gr 00 3-21
こんな時間にこんばんわです。
此度も、お付き合い頂けると嬉しいです。
タクヤは過酷な異世界の現実に打ちのめされ自室に引き籠っていた。
「知らない天井……」
ベッドの上に横たわっていた。
「なんなんだ? なんなんだよここは!」
ジタバタとし出して叫んだ。
「このオレが一体なにしたっていうんだよ!」
イキっている自称ワルの小者なら如何にもやっていそうなしょうもないこと――もちろん、人に語る場合には盛りに盛って、タクヤの価値観ではセンスと知性がなければ到底実行しかねる一端の武勇伝に仕立て上げるのだが――ならいくらでもやり散らかしているのだが。
ひとしきりジタバタすると再びふさぎ込み活動を停止した。
「もうこんなとこ嫌だ!
メシはマズいし、街は汚いったりゃありゃしない……」
ウォシュレットもなければスターのシールタトゥもないどころではなかった。食事だってクッソ不味のカッチカチのパンかゲロみたいなオートミールばっかり。たまの御馳走が生臭いか腐りかけの獣肉ときている。
「得たものといえば収〇魔法だけじゃねえか!
なにが悲しくてしまわなきゃならねえんだよ!」
特にやることもないので所持しているアイテムのチェックでもすることにした。
「と、言っても、考えてみりゃ、あのシケた村にそんなに御大層なものなんぞあるはずがねえんだよな」
間隙に収納している物を取り出して並べてゆく。
どれもとりあえずピカピカと光っている。タクヤにとって価値がありそうに見える物というは、要するにカラスが好んで自分の巣にコレクションしているような物なのだ。
見れば見るほど、どれもこれもが、「おもしろチープ玩具」の類にしか見えなくなってくる。
ひょいひょいひょいとばかりに掴んでは出し掴んでは出しを繰り返していたら、
「ん?」
全然ピカピカ光ってない何だかもっさりしたのが出てきた。
「古本? こんなもん盗んだ憶えなんかねえぞ。だいたい村で本なんて見かけたことすらねえ。そもそもあいつらみたいな低知能で学が低い連中に字なんぞ読めるはずがねえ(元いた世界では結構低学歴――一応中卒ではあるが、実際は小学三年でドロップアウト――であり、それ相応の知識や教養すらなく、ガチでかなりのバカであることにすら気づけないないほど地頭が悪いというのに、一体どの口がほざいているのだろうか?)だろ」
タクヤは古本のページをパラパラとめくってみた。そこには見たこともない文字がびっしりと書き連ねてあった。
「その点このオレは、たとえ異世界のものであろうとちゃんと読めるんだからスゲーよな。やっぱレベ違でグレートだぜ」
全ては異世界転生神様ボーナス――翻訳対話スキル(ワ〇ルドト〇カー)のおかげだというのに。もはやそのことにすら気づいているんだかどうだか。まあ、「何が書いてあるかは読める」と「何と書いてあるか解る」とは違うのであるが。もちろんタクヤにはちんぷんかんぷんで何一つ理解など出来てはいない。
タクヤは古本をポイと投げ捨てた。元々、字しか書いてない本などには欠片の興味もない。
「んっ?」
頭は悪いのだが、人並以上にマンガを読みアニメを見てはいるので、タクヤはあることには思い当たった。
如何だったでしょう?
御意見・ご感想等頂けますと有り難いです。今後の展開の参考にさせて頂けますし、何より、読んでくださってある方がいると実感出来て、作者は喜びます。




