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第1話 庭の少女クウメルと外の世界



 綺麗な庭に、クウメルという少女がいた。


 クウメルは庭から出た事がない。


 庭はとても綺麗で、整っていて、楽しい玩具であふれているから。


 クウメルは庭から出る必要性を感じなかったのだ。


 そこに一羽の鳩が手紙をくわえて、飛んできた。


 クウメルは手紙を読んだ。


 そこには庭の外の出来事が、面白おかしく書かれていた。


 手紙を読み終えたクウメルは、庭の外に興味を持った。


 クウメルはもっと知りたいと思った。


 だから、それからクウメルは手紙の主と文通を続けた。


 すぐにクウメルはこう思うようになった。


 外に出たい。


 クウメルは手紙に自分の気持ちを記した。


 クウメルは自分がなぜ庭にいるのか分からない。


 物心ついた頃から庭で暮らし、庭で遊んできたが、その状況を説明するものはいなかった。


 だからクウメルは、手紙を読むまで、庭の外が存在する事も分からなかった。


 だが、クウメルは知った。


 知ったクウメルは、見て触れたいと思った。


 クウメルは外に出る日を丸詫びるようになった。


 また手紙が来た。


 手紙の主がクウメルを庭の外に出してあげると書いて寄越した。


 しかし、外に出るにはとある事をしなければならない。


 手紙の主はその方法を丁寧に教えた。


 クウメルは手紙の主の言葉を信じ、庭を管理する機会を故障させた。


 庭をしきる壁が壊れ、外へ通じる扉が出現した。


 扉から外に出たクウメルは、楽しい事がたくさんあるはずの外へ踏み出す。


 しかし、庭の外には楽しい事なんてなかった。


 物珍しい事はたくさんあった。


 知らないものも。


 しかし庭の外は、飢えと裏切りと争いに満ち溢れていた。


 外で生きる人間達は、すぐにクウメルを取り囲んだ。


 人々に囲まれたクウメルは、「お前だけ穏やかで平和で満ち足りた世界で一生を過ごすのは許せない」と言われ、指をさされた。


 その瞬間、クウメルは外に出るべきではなかったと悟った。


 クウメルはもう戻れない庭の中を思い、絶望した。



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