第10話 異世界召喚~新メンバー登場⑥
ちょっと長くなって来たので、今回でまとめてタレントの説明は終わりにする予定です!
「リーダー、真面目で一生懸命というのは、非常に大切で重要な要素で、美徳です。
だがしかし、常に緊張状態に晒されている状態で耐えられるほど、人間の神経は図太く作られていません。」
「いや、俺はお前の神経の図太さにビックリしてるんだけど?」
「ですので、エンターテインメントによる緊張状態の緩和、次なる活動へのエネルギー補充、笑いによる脳の活性化が、非常に重要になるのです。」
ガン無視かよ…。
「今や、どの時間帯にどの番組を見ても、司会やひな壇は多くの芸人で溢れています。
その是非はともかく、社会がそれを求めているから、そうなっているのです。
別にそれが誰であっても構いません。
大御所・視聴率芸人と言われる人たちが、スキャンダルで芸能活動を行えなくなっても、すぐに変わりの芸人がその穴を埋めて、何事もなく番組は進行していく。
つまり、人々はエンタメによる心身の癒し、明日への活力を求めているのです。
働けど働けど楽にならない暮らし、次第に老いる自分の肉体、愛する者との悲しい別れ、不慮の災害による生活の破綻など、人生とは辛く厳しいことの連続です。
そこに能天気で明るいエンタメを見ることによって、あまり深く考えずに自分も元気を出そうと思って前を向けるのです。
大活躍する日本人大リーガーが、特大ホームランを打ったのを見て、今日も元気になれるのです。
一般論ですが、明けない夜はありません。
明るい未来に期待して、今を生き抜くために、エンタメは必要不可欠なものなのです。
そして、それこそが、人が最大限のパフォーマンスは発揮するための秘訣なのです!」
なんか、どんどん近づいて来て、唾を飛ばしながら熱弁をふるって来た。
「ちょっ、いやっ、わかった!わかったから!ってか、近いよ!唾飛んで来るよ!
飛沫感染率100%だよ!」
「わかってもらえたら良いのです。」
そう言いながら、タケシトは応接セットのソファーにだらっと腰かけた。
「リラックスについてもおんなじ感じなので、説明は省きます。あ~疲れた。」
おい!自己紹介しただけだろう?
ってか、リラックスし過ぎだろう!お前がリラックスしてどうすんの?タレントってそういうもんなの?
「いやあ、人にリラックスしてもらおうと思ったら、まずは自分からですよ!ははっ。」
なんか疲れるから、こいつはもういいや。
きっといつか何かの役に立つんだろう。
そう思って、俺はナーチャンに向かって言った。
「で、これで全員揃ったわけか?」
「はい、その通りです。
それから、ワタクシもタレント持ちでございます。」
「えっ!そうなの?どんなタレント持ってるの?アイドルとか?」
「いえ、その部分は、タケシトさんにお任せしておりますので、違います。」
いや、こんな巨漢のおっさんが、アイドルって、それは無いわぁ。プー、クスクス!
パシッ!パシッ!
「おい!お前いま、スリッパで人の頭はたいただろ!リーダーに向かって何してくれちゃってるの!」
「はて?なんのことやら?」
タケシトは、右手に握った便所スリッパを後ろ手で隠しながら言った。
こいつ、しれっとすっとぼけたよ!やっぱとんでもない奴だよ!
「おい、ナーチャン!こいつ、クビに出来ないのか?失礼極まりないぞ!」
「残念ながら、タケシトさんのタレントランキングはこの国で屈指のもので、簡単にクビにすることは出来ません。
しかも、今回の人選は、マイヤンさま直々に行われたもので、我が国の神なんとかと言われている7人の一人ですので、必ずやユージさまのお役に立てる方かと。」
そーなの?だったら仕方ないか。
それにしても、あのニヤケ顔は、ホント腹立つなぁ。
いつか、ぎゃふんと言わせてやる。
「それで、ナーチャンのタレントはどんなものなんだ?」
「ワタクシのタレントは、ストラテジーとオペレーティングでございます。
ストラテジーとは、他のメンバーの方々のタレントの効果を集約して、効果的かつ効率的な戦略を立案するタレントでございます。
そして、その戦略を遂行するための様々な具体的施策を連続的に実施するためのタレントが、オペレーティングでございます。
この両者を併せることによって、大本営参謀本部の作戦が無為に命を散らすような無謀なものになることを防ぎ、絶大な効果を発揮することができるのです。」
それ、めっちゃいいじゃん!
ってか、ナーチャンだけいたら、他のメンバーいらなくね?特にタケシト。
パシッ!ボカッ!バスッ!ズボッ!
ナーチャン以外のメンバーから、総攻撃を受けた…。
「みんな知ってるか!最近は何でもハラスメントになるんだぞ!
部下から上司へのハラスメントもありなんだぞ!
訴えてやる!」
「いったい、どこに訴えるおつもりですか?」
感じの悪い微笑みを浮かべながら、ゆっくりと部屋に入って来た残念王女、マイヤンが言った。
どうやら、着替えて来たらしい。
「ちなみに私のタレントは、ディクテーターとエグゼクティブです。
つまり、独裁者にして、最高執行責任者です。
どうですか?優秀な王女にふさわしいタレントでしょ?」
やっぱとんでもない奴だ、こいつ…。
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