第31話 ネクストフェーズ~急いては事を仕損じるって言うか、姉さん、事件です!
ユージは、折角のタレントを封印してしまうみたいです。
それよりも、非常事態です!
大地震発生で大変なことに!
「俺、まだ毛が抜けるのはかなり抵抗あるから、ゲームチェンジは当面お蔵入りな!」
俺の宣言に対して、ナーチャンが困り顔で言った。
「この国を守るために犠牲になるのであれば、ユージさまの毛根も本望なのでは?
そもそも、誰もユージさまの髪型なんか気にしてないと思いますし、ちょっと自意識過剰なのでは?」
うるさいなぁ。
髪の毛の多寡で10歳は見た目年齢が変わるの!
『えっ!ユージさんもう45歳なの?見えなぁ~い!!絶対30代で通用するよぉ!』
って、キャバクラのリコちゃんも言ってくれてたし!
「ユージさま。キャバクラでは髪があろうとなかろうと、若く見えようが老けてようが、
若いぃ~!見えないぃ~!といって客を喜ばせて、リピートを狙うのですよ。
完全にキャバクラ商法に引っ掛かってますよ。」
「うるさい、うるさい、うるさ~い!
ちょっと別の施策を考えることにする!
何か無いの?」
その時、地面が揺れた…
家具が倒れ、食器が飛び出し、とても立っていられない。
揺れはしばらく続いた後、徐々に弱まったが、まだ体が揺れている感じがする。
ちなみに、高層ビルは、地震の時に敢えて建物を揺らして、地震による力を逃して、建物が壊れないようにする構造となっている。
なので、特に上層階は、揺れるのだ。
「おえ~っ、気持ち悪りぃ~。ちょっと酔ったわ。」
俺が呑気なことを呟いきながらテレビをつけると、緊急ニュースで今の地震の件が報じられていた。
「緊急ニュースです、緊急ニュースです!
さきほど、巨大地震が発生しました!
皆さん、まずは命を守る行動を優先してください!
この後、余震が来る可能性があります。
出来るだけ頑丈な建物の中に入って、安全を確保してください!
また、津波の情報はまだありませんが、海沿いにおられる方は、すぐに高台に避難してください!
繰り返します!
さきほど、巨大地震が発生しました!
皆さん、まずは命を守る行動を優先してください!
この後、余震が来る可能性があります。
出来るだけ頑丈な建物の中に入って、安全を確保してください!
また、津波の情報はまだありませんが、海沿いにおられる方は、すぐに高台に避難してください!」
さっきの地震の件が速報で伝えられていた。
その時、バタンとドアが開いて、マイヤンが飛び込んで来た。
「みなさん、緊急事態です!
さきほどの地震によって、魔導発電施設が、緊急停止しました。
とりあえず、予備電源を稼働させていますが、1週間と持ちません。
至急、タスクフォースで対策を考えてください!」
ちょっと待って!
そもそも魔導発電施設って何?
なんか良くわかんないけど、なんか大変そうな気がするんだけど?
そう思って、俺はマイヤンに聞いた。
「そりゃ大変だね!ところで、魔導発電施設ってなんなの?
俺たちタスクフォースと何か関係あるの?」
マイヤンは、呆れたように言った。
「ナーチャン、ユージさまにもわかるように、簡単に説明してちょうだい!」
ナーチャンは即座に、
「わかりました。小学生にもわかるように、簡潔に説明します。」
おいお前!また俺をディスってないか?
誰が小学生並みの理解力やねん!
言わすぞこらっ!
ちなみに、「言わす」とは、「ヒーヒー言わす」とか「参ったと言わす」から派生した、関西地方で流行ったスラングだ。
俺はそう思ったが、即座に
「うそぴょーん!」
と言って胡麻化した。
また蹴られたら叶わないから、いじらしい自衛策だ。
「どっちかって言うと、いじらしいではなく、いじましいって感じですけどね。」
冷たくナーチャンの言われた。
なんか、俺の扱い、雑じゃね?
勇者でリーダーなんだから、もうちょっと敬ってもらってもばちは当たらないと思うんだけどな。
そのへん、どうよ?
「さて、魔導発電施設について、簡単にわかりやすく説明します。」
心読んでるはずなのに、完全に無視かよ…
「ぶっちゃけ言うと、原子力発電所と原理は同じです。
ただし、ウランの代わりに魔導石を使っている点が原発と異なりますが、メルトダウンの危険など、基本的な問題点は、ほぼ同じと考えて頂いて結構です。
その魔導発電施設が巨大地震によって壊れたとなると、由々しき事態です!」
なるほど、東日本で起きた大地震による原発事故と似たような事態だってことね?
大変じゃん!
隣国からトモダチ作戦で援助に来てくれないのかな?
「ところでさ、魔導石って何なの?」
「はい、魔導石とは、ダンジョン内の魔獣を倒した際にドロップする石のことです。
専用のマジックバッグに入れておけば問題無いのですが、ダンジョン外に持ち出してマジックバッグから取り出すと、核分裂を起こします。」
「核分裂?それってマズくない?」
「はい、マズいです。
連鎖的に核分裂が生じます。つまり、放射能にそっくりな魔素がバラまかれ、大量の熱エネルギーが放出されます。」
「大惨事じゃん!そんな危ない物、ダンジョンに置いて来た方がいいよ!」
「はい、それはそうなんですが、上手に制御すれば、温室効果ガスを発生しないクリーンなエネルギーとして活用できます。」
「なるほどね。でも危ないんでしょ?事故とか起きたら大変じゃん!今みたいに。」
「今は、とりあえず制御しています。
ただし、常時冷却水で冷やし続ける必要があります。
国内の発電施設のほぼすべてが停止しましたので、電力が枯渇しています。
ですので、約1週間で各地の魔導発電所がメルトダウンし、この国は魔素で汚染され、滅亡します。」
「それ、アカンやつやん!
環境問題とか人口とか考えてるうちに、魔導発電所が壊れて国が滅ぶってシャレになんないじゃん!
どーすりゃいいんだよ!
もう終わりだよ!
このラノベも完結だよ!
そして、この世界の人類は滅亡したのであった…
なんて、救いようのないバッドエンドじゃん!
俺、もう元の世界に帰るから!
あとはヨロシク!」
しがし、当然のことながら、そんな俺の切なる願いが聞き届けられることはなかった(泣)
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なんか、かなりヤバい事態に!
この難局を、タスクフォースはどうやって乗り切るのか?




