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gr 00 3-16

宜しくお願いします。

こうなればタクヤとしてはしめたものでものである。タクヤだって九九は満足に出来ないにしても、足し算や引き算くらいは……、まあ、かなり怪しいかもしれないが。さすがに二桁以上ともなると。足を入れてもニ十本しか指はないことだし。第一村人に対してしたように、この異世界では彼しか知らないとあるラノベの呪いのエピソードのまんまパクリを披露し、あとは止めとばかりに聴衆の誰かに剣を借り、転生ボーナスである収〇魔法を駆使して、“自殺が許されない呪い芸”を披露すればいい。ここまでやれば、聴衆の誰もが驚嘆の声を上げ、それまでの頭のおかしい可哀そうな子を見るような視線は、うって変わって、その身を挺して世界を守った救世主――悪の大魔王を倒した伝説の勇者にしか注がれないものとなるのである。

 噂は噂を呼んだ。「伝説の救世主に一目でもお目にかかりたい」、「伝説の勇者の物語を是非とも拝聴したい」と、タクヤのもとにはひっきりなしに人が訪れるようになった。大衆はタクヤに更なるエピソードを欲した。要するに、やはりご本人様が語る勇者の冒険譚は大衆に大いにウケた。当然であろう。何しろ彼が語るのはみんな大好き剣と魔法の異世界ファンタジーそのものなのだから。しかも無数にある作品の中から特に人気のあるものの完全なパクリばかり――いいとこどりのパッチワークなのだから。むしろウケない訳がないのだ。

タクヤの元いた世界では異世界ファンタジーもの――特に主人公がチートで無敵で無双して無暗矢鱈に美少女たちにモテまくる――は大人気コンテンツであった。故にその作品数は夥しく愛好者も多い。需要があるのだから、無数にタイトルが存在するのは当然であり、その大半が類似してくるのもまた必然であろう。そういったものこそが大衆に望まれ、好かれるものなのだから。タクヤもそういった如何にもなものが大好きである。メインストリームであるベタベタなステレオタイプが好みなのだから、“ネタ”が極めて多く、似ているのだから、パッチワークを、自分が如何にグレートであるかを誇る自慢話――いや、“伝説”を紡ぐ際にも、素材同士の親和性はとても高く、語り手の“編集”が多少下手くそでもどうにかなってしまうのである。典型的なラノベ主人公の上位互換がペラペラといい気になって語るがままに、容易に出来上がってしまうのである。オリジナリティーなど欠片も要りはしないのである。そして自らの冒険譚に仮にタイトルをつけさせたとしたら、無駄に長いものになったであろうことは想像に難くない。


また、明日、此の位の時間にお会いしましょう。

多分。

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