第5話 異世界召喚~新メンバー登場①
初魔法が王女を直撃してしまいました…
いきなりの修羅場からスタートです!
果たして、新メンバー紹介までたどり着くのか?
「あらあら、室内で魔法を使うとは、いただけませんねえ、ふふふ
この落とし前は、どうつけるおつもりですか?」
マイヤンは引きつった笑顔を浮かべながら言った。
顔には煤が付いており、なんなら髪の毛も少しこげている模様だ。
純白のドレスも、ねずみ色と言っていい程汚れて、ロングスカートが破れてミニスカート丈になっている。
や、やばい…。
「俺が魔法が使えるようになってるなんて、知らなかったんだ!
そんなの普通ある訳ないじゃん?
魔法が使えるなんて方がおかしくて、非現実的じゃん?
ってか、それならそれで前もって教えてくれておくべきじゃない?
知らなかったものは仕方無い!とにかく、俺はまったく悪くないからな!」
ホントあり得んだろ?
魔法だよ?
異世界イコール魔法っていう短絡的な発想で、ありがちな詠唱してみたら、ホントに火が出るなんて、誰も思わないよね?そうだよね?
「しかし、あなたは私がドアを開けたタイミングで、自らてのひらをこちらに向けて、ファイア・ボールと言いながら、魔法をぶっぱなしましたわよね?
言い訳はできませんわよ、見苦しいですわ、オホホ。」
ダメだ…。あまりにも不利な状況だ…。
あのドレス、いったいいくらするんだろう?
「もちろん、この代償は、働いて返して頂きます。」
ふふふ、これでぐうの音も出ませんわよね。
「ブラックだかなんだか知りませんが、死ぬ直前まで働いてもらいますわ。寸止めですわ。
そして回復を待って、また働いて、無間地獄に引きずり込んでやりますわ!
労働基準法なんじゃそりゃ!ですわ。」
「おい、心の声がダダ洩れだぞ!
そもそも罰則は、罪の重さと比例せねばならないという、比例原則を知らないのか?
その前にこの国には、罪刑法定主義という言葉は無いのか?えっ?
たかだか王女の顔にすすを付けて、ドレスを台無しにしただけだろうが?
それが寸止めだの無間地獄だの、あんた野蛮人なの?アホなの?残念な子なの?」
マイヤンはミニスカートを翻して、ドヤ顔で言った。
「この国の法律はワタクシです!つまり、ワタクシが決めたことがすべてなのです!
オーホッホッホ!ご理解いただけまして?」
威張っているが、破れたドレスがめくれて、絶対領域が解放されてしまっており、あられもなく間抜けこの上無い姿である。
「あのー。言いにくいだけど、さっきからパンツ見えてますけど?」
「ホゲッ?イヤあ!
なんじゃこのド変態!!王女のパンツを覗き見るとは、なんたる不埒者!なんたる変態!成敗してくれるわ!!」
「いや、覗き見るとかそんなのじゃなくて、普通にバッチリ見えてるんだってば!
俺は悪くないんだってば!」
マイヤンは、例の杖をブンブン振り回しながら、俺の方にやって来る。
そして、ドレスから垂れていた紐を踏んで、豪快に尻もちをついた。
結果、パンチラどころか、モロ見えだ!
「見ましたわね?いまだ殿方に見られたことの無い、王女の下着を見てしまいましたわね?
これは、万死に値しますわ!し、死刑ですわ!そこに直りなさい!!」
いや、そんなかっこで言われてもねぇ。
仕方なく、俺は羽織っていた上着を脱いで、マイヤンの足元に掛けて、恥ずかしい姿を隠してやった。
その前に、俺の網膜にマイヤンのM字開脚姿をしっかり鮮明に記録させることを忘れずに。
「あ、ありがとうですわ。」
頬を赤らめながら、マイヤンが言った。
なんだ、ちゃんとお礼も言えるじゃん。
「で、用があったんだろ?次からはせめてノックぐらいしてから入って来いよ。」
俺は大人の態度で、優しく行った。
後ろからナーチャンが、
「ユージさま、顔がニヤけております。
今ご覧になったものは、忘れて差し上げてください。」
に、ニヤけてなんかないわい!
そして、あんな素晴らしい光景、一生忘れんわい!
「もう良いです。
それよりも、今日は約束のお仲間を連れて来ました。
みなさん、入りなさい。」
男性2人、女性2人の計4人が、部屋の中に入って来て、マイヤンの後ろに一列に並んだ。
いずれ劣らぬ美形美丈夫揃いだ。
立ち姿も堂々としており、ファーストインプレッションとしては上々だ!
以前、人は見た目がなんとかというビジネス書が流行って、シリーズが続々と発行された。
この本の主張の根底にあるのは、50年ほど前にアメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した、メラビアンの法則だと思う。
メラビアンの法則とは、簡単に言うと人が他人を値踏みする時の情報の割合は、表情、身振り、見た目などの視覚情報が55%、声のトーン、話し方、抑揚などの聴覚情報が約38%、話の内容などの言語情報が7%であるというものだ。
つまり、見た目と話し方で9割以上の印象が決まってしまい、話の中身は刺身のツマ程度しか寄与しないというものだ。
だがしかし、これに惑わされてはいけない。
これはあくまで人が他人を評価する時の話であり、物事の本質がここにあるという訳ではない。
イメージだけで人を判断するのは、間違いのもとだ。
俺は、曇りなきまなこで真実を見極めることが出来る男だ!頼りにしています、山神さま!
「さて、こちらの面々が、これからユージさまとともにこの世界を救う使命を持った者たちです。
さあ皆さん、張り切って自己紹介をお願いします!」
ところが、王女の言葉を遮り、ナーチャンが言った。
「話の腰を折るようで申し訳ありませんが、自己紹介の前に、ユージさまのために私から少し事前説明をさせて頂きます。
実は、この世界に産まれた人は全員、成人すると、タレントという能力を取得します。」
ん?タレント?なんだなんだ!なんかファンタジーっぽくなって来たぞ!
タレントかぁ。俺にもあるのかな?それとも、転生者はもらえないのかな?
「いえ、ユージさまも、しっかりタレントをお持ちです。」
「ワアオ!ビックリしたなぁ、もう!
だから、人の心を読まないでってば!
いや、それよりも、タレントって何?俺はどんな能力を持ってるの?
そこんとこ、詳しく!」
「了解いたしました。それでは、ご説明させていただきます。」
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こんにちは、作者のアズマユージです!
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魔法に続いて、タレントなんていうファンタジックな能力が出て来ました!
次回は、タレントの説明から!
新メンバーの紹介は、いったいいつになるのやら?