ず載ってた、使えばムキムキになって砂浜でビキニの女性にモテモテになるトレーニングのための紐が付いた棒みたいじゃん!

すごい!

でもこれ、痛い!苦しい!きつい!」


そう、無理やりスーツに締め付けられた俺は、苦しさに見悶えた。


「いいから早く戻してくれぇ!」


「なんだリーダー、折角格好よくしてやったのに、もういいのか?」


「いいから早く!苦しくて、なんか出そうだ!」


元のおっさん体型に戻った俺は、肩で息をしながら言った。


「これは封印だ。

それよりも、何だな。

ナーチャンとイコタンの体型も、まあ何と言うか、なかなかのもんだな。

俺的には、もう少しボリュームがあった方が、好みではあるんだけど、これはこれで目の保養になるな、ぐふふふふ。」


そう言った瞬間、女性陣二人からの、強烈なツープラトン攻撃を食らって、俺はのけ反った。


「何これ?戦闘力も上がるんじゃなかったの?普通に痛いんだけど?」


「もちろん、ワタクシたちの戦闘力も上がってますから、相対的な効果は今まで通りです。

それよりも、いやらしい目で上から下まで舐めるようにワタクシたちを見ないでください!

恥ずかしいです。。。」


俺は、生暖かい笑いを浮かべながら、二人に言った。

「そう?おじさん、似合ってると思うよ?

若い二人のボディーラインって、本当にいいもんだねぇ、ぐふふ。」


「「キャー、変態!!」」


ボコッ!バキッ!ベコッ!


さっきを上回る強烈な攻撃を受けて、俺は床に倒れ伏したのだった。



「それで?出発はいつにするの?」


原形をとどめないほど腫れあがった顔を氷嚢で冷やしながら、俺はナーチャンに聞いた。


ナーチャンは、まだ恥ずかしそうにしつつも、真面目に答える。


「出発は、明日の早朝6時、マルロクマルマルです。

リシュンさんが作ってくれた、魔導戦車に乗って行きます。」


「なるほど、戦車か。

頑丈で安全な鉄の要塞って感じで、安心感あるな!」


それを聞いたナーチャンが、身も蓋もないことを言った。


「はい、分厚い装甲、強力な火力に加え、どんな悪路をも走破できる機動力を兼ね備えた、強力な兵器です。

ですがその反面、狭く振動が多い劣悪な居住空間、強力であるが故に真っ先に狙い撃ちされる危険性、視界の狭さによる奇襲に対する脆弱性など、さまざまな問題を抱えているのも事実です。

ですので、口の悪い連中は、戦車のことを走る棺桶などと呼ぶことも多いのです。」


「ダメじゃん!そんな危ないもん乗って、危険地域に行くなんて、自殺行為じゃん!」


そこにリシュンが割って入る。


「安心してくれ、リーダー。

俺の魔導戦車は、超高級リムジン並みの快適さに、全方位索敵機能とフルビジョンによる、まるでオープンカーのような解放感、それでいて、防御力・攻撃力・機動力は通常の戦車と比較にならない高性能を誇る、最新鋭の代物だ!」


「なんだリシュン!最高じゃないか!

ナーチャンったら、人を不安にさせるようなことばっかり言っちゃってさ!

ホントいけずだよな!

こうなったら、恥ずかしい姿、ガン見しちゃおっかな!」


ナーチャンは、自らの両手で自分の体を隠しながら、冷たい目で言った。


「魔境ではなく、病院に行きたいのですか?それとも無縁墓地の方がよろしいですか?」


「わかったわかった!

いや、いい意味で言ってるんだよ!

しかもそのスーツ、リシュンが作ったんだから、文句ならリシュンに言ってよ!

俺だって、こんなぽっこりお腹の格好悪い姿になっちゃったんだからね!」


「確かにこのスーツはリシュンさんが作ったものですが、だからと言って、そのいやらしい目で人を視姦していい訳ではありません。

しかも、ぽっこりお腹のおじさん体型は、リーダーの不摂生の賜物ですので、仕方ありません。

目潰しされたくなかったら、こっち見ないでください!」


ちょっとふざけただけなのに、ひどい言われようだ…。

しかも、俺はもっと具だくさんで色っぽい方が好きなのに…。


ボコッ!バキッ!ベコッ!


懲りない男であった。



さて、ドタバタ劇はこのへんにして、次回はいよいよ魔境に進撃です!

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