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第12話 初めての任務~金で買えないものはたくさんあるが、それを手に入れるためにはまず金がいる

なんか、ユージが適当に呟いた言葉を皆が勝手に拡大解釈して、話は前に進んで行くのであった…

不安しか無いけどね。

なんか、話が勝手に進んでしまった。

俺は単に金がいると言っただけなのに。

世の中、金で買えないものはたくさんあるが、それを手に入れるためにはまずとりあえず金がいる。

誰が言ったか知らないが、言いえて妙な言葉だ。

愛は金で買えないが、愛する人と生活していくためには、どうしても金が必要なのだ。

原始時代や野生生物なら、話は別かもしれないが、現代社会において、最低限の貨幣は無くてはならない。


「先立つものが無ければ、食事も取れず、生命維持もおぼつきません。

金で愛を買うことは実は意外と簡単ですが、愛があっても金は必要、というのが世の中の真理です。」

これは、酔っぱらったナーチャンが言った言葉だ。

愛を金で買うのは簡単っていうのがいいな。

ナーチャンは、金持ちが好きなのかな?

リシュンとイコタンに頼めば、俺も金持ちになって、ナーチャンの頬を札束で叩いて楽しいことできるかな?


「それは無理です。

タレントを1個人の利益のために使用することは、この国の法律で禁じられています。

唯一の例外は、マイヤンさまですかね。

残念でした、ふっ…。」


またバカにされたよ!毛虫を見る目で見られたよ!腹立つなぁもう!


「そのくらい、わかってるよ!

タレントを皆が自分の利益のために使いだしたら、世の中無茶苦茶になっちゃうよ!

ちょっとおちゃめなことを考えてみただけだよ!」


「そのおちゃめなことと言うのは、メンバーのタレントを私的に利用して金儲けをしたうえ、ワタクシの愛を金で買って、あんなことやこんなことをしたいということですよね?

ぜんぜんおちゃめじゃないですよね?むしろゲスいですよね?サイテーです。」


サーセン…。

ってか、心読まないでよ、ホンマ頼みます…。


リビングでバカ話をしていたら、次々とメンバーが集まって来た。

そっか、前回の会議から、ちょうど一週間たったんだな。


「皆さん、お揃いですので、第2回タスクフォースミーティングを始めます。

サトータさん、よろしくお願いします。


「了解しました!ではまずは、お手元のモニターに表示された、リシュンさんのリサーチ結果のレポートをご覧ください。

本日の会議は、リシュンさんのプレゼンから開始します!

リシュンさん、よろしくお願いします!」


リシュンは、その長身を誇示するかのように、すっと立ち上がり、まさに威風堂々と発言を始めた。


「改めてリサーチして見ると、ひどいもんだ。

一言で言って、わが国の財政は危機に瀕している。

このグラフを見てくれ。

わずか25年の間に、500兆円だった国債発行残高は、3倍以上になり、5年後には2000兆円になると予想されている。

このままでは、この国には財政破綻という結末しか無い。

次に、2ページめの円グラフを見てくれ。

国債残高の半分を中央銀行が、4分の1を年金や国の機関が保有していて、他国の投資家の比率は10%強しか無い。つまり、他国からの経済的な侵略を受けるリスクが低いのが救いってことだな。

とはいえ、借金まみれで不健全な状況、そしてその借金は加速度的に増加し続けており、今後も改善の見込みは無い。」


確か同じようなことを、ナーチャンが言ってたぞ。

まあでも、二人の意見がそろったってことは、間違いないんだろうな。


「じゃあ、今後についてはどうだと思う?

もちろん、お先真っ暗だ。

かつて、エコノミックアニマルとして、黄色と黒のイメージカラーで世界を席巻していた、我が国の威信は、すでに地に落ちているんだ。」


確かに、24時間戦うことを美徳としていた時代があったな…。

それが今では、働き方改革とかなんとか言って、強引に労働時間に上限を設ける法律が出来ている。

そもそも、我が国の労働生産性は、他国に比して低いと言われている中で、労働時間を削減するなんて、問題解決から逆に遠のいている。

本来、労働時間の削減は、生産性向上もしくは労働力増強とセットで考えるべきものだ。


「さて、次に労働力増強について触れることにしよう。3ページめの生産労働人口、つまり働いている人の人数の推移に関する折れ線グラフを見てくれ。

ここ10年、生産労働人口は若干ずつだが増えて来ている。

これ自体はいいことだが、残念ながら安心しちゃいけない。

実は、生産労働人口に占める65歳以上の高齢者の割合も増え続けているんだ。

要するに、定年延長や高齢者再雇用によって、昔は引退していた高齢者を働かせ続けているということだ。」


それを聞いて俺は、素朴な疑問をつぶやいた。

「なんか知らないけど、最近の年寄りは元気な人多いから、働けるなら働いてもらったらいいんじゃね?どうせ図書館で新聞隅から隅まで読んで暇潰してるんなら、労働生産人口の一員になった方がいいと思うんだけどな」


サトータはすかさず、

「いい意見が出ましたね!皆さんも疑問点があれば、遠慮せずに発言してくださいね!

リシュンさん、リーダーの意見はいかがですか?」


「うん、そういう意見は出てきてしかるべきだし、俺も元気な年寄は働いて社会とつながりを持った方が健全だと思う。

ただな、人は必ず衰えて、最後は死ぬんだ。

ついでだから、我が国の人口について、少し触れておこう。

参考資料1を見てくれ。

本来、若い人が多くて、高齢になるほど少ないのが健全な人口ピラミッドだ。

もちろんこれは、人口が増加トレンドになればなるほど、三角形の傾斜がゆるやかになり、人口増加が止まると、長方形に近づく。

で、我が国の人口ビラミッドはと言うと」


「なんじゃこりゃ!

完全に逆三角形じゃねえか!

少子高齢化問題って日本と変わんねーじゃねーか!

異世界でこんなのってありなの?」


「そこのところは、突っ込まないでくれないか?

ラノベなんだから、ご都合主義なのはしょうがないだろ?

それよりも、その隣の50年前の人口ピラミッドを見てくれ。」


「めちゃくちゃ綺麗な三角形じゃねえか!

なんでこんなに違うんだ?」


「要因はいろいろあるが、直接的には、子供を産む人の割合が減ったことが原因だな。

次の表は、合計特殊出生率の推移のデータだ。

ちなみに、合計特殊出生率ってのは、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の平均だ。

人口を維持するためには、2.07が必要だと言われている。

ちなみに、50年前の数字は、2.13だ。

そして、直近の数字はなんと、1.20だ。

そりゃ、人口ピラミッドもいびつな形になるってもんだ。」


これって、マジでやばくね?




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こんにちは、作者のアズマユージです!

『産廃屋のおっさんの異世界奮戦記』を読んでくださりありがとうございます!

もし「ちょっと面白いかも」と思っていただけたら、ブックマークや感想をいただけると励みになります。

今後も、異世界×環境問題×おっさんの奮闘を描いていきますので、よろしくお願いします!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

話題は何故か人口問題に発展!

さあ、タスクフォースはどんな対策を考えるのか?

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