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gr 00 3-3

タクヤ散る。


こういう感じで異世界転生でよろしいんですよね。少なくともこれを書くにあたり、異世界ものを改めて一通り勉強してみたら、こんな感じがお約束だったのですが。


それではどうぞ。

 タクヤが絶好のターゲットとと狙いを付けた、この小学校低学年っぽい、見るからなもやしっ子は、全くもってコイツの期待を見事なまでに裏切った。もやしはタクヤ必殺のテレフォンパンチを苦も無く躱すと同時に懐に入る――まるでジ〇ングの指ビームを避けつつ、その隙間をぬって間合いを詰めてくるガ〇ダムの如く――と狙いすましたレバーブローを暴走族の総長もどきに叩き込んだ。

「ゴホッ」

 タクヤは堪らず肝臓の辺りを抑え、くの字になって屈み、後ずさった。結果から言うとこのバックステップがコイツを救うことになった。タクヤの鼻先をもやしのキックがかすめたのだ。

(こ、このガキ。ガチのマジでオレのタマとりにきやがった! アタマおかしいんじゃねえの?)

 もやしはタクヤに正対して、なんだかケ〇シロウみたいな構えをとっている。

 完全に見込み違いだった。

(こ、コイツ、ヤベえ奴だ! どっからどう見てもゾクの総長のこのオレをヤろうとしやがった! 常識ってもんの通じねえ非常識な反社だ!)

 主人公気取りなのも多いに気に入らなかったし。

「こっ、このオレ様を、この世にたった一人しかいないこのオレ様を、よりにもよってコケにしやがって!」 

 タクヤは小学三年生の時の、あの日のことを思い出していた。喧嘩最弱のド底辺に成す術もボコボコにされた悪夢が脳裏を過ぎる。

 ギュッと奥歯を噛み締めた。

 こうなるとコイツの次の一手は、

「きょ、今日はこのへんにしてやらあ! お、覚えてやがれ!」

 当然こういうことになる、ってか、コイツの性格上これしか有り得ない。

「次はねぇからね!」

 タクヤは一丁前の捨て台詞を残し脱兎の如く逃げ出した。金糸で縫い取られた、無駄に画数の多い漢字の羅列――そこには何のメッセージもポリシーもありはしない――を、ついさっきまで恰好のエモノとしか思っていなかった小学生(推定)に晒して。この時の全力疾走のタクヤを止められる者など誰もいなかった。たとえ横断歩道の向こうの歩行者用の信号が赤であったとしても。

 という訳で確かに「次なかった」のである。

 タクヤは車道に飛び出した。そこにお約束のようにトラック。コイツはやはりお約束のようにトラックに轢かれた。

 タクヤにはこのシチュエーションに既視感があった。まあ、そうだろ。コイツの嗜好や日常からしてそれはごく自然なことだったのだろうから。

(あれ? これって異世界行きってことじゃね? だったら向こうでモテモテじゃね? ハーレムが出来るんじゃね? だって、ラノベの異世界ものの主人公つったら絶対そうだぞ。チートで無敵で無双すんの確定じゃん。そのためには「異世界転生神様ボーナスに何をもらうか?」なんぞと、シロウトならない知恵絞っていろいろ迷うとこだろうが、フフフフフッ。超上級者のオレたる者なら、んなもんは決まりきって……)

 ここでタクヤの意識は途切れた。

 それにしてもコイツはどこまで前向き、いや、どこまでおめでたい奴なのだろうか?


 次回より、お察しの通りの舞台を“異世界”に移します。

 ……異世界…………。

 まあ、異世界なことは異世界です。

 ……とは考えております。


 乞うご期待。

 ……とか言って実はあまり期待されると困るのですが。既に明言しているように、この物語は従来の異世界ものとは大分違ったものになりますし、だいたいアレが勇者とかないですよ。

 それに私は是れ迄異世界ものなんて書いたことがないですし。それを目の肥えていそうな人達に晒すというのは……。

 それでも宜しければ明日の午後10時にでもまたお付き合い下さい。私なりにがんばってみます。


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