第42話 ポスト資本主義~負けられない戦い
追い詰められたユージは、珍しく頑張って働きます!
「とにかくさ、数は少ないけど、金と権力を持ったイケスカナイ連中が、抵抗勢力だってことでしよ?
だったらさ、民衆に直接訴えちゃおうよ!
今は何でも情報が拡散されて、絶対だって思ってた権力者も、失脚しちゃうんだよ。
例えばほら、変態ヒヒジジイが作った日本最大の男性アイドル事務所なんかも、解体されちゃった訳だしさ!
ね!それが一番だよ!
うん、決まった!
じゃあさ、ナーチャンはバカ王女にお願いして、ポスト資本主義と間接政治の廃止の国民投票の準備をしてよ。
でもってリシュンはシャチョーさん1号をちょっと作り直して、国民の声が直接拾えるやつ作って、それからSNSで現状の問題と俺たちの解決策の良さを拡散ね。
サトータは、セミナーとか講演会でプレゼンして来て!
タケシトは、テレビの報道番組とかワイドショーとかで、上手く広めてよ。
それから、イコタンとナーチャンは、仲間も呼んで、歌って踊って、オタクに政策アピールな!」
俺は、珍しくやる気を出して、みんなを仕切っていた。
当然だ。
負けられない戦いが、そこにはある。
俺は、やる時はやる男だ。
なにせ、ツルツルの危機が迫っている。
「それでは、各自持ち場についてくれ。
皆の健闘を祈る!解散!」
ふーぅ。。。
とりあえず、まず手始めにやるべきことはすべてやった。
後は、頼りになる仲間たちの奮闘に期待するのみだ。
「頑張ってくれよ」
そう独りごちた俺は、撮り溜めたアニメを見ることにした。
マイヤンは、思案顔でナーチャンに問いかけた。
「しかし、前例がありません。
しかも、あまりにも大きな改革過ぎて、国民の理解を得るのが難しいでしょう。」
「確かに、とある調査によると、自己認識として、約4割の人が、自分は保守的、約3割の人が中間と思っていて、革新的と思っている人は3割に満たないようです。
それでも、イソバ内閣の支持率は、25%を切っています。
つまり、現状に不満を持つ層は、確実にいます。
そこに、若者を中心とした浮動票を動かすことが出来れば、時代は変わります!
確かに、ワタクシが申し上げているのは、ユージさまからの受け売りで、ワタクシ自身で考えたことではありません。
しかし、あのユージさまが、勝算ありと判断した。これだけで、信じて良いのではありませんか?」
ナーチャンの壮絶な勘違いが、マイヤンの心に刺さった瞬間である。
「わかりました。国民投票ですね。国王に進言しに参りましょう。」
マイヤンとナーチャンは、国王陛下の元へ急ぐのであった。
そして、謁見が叶い、ナーチャンが事情を説明すると、国王は軽く言った。
「あっそ。いいんじゃね?
で、いつやるの?」
はい?今なんと?
という心の声をぐっと飲み込んで、少し間をおいてから、マイヤンが口を開いた。
「お父様!
これは高度に政治的な案件で、各方面への影響が極めて大きい施策なんですよ!
それを、いいんじゃね?は、無いです!
もうちょっと真面目に考えてください!」
国王は少し焦った顔をして言った。
「マイヤンよ。
今、我が国は未曾有の危機に瀕しておるのじゃろ?
今までの対策では、到底達成出来ない目標なのではないか?
46という数字が浮かんできたと言って、チンジローが温室効果ガスの大幅削減を約束して来てしまったが、じゃあ具体的にはどうするんじゃ?
環境省が取りまとめた全ての施策が上手く行っても達成出来んじゃろ?
最後の帳尻をCCSで誤魔化してるが、まず実現は不可能じゃ。」
「CCSですか。二酸化炭素を閉じ込めて地中に埋めるという策ですね。」
「そうじゃ。
そもそも、大地に穴を掘って、漏れ出さないようにした二酸化炭素を埋めるために、逆に多くの二酸化炭素を出すだけじゃろ?」
「まあ、それはそうですね。」
「つまり、我々はタスクフォースに頼るしか、手は無いのじゃ。
しかも、あの勇者ユージ殿が勝算ありと踏んだ策なんじゃったら、二の足を踏む理由はどこにも無い!
前進あるのみじゃ!」
「お父様!確かにその通りですね!
わかりました!
それでは、可及的早期に国民投票を実施すべく、各方面に働きかけす!」
手と手を取って感動の涙で頬を濡らしているアホの親子の様子をジトメで見ていたナーチャンは、
「ま、いっか。」
と言って、踵を返すのであった。
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さあ、ユージたちは、負けられない戦いに勝利することが出来るのか?




