第35話 ネクストフェーズ~理屈だけじゃないことってあるよね
今日は、タケシトが活躍します!
ミーティングルームの中央モニターには、各地の被害状況を伝えるニュース映像が、延々と流れていた。
アナウンサーは、ヘルメットを被って被災地の現状を訴えており、厳しい顔つきの国軍と、不安そうな表情の住民たちが映る。
被害が大きいところでは、まだまだ黒い煙が各所で登っており、地震被害の理不尽さが伝わって来る。
CMは、民間企業のものは全て自粛され、公共広告なんとかというスキマCMが流されている。
そうした中、映像が学校の体育館と思われる避難所に切り替わったかと思ったら、見知った顔と声の太ったおっさん2人が舞台の上で一本のマイクで話していた。
「どーもぉ!ミキオダです!」
「タケシトです!」
「二人合わせて、パンケーキマンです!」
「ホント被災された方々には、何と言っていいかわかりませんけど、心中お察し申し上げます。」
「実は我々2人の出身地が、以前地震と津波の被害を受けたんですけどね。
今では見事に復活して、一部を除いて以前の生活を取り戻したんですよ。な、タケシト!」
「そうそう、あれは厳しかったなぁ。
でもね、その時も、不安とショックで避難所の皆さんが暗くなってるって聞いて、我々何か出来ないかって居ても立っても居られなくなって、避難所に駆けつけたんですよ!」
「そうそう。大したことは出来ないけど、片付けと炊き出しを手伝ってたんですけどね、避難所の運営の人にこう言われたんですよ。
命は助かったものの、みんな表情が暗くて、気分が落ち込んでいます。特に子供たちが深刻です。中には、まったく笑わなくなった子供もいます。お二人の力で、何とか皆に笑顔と希望を取り戻してあげてほしい。とね。」
「あれには驚きましたね。
俺たちにできることなんて、漫才ぐらいしか無いんですよ!
でも、こんな時に漫才なんてすると、不謹慎とか言われるんじゃないかって思って、みんなで相談したんですよ。
なぁ、ミキオダ。」
「そうそう、あれは悩んだね。
でもね、そんな時に、子供たちが口を揃えて言ったんですよ。
俺たちの漫才が見たいってね。
俺は目が覚めたね!
何でもかんでも文句を言う大人の心無い誹謗中傷と、子供たちの笑顔と、どっちが大切なんだって思ったんですよ。
そしたらね、隣のタケシトも、炎上上等!ミキオダ、やろうぜ!って言ってさ。
気がついたら2人で体育館の舞台に駆け上がって、即興で漫才を始めてたんですよ。
で、ひとしきり漫才をしたら、そりゃもう大受けでね、それこそ避難所にいた人達全員が笑ってくれてたんですよ。」
「そうだったな。
あれから俺たち、何も怖いものは無くなったよな。
なので今回も、俺たちは炎上覚悟で駆けつけました!
前置きが長くなったけど、少しの間だけでも、俺たちの漫才で笑って元気を出してください!」
避難所は、割れんばかりの拍手に包まれた。
そして2人の能天気な漫才が始まった。
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明日も頑張ろうって思えたら、人生きっといいことあります!




