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……余裕がなくなってきました。元から余裕なんて無いのですが。矢張り私は書くのが無茶苦茶遅いです。全体の骨格は、あらすじは頭の中では殆ど全て出来上がっているのに、肉付けが、実際文章にして出力してカタチにするのが全くもって伴いません。追い付きません。活動報告にも記した何だか頭がヤバそうな奴が書いた文章にある通り、健康の面で致命的な要素を確かに引き摺っている状態ではあるのですが。これで集中力も思考力なくなるとどうにもならないです。
……前置きが長くなりました。
何だか少々辛気臭く成ってしまい申し訳ありません。
若しよろしければ、今宵もお付き合い下さい。
タクヤは意識を回復した。
「見知らぬ天井……」
今度はちゃんと天井があった。
(いかにもな木製の異世界の……)
ガバっと起き上がり周りを見回すと、
(ゲッ。さっきのよぼよぼのクソじじい!)
「うっ」
頭が痛い。両手で頭を抑えると何かが巻いてあった。どうも包帯のようだ。右の足首も痛い。どうやら襲い掛かった時挫いたらしい。
「お。ようやくお気付きなさったか」
そう言って、本来なら今頃はぶっ殺されて身ぐるみ剝がされている筈のよぼよぼが、よぼよぼと、如何にも老い先短かそうに椅子から立ち上がってこちらに近付いてきた。
右手には鉄鎚、左手には鑿が握られている。
(やっべ、このジジイ手負いのこのオレに止めを刺すつもりでいやがる! しかも、刻む気でいやがる! それとも噂に聞く大陸の凌遅刑ってやつのつもりか? この“民”めが! ここはシ○ラの国かよ! なんて冷酷で残虐なんだ! 異世界人、信じられねえ! なんて野蛮人! なんてクズ野郎なんだ! 話が違い過ぎるじゃねえかこれ!)
テメエからコロすつもりで飛びかかっていった真性のどクズがどの口でそんな寝言をホザいているのか? 勿論、コイツが気付いている筈はない。若しその気であれば老人は、殺すつもりならこのバカが気絶している間にとっくにやっているだろうし、それ以前に治療などす施す筈が無かろうに。タクヤ程度の知能ではそこまで頭が回りはしない。
「お、落ち着け。落ち着くんだクソじじ……、いや、おじい様。は、話せば、話せばわかるって……」
老人はタクヤが何だか怖がっていることに気がついた。
「おお。これはこれは。すまんすまん。鑿と鎚は少々物騒だったかのう。いきなり木々の間か飛び出して、ワシの眼の前でピクリとしなくなっちまったからのう。この鑿と鎚はワイの商売道具での、ワシは仏師をやっておるんじゃが……。
というか、あんた、言葉解るんじゃな。見たところこの国のモンじゃなさそうじゃが」
そう指摘され初めて気がついた。確かに、明らかにニッポン語じゃないのに何故だか聞き取れてもいるし話せてもいる。アルファベットを調子が良くても二十個くらいしか知らないレベルの語学力の者が、である。そんなのにどうしてこんな離れ業が出来ているのか? それなのにこの事実を全然不思議だとは思わないのがタクヤ――義務教育を小学三年生で完全否定し、お情けで貰ったような小学校の卒業証書を、「オレってカッコいいだろ?」とばかりに得意顔でイキリ、ロボットと見下すデクどもの前で破り捨てるパフォーマンスを披露し、「人生は冒険や!」が決まり文句のヒッキーニート――自称・(初代)少○革○家をやっている男である。要するに、そういう痛いことをめちゃくちゃカッコいいつもりで人様の前でホザいていい気になっていられるヤツというのは、コイツというヤツは、そこまで知恵が回らないのである。
この点ではまるで気付きもしなかったタクヤであったが、
「ど、どうしてオレが異世界人だってわかる?」
(やはり到底隠しおおせぬ、選民のオーラとでもいうものが下々の者――“民”には眩しすぎるのかね? やっぱり?)
タクヤは地味にだがニヤりとした。
「異世界人? 最近じゃ、渡来人のことをそう言うのかね?」
「えっ? と、トラ……って? 阪○とかか何かか? それって?」
小学生の社会の教科書に出てくる基礎中の基礎単語なのだが、そんなものをタクヤが知っている筈が無い。
「『阪○とかか何とか』は知らんが……。あんた、外人さんとは違うのかね? 見たところ、何処か遠くの外国から来なさったとお見受けしたんじゃが?」
「が、外人? ただの外国人だと? このオレがか?」
(外見からしてただならぬ、スーパーチート勇者たるこのオレ様がただの外人にしか見えねぇっていうのか、このジジイ! テメエはどんだけモウロクしてやがんだ!)
本日も最後迄お付き合い下さり、有難う御座いました。若しよろしければ、明日もお付き合い下さい。
明日の分はまだ何とかなりますし、それ以降もやれるところ迄は頑張ってみます。
それでは。




