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だが、彼の回想はこの程度では納まらない。何故なら、タクヤとその手下ども――本当に実在したのだとすれば、だが――はまだスタート地点に立っただけなのだから。自らに酔いしている様がいよいよ甚だしいタクヤが、更にノリノリで語るところによると、「…オレは海を渡った。ああそうさ、海を、ああ、あの大海原を渡ったのさ。ラ○ウを倒し(『お前がケ○オウで、世○末覇王じゃなかったのか?』という突っ込みはもっともではあるが、何しろコイツである。元々突っ込どころ満載、というより、そんなものしかないし、そんなものばかりである。是迄も此れからも。で、ある)これからシ〇ラの国に攻め込もうってテンションのオレは、サ〇ザンド・サンフラワー号の甲板で汐風に吹かれ、手摺りに寄りかかり、洋モクを燻らせながら、ふと思いついちまった。『大〇賊時代……。来るな』」ってな」だそうである。それを聞いたマスコミ諸氏は沈黙したという。……というよりは、ドン引きしたと表現した方が適切であろう。そして確信したことであろう。「キモっ!」「キショ!」「バカもいいところ」「アホもいいところ」「テメエで吐いたウソにテメエで酔ってやがる!」「てめえを美化して称賛する妄言を誰よりもてめえが信じ込んでビタいち疑っていねえ!」「自己肯定感、こいつやっぱぱねえな」「やっぱイっちまっていやがる」「それにしても何キメてんだ。コイツは」「やべーなんてもんじゃねえよ」「メッチャクチャにやっべー奴じゃん」「『大○賊時代来るな』は、或る意味、今後の国際政治の行方を、この人なりに語っていると言えなくもないかもしれない。まあ、未来永劫来ることはないのだろうけれど」「よりにもよって、なんだってこんな脳みそお花畑なんだかウジが湧いてんだかわかんねえような、どチンピラが……」等々。
もはや、ここまでのクルクルパーともなると、きっと、いや、確実に、誰もが「これ以上こんなのに関わっていたくない」に違いないのだが、それでもとある一人のマスコミュニケーションに従事する者はあらん限りの勇気を振り絞って一つの質問――タクヤの言動にはいくらだって突っ込みどころがあるのだが、さすがにここまでが精一杯であった――を投げかけた。かのとあるマスコミの一人は問うた。「あなたとあなたのお仲間がご活躍なされたのが国内ではなく国外だということはわかりましたが、それにしても、あまりにもこの国内で知名度が低いとは思いませんか? あなたが言うほどに、あなた方に実力があったとすれば、いくら異郷の事だったとはいえ、多少はこちらにも噂なりなんなりが伝わってきそうなものだと思うのですが」と。これに対して、タクヤは「てっめえ、てめえはこのオレがヘタレだって言いいたいのか? 実際のところは、洋モクなんか燻らせようなもんなら無様にむせ返るだけで、サ〇ザンド・サンフラワー号でシ〇ラの国になんか旅立っていなくて、それどころか、ニートのひきこもりだったとでも言いてえのか! ああああんっ!」と、キレ散らかした。これにはさすがに勇気ある問いを発したかのマスコミの一員も、「え、いや、そこまで言ってるわけではなくてですね……」と、しどろもどろの体にならざるを得なかった。しかし、追い込まれているのはタクヤも同じであった。彼は彼で彼なりにピンチを感じてはいたのだ。「もしかしたらウソがばれちまうかもしれねえ」と。今更なのではあるが。
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