第18話 初めての任務〜現有勢力の最大限の活用
昨日はPVが低調でしたが、いいこともありました!
なんと、2つめのブックマークを頂きました!
嬉しいです!ありがとうございました!
ちなみにお次は、イコタンが活躍する番です!
どんな斬新なアイデアが飛び出すのか?
このところの人手不足を解消出来るような提案だといいですね!
いまだガヤつくメンバーを尻目に、サトータが会議を進行させた。
「リシュンさんの世紀の大発明はとりあえずこのくらいにしておいて、次はリコタンのヒューマンリソースの検討結果の発表に移りたいと思います。では、リコタンよろしくお願いします!」
「はい、リシュンさんのテクノロジーは確かにすごいですが、その全面的な利用にはまだまだ検討課題も多く、時間がかかると思います。
そこで、まず私のタレントを使って、それまでの間の繋ぎと言いますか、露払いと言いますか、即効性のある対策を施したいと思います。」
俺は、激しく同意した。
「なるほど、場合によっては、巧遅より拙速の方が役に立つんだよな!
ビジョンがどうこう、概念の整理がどうこう、10年後を見据えてなんて議論ばっかりして、ちっとも具体的な行動を起こさない、賢そうで偉そうな奴って、どこにでもいるんだよ。
いや、リシュンがそうだって言ってる訳じゃないよ!
君のテクノロジーは、ホントにすごい。
でも、焦って軽い気持ちで使っちゃうと、人類滅んじゃうからね!
全部パーだからね!
それはさすがに不味いよね、おじさん困っちゃうよ。
だからイコタンの言うように、慎重に検討して、アンパイなところから始めようよ!」
「はい、私もリシュンさんを否定するつもりは一切ありません。
さて、それでは、私のタレントを用いた検討結果ですが…。」
イコタンは、少し間を置いてから、意を決して強い口調で言った。
「私は、企業、政府、役所を横断した、人材のドラフト制度とトレード制度の制定を提案します!」
なんですと?
「新卒採用を希望する企業は、国営機関にその職種、職務内容、就労条件、希望人数等の詳細を登録を義務付けます。
また、その企業は、自社の財務内容や事業の状況、将来の見込み等を正確に申告します。
そして、人材供給側として、全国の高校、大学、専門学校等の就職希望者を有する教育機関も、同様に生徒の希望を登録します。
後は、私のヒューマンリソースのタレントを使って、適材適所に新入社員を配置するのです。」
「いやいやいや、職業選択の自由はどうなったの?
全く知らない会社に、明日からお前はあそこに勤めな!なんて言って、みんな納得するの?
普通は自分でリサーチして、企業訪問して、自ら見極めて納得して入社するんでしょ!」
「学生が企業訪問をして、事前にいろいろリサーチしたとしても、それはその会社の外面でしかありません。
どこの間抜けが、自社の欠点や問題点を学生に赤裸々に見せるとお思いですか?
つまり、OB訪問や会社見学なんかしても、何の情報にもなりはしないのです。
せいぜい、辛いことがあった時に、自分で選んで入った会社だから仕方ないと、自分を納得させるくらいの効果しかありません。
大抵の学生は、入社前のイメージと、実際入社してからのギャップに苦しんでいます。
そして、上手く適応出来た人は会社に残りますが、そうでない人は、さっさと辞めていくのが、最近の風潮です。」
「なるほどね。
まあ、社会人経験積んでも、外から見て会社の実態を見抜くなんて芸当、できる訳ねーしな。
学生がいくら気張っても、企業調査なんて儀式みたいなもんだよな。」
もちろん、一般的に銀行員がこういう感じの仕事で、商社マンはこんなで、メーカーはどうで、くらいの情報しか無いしな。
そうじゃなかったら、年によって人気業種に流行りすたりがあるのはちょっとおかしいもんな。
「確かに最近の新人は根性が無くて、すぐ辞めるって聞くしな。
しかも、退職代行なんか使って、とっとといなくなっちまうことが多いんだってな。」
「ユージさん、退職代行も使いようによってはなかなか良い仕組みです。
特に中小企業においては、いまだにパワハラが横行しています。
ハラスメントの怖いところは、受けた人がまともな精神状態でなくなるところです。
その人の前に出ると、声が出せなくなるほどのストレスを感じ、精神的に崩壊寸前の人が、退職願いを面と向かって提出することに恐怖を感じることは、容易に想像できます。
しかしながら、それを避けることでズルズルと退職を先延ばしにしているうちに、完全に病んでしまって、自死に追いやられるというケースは、枚挙にいとまがありません。
そうなる前に、退職代行を利用して、円滑に退職して次の職場を探す方が、余程健全であるとも言えます。」
「確かに、そうかもな。」
どこぞの一流広告代理店の若い女性社員が追い詰められて自死したなんていう、悲惨なニュースを思い出した。
「で、トレード制度ってのは?どんな感じで考えてるの?」
「はい。すべての労働者のスキル在庫をデータベース化し、AIによる定期的な個人面談を実施します。
それは、仕事で困っていることや希望から、個人的なこと、例えば遠距離恋愛している彼女がいるとか、体調に不安があるとか、話しやすい環境で、何でもヒアリングします。
いえ、そんな大げさなことではありません。時間がある時に、食事をしながら、お気に入りのアバターと本音トークしてもらうだけで、AIが必要な情報をピックアップしてデータベースに登録します。
また、企業の活動状況についても、常にウォッチし、どの企業にどのような人材が不足しているかをリサーチします。
それらの結果を有機的に判断し、企業間での人材交流、すなわちトレードを行うのです。
つまり、新たに人材を投入するのではなく、現有勢力を最大限活用して、パフォーマンスを上げていくのです。
オールスターチームでペナントレースを戦えば、優勝するのは当たり前、そんなの楽しくもなんとも無いですし、ファンも納得しません。
そうは思いませんか?」
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こんにちは、作者のアズマユージです!
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なんと、現在の技術でも、すべての関係者のコンセンサスが取れたら実現出来る提案かも!
通勤ラッシュがなくて、トレードによる転職が日常になると、時間にゆとりが出て、視野が広がると思いませんか?
そしてイコタン、政治家を極限まで減らしてしまおうって言うんだから、大胆ですね!
次は、どんな対策が出てくるのか?