第33話 ネクストフェーズ~タスクフォース、行きます!
いつもながらのユージの能天気な発言をきっかけに、勝手に深読みしたタスクフォースの面々が動き出します!
しばらく考え込んでいたナーチャンが、何かを思いついたかのように突然話し出した。
「なるほど、ユージさまのおっしゃる通りですね!
さすがです!こういう時は、そう考えれば良いのですね!」
何がさすがなんだろう?
俺、なんかそんなスゴいこと言ったっけ?
「では、ワタクシがユージさまのご意見を、具体的な施策にブレイクダウンします。
まずは発電所近隣の住民の方々の避難ですね。
緊急避難命令を発動して、半径30キロ圏内の住民の方々には強制的に避難していただきましょう。
道路網も一部崩壊しているでしょうから、避難ルートと十分な避難所を確保してください。
ポケット線量計と安定ヨウ素剤、食料と当面の生活必需品の配布も忘れないでください。
それから、万が一魔素が拡散してしまった場合への準備ですね。
ヘリコプターを用意して、ホウ素砂を散布できるようにしておきましょう。
あと、放水車ですね。水幕を展開して、魔素を捕捉しましょう。
それから、SNSやテレビによる政府の公式発表の頻度を上げて、デマや憶測による住民の混乱を回避しておいた方がいいですね。
政府には、その準備に取り掛かってもらいましょう。
これで、とりあえず安全確保と万一の場合のための被害拡大を防ぐ準備は出来ました。
ユージさま、こういうことでよろしいですよね!」
「うむ」
なるほど。
俺はそこまで考えてなかったけどね。
「はい、分かっています!
並行して、メルトダウンを防ぐ対策を施すべきということですよね!
つまりは、封じ込めです。
まずは予備電源の確保ですね。
近隣諸国に協力を要請して、ありったけの電源車を確保しましょう。
電源車で電源を維持している間に、ディーゼル発電機の整備・部品交換を行い、予備電源の延命を行います。
同時に、全国の消防車をかき集めて、消防車による代替注入を行います。
真水が不足したら、躊躇なく海水の注水を開始してください。
その判断は、現場の責任者に一任します。
この際、廃炉は致し方ありません。
スクラップアンドビルドで、より良い設備に生まれ変わると、前向きに考えましょう。
とにかく、まずは最低1ヵ月は持続的な冷却システムを維持しなければなりません。」
なんか、対策が次から次へと出て来る。
原発事故なんて、まず滅多に起きないのに、即座に対応できるナーチャンって、何者なの?
感心して俺がうなずいていると、それを見たナーチャンが言った。
「ユージさまのご了解も得られたことですし、各自役割分担を行って至急対応に移ってください!
それでは、一旦解散しますが、明日より日時でウェブを使ったステータスミーティングを行います。
URLはのちほどメールにてお送りしますので、確認しておいてください。
また、確認や相談が必要な事項が発生した場合には、逐次タスクフォース本部にご連絡願います。
それでは、いったん解散します!
ユージさま、付け加えることは何かございますか?」
「いや、大丈夫だ。
でも、時間が勝負だからね!
みんなの頑張り、期待してるよ!
よろしく頼むよ!」
そう、俺にできることは、適当なことをつぶやいて、「うむ」と言うことだけだ!
あとは、すべてみんなの力にかかっている。
「ユージさまのおっしゃる通りです!
みなさま、この国の命運がかかっています!
大丈夫!あなたがたなら必ずうまく行きます!
気を引き締めてしっかり対応して行きましょう!」
「おー!」
「了解!」
「らじゃ!」
そして、皆はそれぞれ持ち場へと向かって、会議室を後にした。
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こんにちは、作者のアズマユージです!
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さあ、タスクフォースの対策は功を奏するのか?
次回のお楽しみです!
しかし、優秀なのは、ナーチャンじゃん!って思った人も多いのでは?
でも、チームって、発想が得意な人とか、実務が得意な人とか、得手不得手ある人が集まって、互いに協力しあうことによって、より良い結果が生まれるんじゃないですかね?




