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産廃屋のおっさんの異世界奮戦記〜適当に異世界に召喚されたのに、世界を救えなんて無理ゲーじゃね?〜  作者: アズマユージ
正面衝突

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第105話 和平交渉〜兵(つわもの)どもが夢の後

全然関係無いですが、このところAI関連株が不穏な動きをしてますね。

過去何度も起こった、なんとかバブルの再来か、それとも人類が飛躍するための新たな産業革命の幕開けか?

リシュンがいれば、上手くやってくれそうなんですけどね。

なにはともあれ、今回は、戦の後の様子をお伝えします。

ジャポネ王国の王城城壁は激しく損傷しており、いまだ消火活動を続ける兵士たちの奮闘を鼻で笑うようい、そこここで煙が燻っていた。

白兵戦で傷ついた兵士は多数。

大量破壊兵器は使用されなかったたため、死者こそ少なかったものの、復旧には相当な時間を要するものと思われた。


そして、変わり果てた王城の様子を眺めながら、ユージは、ナーチャンに向かって言った。


「結構ダメージを受けたな」


ナーチャンも、厳しい顔をしながら頷いて言った。


「そうですね。

リシュンさんの新兵器がギリギリで完成したので、なんとか敵を撃退することは出来ましたが、我が軍の損耗もかなり激しいものでした。」


ユージは、つぶやくように言った。


「ホント、タッチの差だったな。

あれ以上戦闘が激しくなっていたら、両軍の被害はこんなもんじゃ済まなかったよな。」


「おっしゃる通りですね。」


ユージは、何故だか少し嬉しそうな表情を浮かべながら言った。


「しかし、新兵器を使う前に魔王軍は撤退したけど、やっぱりあれは俺の高度な交渉術が利いたってことだよね?

実は俺って、もう一つタレント持ってるんじゃね?ネゴシエーターとか?」


しかしナーチャンはいつもの冷静な顔で冷たく言った。


「いえ、あれは、最初に放った指向性EMP兵器が牽制になったんだと思います。」


「牽制?そうなの?俺の功績じゃないの?」


「もちろん、今回の戦闘においても、ユージさまの功績は多大なるものでした。

しかし、魔王軍が撤退したのは、初撃の指向性EMP兵器で近代兵器が使えなくなったため、さらなる新兵器を脅威に感じたのでしょう。」


ナーチャンの説明を受けて、ユージは面白くなさそうに言った。


「ふ〜ん。。。」


まるで子供である。

そんなユージに対して、すかさずナーチャンはフォローを入れた。


「しかし、新兵器である耐魔力AGI搭載型指向性EMP発生装置の開発をリシュンさんに指示されたのはユージさまです。

アルノルトさまの魔王軍に関する知識と、リシュンさんのタレントを融合させることによって、初めて開発が可能となったんです。」


「あー、なんかそんなこと言った気もするなぁ。」


その様子を見たナーチャンは、少し気色ばんで声を大きくして言った。


「あの新兵器は画期的で圧倒的なものなんですよ!

敵兵を殺すこと無く、武器のみ無力化する兵器ですよ!

戦場を焼野原にして環境を破壊することなく、戦闘を終わらせることが出来る兵器です。

こんなに素晴らしいものを、これだけの短期間で開発するなんて、まさに歴史的快挙です!

こんなことを考え付くなんて、ユージさまはGOATと呼ばれてもおかしくないのですよ!

しかも、ユージさまも魔王に対して言っておられたではないですか!」


相変わらず気の抜けた顔で、ユージは言った。


「いやまあ、あれはなんと言うか、勢いっていうか、その場の雰囲気って言うか、まああれだ。

言ってみたら上手くいっちゃったって感じなんだよね。」


それを聞いたナーチャンは、鼻で笑いながら言った。


「またまたご謙遜を。

すべて計算ずくであることはみんな知っています。

ホントにあなたというお方は、どうしてこうも欲が無いんでしょうね。

とにかく、魔王軍は死者こそ少なかったものの、所有する近代兵器は壊滅した上、魔道兵器すら無力化される危険を背負った訳ですから、そうそうすぐには攻め込んで来られないでしょう。

その間に、人族の他国の国力が回復すれば、彼我の戦力差も拮抗し、冷戦状態となるでしょう。」


それを聞いたユージは、つまらなそうに言った。


「冷戦なんて、疲れるだけだよ。

お互いメリット無いしさ。

魔王軍だって、この星を良くしようって思ってたってことがわかったんだからさ。

仲良くしようよ。」


ユージは、瓦礫の中に咲いた一輪の花を見つけると、しゃがみ込んでそれをじっと見つめた。しばらく沈黙の後、ぽつりと口を開いた。


「戦って勝っても、結局、壊れるだけなんだよな。人も、街も、心もさ。」


ナーチャンが静かに頷く。


「確かに、勝利の代償は小さくありませんでした。」


ユージは立ち上がり、空を見上げながら続けた。


「でもさ、今回みたいに、殺さずに止める方法があるなら、それをもっと広げていくべきだと思うんだ。敵を倒すより、敵じゃなくする方が、ずっと価値あることだろ?」


ナーチャンは目を細めてユージを見つめた。


「それは、理想論ではありますが…」


ユージは肩をすくめて笑った。


「理想論?そうかもね。

でも、“理想”って、誰かが本気で目指さないと、永遠に絵空事のままだろ?

だったら、俺たちが、ちょっとくらい本気になってもいいじゃん。」


そして、彼は王城の残骸を背に、歩き出した。


「戦争を終わらせるってのは、武器を捨てることじゃない。信じることを始めるってことなんだよ。」


一人取り残されたナーチャンは、その場に立ちすくんだままつぶやいた。


「ホントあなたというお人は。。。」

果たして、ユージの理想論は実現するのか?

次回は魔王軍側の様子をお届けします!

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