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4、遥かなる道


なんか英二が全く英二っぽくない。

どういう意味かというと英二が昨日より遥かに大人っぽい。

何だか違う。

まるで脱皮でもしたかの様に人が違う。

元から私は英二の事をあれこれ知っているつもりだったが今回は...格好良すぎる感じ。

私は着替えながら胸をバクバク跳ね上げる。


そして決心してから私は着替え終わって外に出ると英二が先に居た。

男性アイドルのコスチュームをしている。

ますますドキドキし始めた。

英二は苦笑いで自らの腕の辺りを見ていた。


「やはり似合わないな」

「何で?私は...格好良いって思う...」

「お前の方が似合ってるぞ。美玖」

「私より英二の方が似合ってる」

「...」

「...」


どうしてこうも言葉が出ないのだろう。

私が英二の事を好いているのは分かるけど。

こんな感じじゃどうしようもない。

困ったなぁ。

この先、どうしよう。

英二が好きすぎるから。


「...美玖」

「あ、うん」

「そのチェック柄のスカート...似合ってるな」

「あ...ありがと」


そして私達はコスプレのお披露目する場にやって来る。

ちょうどそこはアイドル達がよく居るステージをモチーフにされてある。

言わば聖域である。


「ね。英二」

「ああ。どうした」

「私、貴方だけのアイドルになる」

「俺だけのアイドル?」

「うん。大切な貴方の為だけのアイドルになる。他の人に披露するのは嫌」


そう言いながら私はゆっくりステージに登る。

それからニコッとしながら愛しい人を見る。

英二は私を見てから赤面していた。

「可愛い」とでも言いたげな感じでだ。

今日は英二の為にアイドルになる。


「英二。私は歌は上手くないから歌えないけど...今日だけは貴方のアイドルに本当になりたいから頑張るね」

「...無理しなくても良いんだぞ。美玖」

「無理はしてない。ただ今あるのは貴方を振り向かせたいだけ」


そんな感じに私は力を込めて説明する。

それから学校で習っているダンスを披露した。

英二は驚きながら私を見る。

ダンス部に行ってる私のダンスの力がこんな場所で発揮されるなんて思わなかった。

そう考えながら曲に合わせてダンスをする。

そして曲が終わる。


「えへへ。英二。どう...」


私は英二に感想を求めようとした。

その英二は唖然としていた。

私の視線に赤くなり慌てて横を向く英二。

あ、この反応は。


「えへ。英二。私、可愛い?」

「...」

「英二?」

「可愛すぎて直視が出来ない」


まさかの言葉に私は「へ?」と言う。

それから私は俯いてから真っ赤になる。

暫くお互いに無言で居ると英二が「次は俺かな」と言ってからステージに上がる。

それはとても輝いて見えた。



「本当に格好良かったよ。英二」

「...そうか。良かった」

「やっぱり私の最愛の弟だね」

「はは。確かにな」


そして英二と一緒にお店を後にしてから文具を買って帰宅する事にした。

私は少しだけ俯き加減で英二を見る。

英二は私をチラチラ見る。

やっぱ私、英二が好き。


「もしこの先さ」

「ん?」

「もしこの先、英二が一人になったとしても絶対に助けるからね」

「?...それは...」

「だから英二。私を助けてね。何かあったら」


そう言いながら私は前に走る。

それから英二に振り返る。

英二は私の笑顔に「全く」と呟いた。

そして英二は「分かった。約束する」と言ってから笑みを浮かべた。


「じゃあ帰ろうか」

「ああ。帰ろう」


そして私は手を差し出した。

英二は躊躇ったが直ぐに手を繋いでくれた。

それから私達は歩き出す。

うふふ。

本当に楽しいな。



美玖とのデート?が終わってから帰宅をする。

それから俺は見上げた。

自宅を。

後悔ばかりの自宅を。


「だけど」


俺はもう二度とアイツに会わない。

遭遇しない。

これからのシナリオは壊す。

破壊する。


そう考えながら俺はドアを開けると義妹の雪乃ゆきのが「お兄おかえり」と言ってきた。

旧姓は田中。

今は淀橋雪乃である。


目がクリクリして大きな目をしている。

アイドルには負けてない顔立ちに黒の長髪。

中学3年生。

確かモテモテだった筈だが。


「ああ。ただいま」

「遅かったね?」

「まあな。美玖とデートしてきた」

「デ!?」

「というのはまあジョークだ。買い物に付き合ってきたんだ」

「そ、そうなんだ」

「...」


雪乃は前世ではよく会いに来てくれていた。

病室に来てくれていつもりんごを剥いてくれて泣いていた。

なんで泣いていたのかは分かる。

悔し涙だった。

雪乃は前世で浮気した嫁と激突していた。

だけど結論から言って嫁は逃げてばかりで雪乃はいつもこう言っていた。


「あの女、ぶっ殺してやる」


と。

彼女は変わってしまった。

だけど今回はそんな事にはならない。

というか絶対にそんな事にしない。

俺は目の前の雪乃を抱きしめる。


「ふぁふ?!?!?」

「雪乃。この先何があってもお前を必ず守るからな」

「は、は!?お兄!?」


ん?雪乃がかなり熱いが?

なんでこんなに熱いのだろう?

そう考えながら雪乃を見る。

雪乃はあわあわしながら真っ赤になっていた。

俺は「?」を浮かべてからおでこを雪乃のおでこに接触させる。

すると雪乃は熱がある様だった。


「雪乃?お前もしかして風邪引いたか?」

「ちょ、ち、違うから!?お、お兄。離れてくれる?お願いだから」

「あ、ああ」


まあ雪乃も年頃の女の子だ。

こんな真似は「気持ちが悪い」という事だ。

馬鹿な事をした。

俺はそう考えながらウンウンとなりながら離れてから鞄を持つ。


「ちょっと二階に鞄置いてくるから。...色々とすまんな」

「あ、あの。い、嫌じゃないから」

「ああ。分かってる」


雪乃は優しいな。

そう考えながら俺は歩き出した。

だが。

そうすると何故かいきなり背後から制服を引っ張られた。

俺は背後を見る。

赤くなっている雪乃が居て俺の視線を感じるなり慌てた。


「あ、ご、ごめん」

「あ、ああ。どうした?」

「なんでも、ない。ごめん」


そして雪乃はリビングに駆けて行く。

後に残された俺は訳も分からないまま雪乃を見送る事になった。

どうしたのだろうか?

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