第43話 ポスト資本主義~草の根運動って大事だな
何故かみんなから絶大な信頼を得てしまっているユージ。
今回は、マイヤン、ナーチャン、イコタンの3人が、活躍します!
「みんな、盛り上がってるぅ〜?」
「おー!!!」
25万人を超える収容人数を誇る千葉県蘇我市にあるスポーツ公園に似た巨大なコンサート会場は、超満員の聴衆のどよめきで、異様な興奮に包まれていた。
足元から熱気が込み上げて来たかのようで、全員がこの夢のような時間に恍惚としている。
マイヤン、ナーチャン、イコタンと、その仲間たちによるコンサートは、最高潮を迎え、続いてMCパートがスタートした。
「今、聞いてもらった、『しがらみなんてぶっ飛ばせ』と『直接会うのがいいんじゃない?』なんだけど、この曲には、私たちがみんなに伝えたいメッセージが込められています!」
それを聞いた聴衆が、さらに盛り上がってから、少し落ち着いてきたタイミングで、イコタンが続けた。
「今、私たちの国は、かつて無い危機的状況に陥っているの!
このままでは、経済は崩壊して、食料すら無くなって、戦争が起きてしまうの!
そうしたら、私たちのコンサートもやってる場合じゃなくなって、悲惨な未来が待っているわ!」
「えー!!!!」
「いやだよぉ!!!」
「何とかなんないの???」
異口同音に、聴衆が叫んでいる。
タイミングを上手く捉えて、ナーチャンが続いた。
「タスクフォースのみなさんの活躍は、みんな知ってますよね?」
「あったり前田のアツコちゃん!」
「知らない奴はモグリだよぉ!」
「ホント感謝しか無いよぉ!!!」
やはり、このところのタスクフォースの活躍は、国民に非常に好意的に受け止められているようだ。
「今回も、タスクフォースはこの問題を解決する方法を考えついているわ!!」
それを聞いた聴衆は、さらにどよめいた。
「タスクフォースカッケー!!!」
「待ってました!さすが勇者さま!」
「頼りにしてるぜ!!!」
盛り上がった聴衆に対し、マイヤンが俯きながら言った。
「ところが、いくらタスクフォースでも、今回はかなり厳しい状況なの。」
マジか、と言わんばかりに鎮まりかえった聴衆に向けて、マイヤンは続けた。
「この国には、特権階級と言われている人達がいます。
政治家、大企業の幹部、中小企業の社長さん、地主さんなどが、金と権力を使って、改革を阻んでいるのです。」
「なんだとぉ!!!」
「許せん!!」
「ホントなのか???」
それに対し、イコタンが言った。
「みんな、これから流す映像は、フェイク動画では無いの。
良く見て、自分で判断して欲しいの。
さあ、スクリーンを見て!」
すると、巨大画面のメインスクリーンに、イソバとゼンザワの密談の様子を撮影した映像が流れた。
「なんじゃこりゃあ!!!」
「マジでフェイクじゃ無いのか??」
「こいつら、許せん!」
怒りで騒めく聴衆に対し、ナーチャンが続けて言った。
「この人たちに任せていたら、この国は破綻します。
みんなそれでいいの?」
「いやに決まってるだろお!!」
「こんな連中に任せてられる訳ねーだろ!!」
「どうすりゃいいんだ!!」
ナーチャンは、キリッとした表情で言った。
「つまり、『しがらみなんてぶっ飛ばせ』ってことなの!
今までの常識捉えられていたら、この連中に好きなようにされてしまうわ!
だからね、みんなの力でしがらみをぶっ飛ばして欲しいの!」
「おおおーー!!」
「俺がぶっ飛ばすぜ!!!」
「任せとけ!!」
「でもどうやって?」
そこでマイヤンが言った。
「そこで、『直接会うのがいいんじゃない?』なの。
みんなが選んだ誰かに思いを託すのが選挙だけど、その結果、残念ながら悪い政治家をのさばらせてしまったのよ。
みんなも、私たちと直接握手しに来てくれてるんだよね?
それを誰かに託していいの?」
「ダメに決まってるだろ!!」
「そんなのいやだ!!!」
「握手したい!!!」
「だよね。
私たちも、みんなと直接話をして、握手がしたいもの!」
最高に盛り上がって来た聴衆に対し、ナーチャンが続けて言った。
「みんなの思いを、新しいAIに伝えて欲しいの。
そのAIの名前は、『愛(AI)』です。みんなが自分の好きなアバターを選んで、自分だけの愛ちゃんを作ることが出来るわ。男性でも女性でも、若い子でもナイスミドルでも、自由自在に自分色の愛ちゃんとか愛くんを産み出せるわ。
そして、みんなの愛ちゃんを私たちだと思って、何でも言いたいことを言って欲しいの。
そうしたら、どんな小さな思いも無駄にはしないで、みんなにとってより良い政治を行うことが出来るのよ!
もちろん、みんなのプライバシーは私たちか責任を持って守ります。
だから、安心して本音で話して!」
イコタンが続く。
「いつだって私たちはみんなのそばにいます!
そして、みんなの話を真剣に聞きます。
みんな、それぞれ思うこと、やりたいことあるよね?
でも、みんなとまったく同じ考えの政治家なんていないよね?
そんな妥協から生まれた制度より、もっともっといい方法があるんだから、しがらみなんてぶっ飛ばして欲しいの!」
そしてマイヤンが言った。
「来月、国民投票を行います。
間接選挙から、国民の直接的な政治への参画に、大きく舵を切ることの是非を問います。
みんな、自分の意思でどちらを選ぶか決めて欲しいの!」
「おーーー!!!」
「もちろんだよぉ!!」
「よーし、絶対投票するぞ!!」
会場は、割れんばかりの絶叫に包まれたのだった。
コンサートは大盛況のもとに終了した。
大変革に向けての大きなうねりが生まれた瞬間だった。
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こんにちは、作者のアズマユージです!
『産廃屋のおっさんの異世界奮戦記』を読んでくださりありがとうございます!
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若年層が動くと、選挙が変わる。
ちょうどタイムリーに今回の参議院選挙でも起きましたね!
次回は、どんな展開になるのか、何となく予想はつきそうですが、ご期待ください!




