僕と姉。3
みゆきと付き合ってから、少しずつ変化が訪れた。
今まで、誰と付き合っても、誰と関係を持っても満たされなかったものが満たされていく。
それは、みゆきが姉と似ているからか。
やっと、姉の代わりになりうるかもしれない人が見つかったからだったのか。
今まで、とっかえひっかえしてきた女性関係を清算し、みゆきと真剣に交際するようになっていった。
しかし、みゆきと付き合ってからも姉との関係を変えることはできなかった。
そうして、僕が就職して数年経ったとき、もうこの歪な関係を清算したくなった。
その頃には、僕の本当の気持ちも分からなくなっていた。
僕は一体どうしたいのか。
みゆきとは真剣なお付き合いをしていた。
みゆきのことは好きだ。
僕があんなにクズだということを知っているはずなのに、飽きずに僕を愛してくれている。
僕は、そんな健気なみゆきの気持ちに応えたくなった。
僕がこんなことを言うのは、一生にたった一回だけだろう。
そんなことを思いながら、その日はらしくないくらい緊張していた。
みゆきをデートに誘う。
金曜の夜だった。
今思うと、僕は姉との関係を清算したいという一心でその日にしたのだろう。
僕は初めて姉の来訪を出迎えなかった。
そんな僕にみゆきは言った。
「珍しいね。いつも金曜日は会えないのに・・」
「うん。もうこれからは大丈夫だから。」
そして、僕たちはいかにもなオシャレなホテルのディナーを食べ、その場でプロポーズした。
「結婚してください」
いざとなれば、ありきたりな言葉しか出ないものなんだな。
僕の心からの本心で伝えた、最初で最後の言葉。
僕の心臓は激しく脈打っていた。
「・・・はい。」
みゆきは小さく頷きながら、今にも号泣しそうなくらいの大粒の涙を溜めながら答えてくれた。
そうしてその後、何度かのデートで今後のことを決め、結婚式までに2人で暮らせる家を探し、引っ越しの準備を始めた。
結婚するということは、意外とやる事が多く姉と連絡を取るのも少なくなっていった。
あの日、僕がみゆきにプロポーズした日も、姉は僕の一人暮らしのアパートを訪ねてきたようだった。
後からそのことを聞いた僕は、姉にみゆきと結婚をするということを話した。
「だから・・もう金曜は会えないから・・もう終わりにしよう。」
それを聞いた姉はニッコリと微笑みはしたが、なんだか目が笑っていないような複雑な笑顔を浮かべながら頷いた。
「そっか・・・旭・・おめでとう。」
姉のそんな表情を見て、僕の心はざわついた。
その後すぐに、みゆきへの罪悪感でいっぱいになったことで、我に帰る。




