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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
産廃屋としての矜持

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第28話 産廃屋としての矜持~役所にも序列があるって世知辛いな

政治のしがらみで、いびつな制度が変えられないってこと、良くありますよん。

廃棄物についても、多くの課題がありながら、なかなか上手い解決ができていません。

しかし異世界では、またもや、リシュンの活躍により、すっきり解決です!

「セメント自体の生産量の問題だ。

セメントの生産が落ちると、セメント会社が使う廃棄物の量も減る。

つまり、安定性に問題ありなんだ。

ゴミもついでに燃やすってスタンスのセメント会社と、ゴミを専門に燃やす焼却炉との違いだな。

まあ、それはともかく、需要と供給のバランスで、焼却炉でのゴミ処理単価は、少しずつ下がって来ている。

つまり、廃棄物発電にかかるコストを顧客に転嫁することは難しいってことだな。」


「ふーん、そうなんだ。

じゃあさ、誰か負担してくれる人いないの?リサイクルなんでしょ?」


「さすがリーダー!目の付け所が違うぜ!

そういう時に頼りになるのが、政府の補助金だ。

制度の壁があって、電気を高く買うことは出来ないが、設備資金の一部を補助金で賄えれば、発電焼却も十分ペイするんだ!」


だよねぇ!

どうせゴミ燃やしてCO2出るんだったら、発電した方がいいよね!

そのための補助金なら、どんどん出せばいいよね!


「ところがどっこい、補助金を出すには、役所が予算を取ってこないといけない。

産業廃棄物を所管する省庁には、まったく力が無い、つまり金が無いんだ。」


なんですと!ダメじゃん!

やっぱりSランクの財務とか、Aランクの経済産業とか外務とかの力を持ってる省庁と、最弱の法務とか環境とかでは、勝負にならないってことだな。

ラノベの世界では、最弱が実はSランクに勝っちゃうなんて設定が流行りだけど、現実はそう甘くないよね。


「まあ、そういう訳で、サーマルリサイクルも課題が山積みなんだ。

一方で、産廃焼却炉の設置の許可を下す自治体は、基本的に単純焼却の許可を下さなくなってきているんだ。

一部の自治体では、サーマルリサイクルをはじめとする『エネルギー回収型焼却炉』以外の新設を認めない方針を打ち出している例もあるんだぜ。」


ふ~ん、そうなんだ。大変なんだな。


「じゃあさ、一般廃棄物とか産業廃棄物とかの区別を止めて、官民協働のごみ処理体制を作ればいいじゃんね。同じゴミなんでしょ?いっしょに頑張ればいいじゃん!そしたら、税金だって有効活用できるんじゃね?」


「さすがリーダーだ!

そうなんだよ!その通りなんだよ!

そもそも、ゴミはゴミなんだよ!

産廃ってのは、企業から出る法律で決められた20種類くらいの特定のゴミのことで、一般廃棄物ってのは、それ以外のゴミなんだ。

つまり、見た目も内容も全く同じでも、産廃と一廃に分かれて運用されてるんだ。

老朽化した自治体の焼却炉を、なんとかかんとか稼働させてる横で、立派な産廃の焼却炉がお腹を空かせてたりするんだ!

効率が悪いんだ!

そもそも、改正を重ねてるとはいえ、50年前に作られた法律の枠組みを今も維持しているってのは、無理があるんだ。

ただ、そこに手を入れると、50年間積み上げてきた法律やルール、体制を一挙に変えなきゃならないから、役人に死人が続出すると言われている。

でもな、いつかは誰かがやらなきゃならない。今のままでは、もう持たないんだよ。

なんでもかんでも充電池が付いた製品が増えているから、自治体の焼却炉の火災が相次いでいる。

ピットの中に溜まっているゴミにいったん火が点いたら、2~3日は燃え続ける。なかなか消えないんだ。

そうすると、再稼働まで少なくとも1年程度はかかってしまう。

じゃあその間、皆が排出するゴミはどうするんだ?

どっかで誰かが処理しなきゃなんないんだ。」


俺は、腕を組んで首を上下に振って、激しく同意しながら言った。

「なるほどね。

そうなっちゃったら、産廃だの一廃だの言ってられなくなっちゃうね。

そりゃぁ、官民協力してなんとかするっきゃないでしょ!

リシュン、よろしく!」


「了解だ、リーダー!

必ずや、俺のテクノロジーで、最適なごみ処理システムを組み上げてやるぜ!」


そう言って、リシュンは走ってどこかに行ってしまった。


俺はというと、今日の最重要課題に取り組まなければならない。

複数人がチームで仕事をする時、共通認識を持ったうえで、並列処理を行うことにより効率が上がる。

誰かが自分のタスクに取り掛かっている時、別の誰かが違う仕事をする。

そして、それぞれの成果を融合させて、高効率で精度の高い成果をスピーディにあげることが出来るのだ。

リシュンがリシュンの仕事をしている間、俺は俺にしか出来ないことをする。

非常にリーズナブルだ。


そして俺は、おやつのドーナツを食べて、屁をこいて寝ることにしたのだった。


その後リシュンは、AIを活用した新たな廃棄物処理法の制定、それに伴う新たな処理制度の創設、効率的な収集運搬制度の確立、廃棄物処理費の適正化などなどの施策を次々に展開するのだが、それはまた別のお話(←これ一度言ってみたかった!)。






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こんにちは、作者のアズマユージです!

『産廃屋のおっさんの異世界奮戦記』を読んでくださりありがとうございます!

もし「ちょっと面白いかも」と思っていただけたら、ブックマークや感想をいただけると励みになります。

今後も、異世界×環境問題×おっさんの奮闘を描いていきますので、よろしくお願いします!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

廃棄物の説明は、今回でひとまず一段落。

次回からは、また違うフェーズに突入です!

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