第53話 資源循環が可能な社会へ~会話の極意
今日は、対人テクニックのお話です。
いろいろ使えるかもしれませんよ!
カメラ映りを気にしながら、リシュンはテレビのインタビューを受けていた。
インタビュアーはリシュンに問う。
「愛ちゃんは爆発的に普及しましたが、そこにはどんな仕組みが隠されているのですか?」
リシュンは得意気に答えた。
「サトータのファシリテートのノウハウを使わせてもらったんだ。
じゃあ、基本的なスキルからいくつか説明してやるぜ。
まずはリフレクション、オウム返しのことだな。
相手の言葉をそのまま、または少し言い換えて返すことで、理解と共感を示すんだ。
そうすると、相手が話しやすくなって、話の深掘りにつながるのさ。
次に、パラフレーズ、要約だな。
相手の話を簡潔にまとめて確認することによって、誤解を防ぐとともに、相手の考えを整理する手助けにをするんだ。
後は、それは大変でしたね、とか、嬉しかったでしょう、とかの共感の言葉を入れ込むんだな。
これによって、心理的な距離が縮まり、信頼関係が深まる。」
「なるほど、普段の会話の中に、いろいろなテクニックを盛り込むことによって、会話を円滑にしていくということなんですね。」
「そう、その通りだ。そして、今あんたがやったのが、パラフレーズと共感なんだよ。」
「そういうことなんですね!
私たちが、インタビュアーのスキルとして使っているノウハウも、みなさんにとっては基本的なテクニックなんですね。
ちなみに、まだ他にもありますか?」
「ああ、まだまだあるぜ。
例えば、オープンクエスチョンだな。
その時、どう思ったの?とか、どんな気持ちだった?とか、相手の考えや気持ちを自由に話してもらうんだ。
これによって、会話が広がるとともに、相手の価値観や背景が見えてくる。
それがまた、次の会話につながる。
それから、アクティブリスニング、積極的傾聴ってやつだな。
なるほど、とか、そうなんですね、なんかのポジティブな相槌を盛り込むことや、画面上のアバターの表情や姿勢を工夫することで、話を真剣に聞いていることを示すのさ。
これには、話し手が安心して話せるようになるし、深い対話につながる。
このあたりまでは、基礎編だな。」
インタビュアーは、しきりに頷きながら言った。
「そうなんですね。では、応用もあるんですか?」
リシュンはさらに続ける。
「もちろんあるぜ。
ただ、あまりネタバレし過ぎるとなんだから、応用編は簡単にな。
例えば、ミラーリングだな。
相手がゆっくり話すならこちらもゆっくり話すなど、相手の言葉遣いやテンポを合わせる。
それから、自己開示。
自分の体験を少し話すことで親近感を生むんだ。
あとは、ポジティブフィードバックな。
その考え方いいなあ、とか、その姿勢は素敵ですね、とか、相手の話の良い点を褒める。
まあ、他にもあるが、こんな感じのテクニックを自然に組み込むことで、相手が話しやすい環境が出来上がる。
愛ちゃんは、それ自体が何かアイデアを提供したり、何かの結論に誘導したりはしないんだ。
相手自身の考えや思いを、上手く引き出して、気付きを与える。
つまり、自分の深層心理を自己認識できるところまで昇華させるんだよ。」
インタビュアーは、深く納得した様子で言った。
「なるほど、思考誘導とか洗脳とかではなく、あくまで自分の考えの整理をサポートしてくれるもの、ということなんですね。」
「まあ、そういうことだ。」
「よくわかりました。
本日は、結成以来多方面で目覚ましい成果をあげられていらっしゃる、マルチタレント集団、環境改善タスクフォースのミーティングルームから、リシュン・オグさんに、AIの愛ちゃんの開発秘話をお伺いした様子をお伝えしました。
皆さん、これからも安心して愛ちゃんとの会話を楽しんでくださいね。」
インタビュアーであったアナウンサーは、そう言葉を結んだ。
ちなみに、今回リシュンが説明してくれた、会話のテクニックは、対人スキルとしてどんな場面でも活用出来る。
例えば、女性との会話を弾ませたい時や、顧客との距離感を縮めたい時など、最強のテクニックとなりうる。
良く、ルックスはイマイチだが、何故か女性にモテる奴、なんかは、このテクニックを自然と使っていることが多い。
まあ、女性にモテようと思えば、これに加えて、マメさも必要なんだが、これまたわかっていても難しい。
まあ、こんな面倒なことをしなくても女性にモテるために必要なのは…
「やっぱなんちゅーても、金だな。」
と、ユージは言った。
相も変わらず、いつものユージだった。
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こんにちは、作者のアズマユージです!
『産廃屋のおっさんの異世界奮戦記』を読んでくださりありがとうございます!
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今後も、異世界×環境問題×おっさんの奮闘を描いていきますので、よろしくお願いします!
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やはりユージはユージ。
安定のおっさんですね!
さて次回は、さらなる困難な出来事が発生しますよ!
お楽しみに!




