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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
幕間

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第48話 幕間~感染性廃棄物

ちょっと小休止です。

最近、ディスポーザブルの医療器具が多くなって、病院から出るゴミも増えています。

今日は、そんな感染性廃棄物についてのお話です。

「注射針を段ボールに捨てちゃダメでしょ!」


看護師長のナガサが新人ナースのカンナに向かって言った。


「いやでも、めちゃくちゃ忙しいですし、ナースコールも鳴っているので、患者さんを待たせないようにと思って…」


「あなたね、もう少し広い視野を持たないとダメよ。

あなたが捨てた注射針は、この後どうなると思ってるの?」


「えっ?ゴミを集める外注の人たちが、どこかに持って行ってくれて、その後はゴミ収集車に乗せてどこかで処分してくれるのでは?」


「まあ、だいたい合ってるわ。

じゃあ、その段ボールの中に注射針が入っていたら、どうなると思う?」


「少しぐらい大丈夫なんじゃないですか?」


「はぁ。少しぐらいねぇ。

そう思う人も多いでしょうけど、良く考えてみて。

注射針やプラスチック容器なんかは軽いけど、中には薬剤の残りとか硬質プラスチックの器具とか、重たいものもたくさんあるわ。

そうすると、その重たい段ボール箱を運ぼうと思って、お腹に乗っける感じで支えるとどうなる?

不幸にも注射針が段ボール箱を突き破ってお腹に刺さることもあるわよね?

実際、かつてはそういう事故も結構起きていたの。

看護師のあなたならわかると思うけど、使用済みの注射針が刺さったら、病気に感染するリスクがあるわよね?

針で出来た傷は、すぐに治っても、もしかしたら一生治らない、いや致死性の病気に感染するかもしれないわ。

そしたらあなた、責任取れるの?」


「いや、そんな偶然無いでしょ!」


「それがあるのよ。

だからこそ、感染性廃棄物の取り扱いは厳重に行わないといけないし、疎かにしちゃいけないの。

注射針問題に関して言うと、35年ほど前までは、この国の集団予防接種の際に注射針を使いわましていたの。

その結果、主にB型肝炎ウイルスに感染した人が多く出て、社会問題になっているわ。

B型肝炎は、血液を介して感染して、慢性肝炎や肝臓がんに進行することもある怖い病気なの。

それが、現実問題として起きているのよ。

それを知っても、忙しいからって、ゴミの分別を疎かにできるの?

もしそうなら、看護師失格、いえ、人間失格だわ。」


カンナは項垂れて言った。

「ごめんなさい。つい、忙しかったから…」


ナガサ看護師長は、諭すように言った。

「確かに、みんなには忙しい中本当に頑張ってもらっているわ。

それには私も感謝している。

目の前の患者さんに呼ばれたら、出来るだけ早く対応してあげたいという気持ちは、私も痛いほどよくわかるわ。

でもね、物事はね、優先順位付けが大事なの。

それを間違えると、とんでもないことが起きちゃうの。

優先順位付けで一番大事なのは、安全第一ね。

当たり前のようだけど、重たい言葉だわ。

次に、人に迷惑を掛けない。

最後に効率性ね。

これを忘れずに一生懸命頑張りなさい。

頑張るのはいいことよ。でも、優先順位を間違えちゃダメ。

わかった?」


「はい、良くわかりました!」


ちなみに、感染性廃棄物は、環境省が定めた「感染性廃棄物処理マニュアル」によって、その取扱い方法が厳格に定められている。

注射針などの鋭利で危険なものは、プラスチックのペール容器に入れて、外せない蓋をして、特別管理産業廃棄物の運搬・処分の許可を持った処理業者に引き渡される。

しかしながら、メスや特別太い注射針などは、プラスチック容器を突き破って外に飛び出すこともあるので、その取扱いには最新の注意が必要だ。

運搬業者は、基本的に冷凍冷蔵車を使用する。

中には、摘出した臓器や、血液を拭いたガーゼ、出産後の胎盤なども入っており、使用後のオムツなどもあるので、冷却しながら運搬する。

処分業者の保管庫も、低温で管理される。

なお、処分業者の大半は、焼却処分をする。

中には、電磁波や亜臨界水で無害化するという新しい技術を導入する企業もあるが、あまり上手く行った例は聞いたことが無い。

結局焼却するのだったら、最初から焼却した方が低コストだという意見が大半だ。


初老の入院患者が点滴の様子を見に来たカンナに話しかける。

「カンナちゃん、いつもありがとうね。

ナースコールに一番早く対応してくれるのがカンナちゃんなんだよ!

これからもよろしくね。」


「何言ってるんですか!

当たり前のことをしているだけですよ!

そんなことより、早く退院できるように元気になってくださいね!」


「あぁ、そうだね。そんなことを言ってくれるのも、カンナちゃんだけだよ。」


「あっ、でもこれからは、ナースコールへの対応が少しだけ遅くなるかもしれません。」


「えっ?何かあったの?」


「はい!今までおざなりにして来たゴミの分別を、しっかりと丁寧にすることにしたので!」


入院患者の男性は、軽く笑いながら言った。


「それはいいことだね。

実は僕もね、段ボールに入ったゴミを回収していた時に、大量の注射針が飛び出して来て、僕のお腹にプスプスと刺さっちゃったんだよ。

ゴミを出した病院側は、簡単な血液検査をしてくれたけど、それだけ。

それ以来、体調がおかしくなってさ。入退院を繰り返すようになっちゃったって訳さ。

ホント、人生狂っちゃったよ。

誰があんなことしたんだろうね。

みんながカンナちゃんみたいに、気を付けてくれると、こんな不幸な事故も起きなくなるんだけどね。」


それを聞いたカンナは、さらに思いを強くするのだった。






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こんにちは、作者のアズマユージです!

『産廃屋のおっさんの異世界奮戦記』を読んでくださりありがとうございます!

もし「ちょっと面白いかも」と思っていただけたら、ブックマークや感想をいただけると励みになります。

今後も、異世界×環境問題×おっさんの奮闘を描いていきますので、よろしくお願いします!

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新型コロナが蔓延していた時は、感染性廃棄物の量も増えて大変でした。

落ち着きはしたものの、今後もしっかりと処理していかないといけない、大事な仕事ですね。

さて、明日からは、いよいよ新章突入!の予定です。

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