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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
ポスト資本主義

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第45話 ポスト資本主義~更なる敵

ついに、彼の国が動き出す!

果たしてユージたちの運命は?

ユージたちが国民投票に向けて国内世論形成に尽力していた頃、西側大国の大統領執務室にて、スランプ大統領を囲んだ政府ブレイン達による対策会議が開かれていた。


「君たち、今日集まってもらったのは、他でも無い。

隣国であるジャポネ王国にて、何やら不穏な動きがあることについては、周知の事実なのだが、その行方と我が国への影響について、皆の意見を聞きたい。」


最初に、国防長官が口火を切った。

「先の大戦において、ジャポネ王国は我々を中心とする連合国に壊滅的な大敗を喫しました。

その後、我々の庇護の下、驚異的な復興を遂げ、経済的には我が国すら脅かすような大国に成長しました。

一方、その成長は、軍事面での我々の負担のもとに為しえたものであり、いまだに属国的存在のままです。

ですので、彼らが我が国に敵対するような動きに出るのであれば、叩き潰すのみです!」


そこに、国務長官が割って入る。

「現在の列強各国の力関係や、緊張状態から見て、そういう過激な軍事行動を我が国から仕掛けるのは得策では無いですよ。

こういう時は、まずは、外交からです。

彼らがどういう観点で、何を為し、それが我が国をはじめ他国にどのような影響を与えれのか。

まずはそれを見極めることが肝要です。」


財務長官も続く。

「そうそう、それに、ジャポネ王国と我が国とは、貿易摩擦を乗り越えながら、相互依存的な関係を深めて来ました。

大統領の関税政策によって、さらなる摩擦が生じてはいるものの、我が国はジャポネ王国との取引を即座に止めることなど出来ないのですよ。」


それに対し、副大統領が言った。

「今、我々が掴んでいる情報によると、ジャポネ王国は、間接民主主義を廃止し、AIを活用した直接民主主義への大改革についての国民投票を行うとのことだ。

皆、これがどういうことかわかるか?」


副大統領に対し、国務長官が聞いた。

「AIによる直接民主主義?なんですかそれは?」


副大統領は、苦虫を噛み潰したような顔で言った。

「各国民が、AIに対して思うところを言うと、その情報をAIが取りまとめて政策案を作成し、国王がAIの政策の妥当性を最終判断し、実行に移すらしい。

つまり、国民が選挙で選んだ政治家、という存在自体が無くなる。」


国務長官は、焦った表情で言った。

「なんですと?

それは大問題ではありませんんか!

政治家のいない民主主義なんて、聞いたことが無い!」


「彼らの主張は、AIによる生産性の極大化と、圧倒的な効率性向上なのだよ。

それによって、ベーシックインカムを導入した上で、蓄財制限を設けるというのだ。

つまり、完全とは言えないが、限りなくそれに近い公平平等な社会の実現だ。

つまりは、我々は最優先でパージされる存在だと言うことだ。」


それまで黙って聞いていた、スランプ大統領が、おもむろに口を開いた。


「それは、イカンな。

とんでもないことだ。

断固阻止せねばならんな。」


副大統領は、それに対し、悔しそうに言った。


「いくら、実質的に属国であるからと言って、これは彼の国の内政に関することです。

つまり、我々に内政干渉をする理由が無いのです。」


大統領は、

「理由など、作れば良かろう!

安全保障上の問題だとかなんとか、ケチをつけられんのか?

何なら、さらなる関税のアップでも良い。

とにかく、彼らの大改革が、万が一にも成功したら、その余波は西側諸国全体に広がるぞ。

限りなく共産主義に近い資本主義など、断じて受け入れる訳には行かない!

命令だ!

特殊部隊を派遣して、タスクフォースを叩き潰せ!」


副大統領は、奥歯を噛み締めながら言った。

「CIIAの長官を呼べ。

特殊部隊のジャポネ王国への派遣を急ごう。」


CIIAとは、正式名称を西側大国中央情報局と言う。

西側大国の情報期間で、国家安全保障に関わる情報の収集・分析・工作活動を行う組織だ。

1947年、国家安全保障法により設立され、主な任務は海外の情報収集(スパイ活動)、政治的・軍事的な分析、 秘密工作(クーデター支援、サイバー作戦など)、およびテロ対策や核拡散防止などの国際安全保障活動だ。

国家の暗部を一手に担って来た彼らにとって、弱小国の、しかもわずか数名の組織を潰すことなど、観光がてらにちゃちゃっとこなせる容易い任務、のはずだった。


その頃、ジャポネ王国のタスクフォースミーティングルームでは、国民投票に向けての準備が淡々と行われていた。


「そう言や、タケシトはどうした?」


ソファーに寝転んで、ポテチを食べながら、俺は聞いた。

ナーチャンは、その様子を見て言った。


「って言うか、ユージさま。

ポテチ食べて油と塩が付いた手を舐めながら、色んなもの触るの、やめて頂けませんか?

かなり汚いんですけど!」


「えっ?

ちゃんとしっかり舐めてから触ってるから、大丈夫じゃない?

ってか、ナーチャンも食べる?」


「いりません!

舐めてから触ってるから、汚いと言っているのです!

ほんっとにもう!育ちが悪いったらありゃしない。

ぶつぶつぶつぶつ…」


「あー、もうわかったよ!

ティッシュで拭けばいいんでしょ!

もう、ナーチャンは俺のオカンかってんだよ!」


「お腹を痛めて産んだ子が、こんなに反抗的になっちゃったら、間違いなく泣きながらバックドロップ決めますね。」


「いや、やめて!それだけはやめて!」


暗殺部隊に狙われているにもかかわらず、まったく緊張感に欠ける光景だった。



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こんにちは、作者のアズマユージです!

『産廃屋のおっさんの異世界奮戦記』を読んでくださりありがとうございます!

もし「ちょっと面白いかも」と思っていただけたら、ブックマークや感想をいただけると励みになります。

今後も、異世界×環境問題×おっさんの奮闘を描いていきますので、よろしくお願いします!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

さあ、いよいよ次回はCIIAとタスクフォースの決戦か?

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