第63話 資源循環が可能な社会へ~女性陣の悪だくみ
らしくないナーチャンのツンデレの理由が、明らかになります!
かわいそうなユージの運命はいかに?
さて、時は少し戻って、マイヤンとナーチャンの二人が何やら相談をしていた。
「なぜだか解らないが、わらわはどうやら、勇者ユージにあまり良く思われていないようだ。
以前、国王からわらわの婿にという話があった時にも、引き攣った顔で秒で固辞しよった。
わかるか?秒だぞ?
富と権力と女は、男子の本懐であろう?
それを一挙に手に入れるチャンスを、一瞬の迷いもなく手放すとは、少し理解に苦しむ。
もっと言えば、こんなスタイリッシュな美女を気に入らないとは、彼は男性として少しおかしいのではないかと思うよ。」
それを聞いたナーチャンは、呆れ顔で答えた。
「それをご自分でおっしゃいますか?
いやまあ、確かにマイヤン王女はお美しいですし、世の殿方から見れば垂涎の的でしょう。
ですが確かに、ユージさまは、あなたさまに対して良い印象をお持ちでは無いようですね。」
それを聞いたマイヤンは、困り顔で言った。
「それは、わらわも薄々感じておる。
しかしながら、なんとかしてユージ殿をこの世界に引き留めろというのが、国王からの指令なのだ。」
ナーチャンは軽く同意しながら言った。
「そうですね。
今までのタスクフォースの破竹の勢いでの活躍は、すべてユージさまの功績と言っても過言ではありません。
とりあえず世界政府を樹立し、我が国の思うような秩序ある世界は出来上がりましたが、まだまだその基盤は盤石とは言えません。
いつ何時、大きな問題が起きるとも限りません。
そうした時に、ユージさまのお力が無ければ、かなり厳しい局面を迎えることとなるでしょう。」
マイヤンは、大きく頷きながら続けた。
「そうなのだ。
国王が懸念されているのも、その点なのだ。
これだけの成果をあげたのだ。
どんな報酬を要求されても、我々に断る術は無いであろう。
そして恐らく、彼は元居た世界に戻すことを要求して来るであろう。
わらわも、前にそんな約束をしたような、しなかったような…。」
「マイヤン王女!そんな大切な話を忘れてしまったとでも?
ユージさまはこの世界の至宝、歴史を書き換えた唯一無二の勇者なのですよ?
そんな大事な約束をしたと?
しかも、その約束をしたかどうか曖昧って、一体どういうことなのですか?」
「いや、わらわもそこまで馬鹿ではない。
そう、明確に元の世界に戻すと言いきった記憶は無い。
ただ、奴の今までの言動を勘案すると、奴がわらわの言葉を誤解して、戻してもらえると思い込んでいる節はある。」
ナーチャンは呆れながら言った。
「って言うか、間違いなくそう言って来るでしょう。
彼は、元の世界に戻りたがっていました。
一体どうなさるおつもりですか?」
マイヤンは、その美しい顔に余裕の笑顔を浮かべて言った。
「ナーチャン、そなたはユージ殿に気に入られておるだろ?
そなたがユージ殿を引き留めるのだ。
この際、色仕掛けでも美人局でも何でも構わん。
全力でユージ殿の異世界への帰還を食い止めよ!」
それを聞いたナーチャンは、少し困った顔で言った。
「そう言われましても、一体どうすれば良いのやら。
ワタクシはこの通り、あまり色気には縁のない女ですから。
急にそんなことを言われても困ります。」
マイヤンは首を振りながら得意気に言った。
「それが良いのだ!
普段と違う一面を見せると、殿方は弱いと聞いたことがある。
なんと言ったか。。。
そう、ギャップ萌えというやつだ。
普段のツンツンしたおぬしが、いつもと違う対応をしたらどうなるか?
あの単細胞男はいちころだ。
なんと言ったか。。。
そう、ツンデレというやつだ!
勇者のスマホで読ませてもらった異世界のラノベという物語に良く出てきたぞ!
そうだ、それで行こう!」
しかしナーチャンは、かぶりを振る。
「困ります!
ワタクシにはそんなことは出来ません!
もし仮にワタクシが、そんな芝居をしたとしても、ユージさまがそう簡単に引っ掛かるとは思えません。
彼は非常に鋭いですよ!
ワタクシの三文芝居など、間違いなく簡単に見抜いてしまいますよ。」
だがしかし、マイヤンは人の言うことなど聞かない女だ。
そう、自分勝手なわがまま王女なのだ。
「良いから、わらわの言う通りにせい!
いいか、これは国王の勅命と思いなさい!
以上、よろしく頼みます。」
そう言って、マイヤンは踵を返して行ってしまった。
後に残されたナーチャンは、ため息をつきながらつぶやいた。
「ユージさまが、ワタクシの色仕掛けなんかに興味を示すとは思えませんが、王命とあらば仕方ありませんね。
さて、どう言って引き留めたらよいのか。
良く考えて戦略を練りましょう。」
翌日、ユージはナーチャンのツンデレにまんまと引っ掛かり、元の世界に戻ることを簡単に思いとどまったのだった。
そして、国王の懸念は、現実のものとなったのだった。
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