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gr 00 3-7-1

本日もご一読下さると有り難いです。


「おいおい、それじゃここが、せっかくの異世界だってえのに、剣と魔法のファンタジーワールドじゃねえみたいじゃねえか」

「ファンタジー、とな? 何のことじゃろうか? ここは極めて現実的な、地に足の付いた世界だと儂は思っちょるんだが。剣はまあ護身用にワシでも持ってはおるが、あんたの言う聖剣っていうのは宝剣とか大業物のことかね? だとしたら、そんなもん持っとるのは王族とか貴族の類じゃろ」

 確かに庶民が日常生活に使っているようなシロモノではないだろうが。

「宝剣の類だとしたら、王位継承のセレモニーに使われたり、血統の正統性の証だったりで、実用性はどうじゃろうかのう。斬ったり刺したりとかには、必ずしも向いておらんのではあるまいか?」

「ま、まあな」

「その点、大業物と呼ばれるようなもんは切れることは切れるじゃろうが、稀少な国宝級の刀剣を好き好んで戦に使う酔狂はおらんじゃろ」

「ど、どうして」

「もしもポッキリ折れちまったり、刃毀れとかしたら勿体ないし、価値とかもガタ落ちしてエラいこっちゃろ?」

「ま、まあ」

「魔法ともなるとそれこそ神話か伝説でしか聞いたことがないのう。そんなもん使えるもんはどこにもおらんよ。おる筈がなかろう」

「ちょっと待て! そもそもここって異世界だろ?」

「はて? さっきからあんた何言っとるじゃ? 抑々異世界とは何のことじゃろうか? 異邦ってことかの? まあ、あんたから見たら、そりゃ此処は異国なんじゃろうが」

「……はぁっ?」

 詐欺にあったような気分だった。

(は、話が違う! こんなバカなことがあるか。あってたまるかよ!)

「だ、だったら、だったらモンスターとかとどうやって戦うんだ? どうやってぶっ殺すんだよ!」

「モンスター? モンスターってのは、オオカミとかクマとかトラとかライオンとかのことかの?」

「い、いやいや。そんな生易しいもんじゃなくてだな、もっとデカかったり、狂暴だったり、超強かったり、火を吐いたり、凍結させたり、雷を落としたり……、なんかこうもっといろいろとだな……」

「ハハハハハハハハ」

 タクヤは爺さんに豪快に笑い飛ばされた。

「若いの。あんたやっぱりちょっとばかり頭の打ちどころか悪かったみたいじゃのう」

「う、うるせえ!」

「いくらなんでもこの世にそんなバケモンがいる筈がなかろう。そんなもんはそれこそお伽話の中にしかおらんよ」

「………………」

 こう来ると最早言葉が出てこなかった。

(な、何を…………。

 何トンデモねえこと言ってんだ? 何トチ狂ったこと言ってんだ? 何血迷ったこと言ってんだ? このジイサン……。何、根本的に、異世界を、異世界そのものを、異世界全部まるごと完全否定するようなこと言ってんだ? こいつは今、自分が何を話しているのか解っているのか? それは阪○園芸が甲○園を、「阪○甲○園球場などというものは此の世に存在しない」って言っているようなもんなんだぞ! おいおい、解ってねぇだろ! いや、ちっとも解っちゃあいないたろ! それどころか、全然解っちゃいないだろ!

 其処にオマエも含まれるんだぞ! オマエはオマエ自身も、自分自身という存在自体も、完全否定しにかかっているんだぞ! その歳まで無駄にながらえてきてそれでいいのかよ? 本当の本当にそれでいいのかよ? あの聖地であり夢舞台である、あの大甲○園の“御庭番”たる阪○園芸のプライドは何処へいっちまったんだよ?)

 ……いや、抑々、目の前にいるお爺さんは阪○園芸の所属のではないのだけれども。


本日も最後までお付き合いして頂き、ありがとうございました。御意見・ご感想等頂けると、今後の励みになり、作者は大変喜びます。

其れではまた明日午後10時にでも。

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