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……『北斗の拳』40周年……。って、えっ! 40周年? これってそんなに昔の話だったのか。
知らなかった。
加えて今現在YouTubeでアニメが期間限定で無料で視聴可能。
こちらも知らなんだ。
第3章突入。
タクヤ17歳。
それではどうぞ。
タクヤ十七歳。
あれ以来ずっと学校になど通ってはいない。
「九九なんて満足に言えない(どういう訳だか一の段だけは昔から大得意)し、英語なんて必要ない(ここはニッポンなんだからニッポン語が話せれば十分で、ミスター・ジ○イアンツみたいに会話のそこら中に英単語を挟む必要などない。ミスターは「さかなへんにブルー」とか言っていたが。鰯雲と言いたくて鯖と言ったのだと言う。それはそれとして、このオレ様はニッポン人なのにアルファベットを二十個くらいも知っているのだから凄く凄い)し」というこの頃の当人の弁が、当時の彼の知に於けるスペックを端的に物語っていると言えよう。どうやら、「雲の如き自由人には人並に遥かに及ばない最低限の教養すら不必要」であり、それどころか寧ろ、学校に通っていた頃から既に地頭自体が悪かったことが判明していたというのに、不登校によって更に磨きがかかった持ち前の低知能も、今ではロボットから程遠い指標としでも解しているのか、自慢ですらあるらしい。常識の通用しないのがヤンチャでカッコいいヤンキーであり、最高にクールなワルの中のワルだとでも思っているのであろう。何しろ彼にとっての最もイケてるヒーロー像とは、カッけー特攻服に身を包んだ史上最凶最悪の武闘派暴走族の総長――無論、喧嘩無敵の最強キャラ――なのだから。まあ、彼くらいの年頃の男子が喧嘩の強い不良に憧れるのは、小学校女子が足の速い男子が好きになり、ミ〇ト区女子が金持ちの有名人に靡くようなものなのかもしれないが。
普段は部屋に引き篭もっているタクヤであるが、その日は珍しく外に出た。その日は待ちに待ったゲームの発売日であり、その初回特典――それも店舗限定――は絶対ゲットしなければならないのだ。この勝負の日に際して、タクヤは白を基調としたトリコロールの特攻服――勿論、背中には金の刺繍で無駄に画数の多い漢字が如何にもそれを身に纏う者の揺るぎない主義なり主張なりを力強く訴えているかのようにぎっちりと所狭しと刻まれているのだが、リュックを背負っているが為に隠れてしまっている――着こんでいた。ポケットに両手を突っ込んで、黄金の縫い取りをアピール出来ないことは残念だった――ポリシーもメッセージも何にもないのだが――が、それでもそれこそ肩で風をきり周囲に見せつけるように。クールなこと極まりない「オレって超カッケーだろ」とばかりに。そう。この時点で既にタクヤは某貸衣装店の顧客だったのだ。彼の姿を認めた者は当然のように間違っても視線が合わないように目を逸らし見なかったことにするかのように振る舞う。タクヤは得意だった。「どいつもこいつもオレに恐れ慄いてやがる」と思うと気分は最高だった。本当のところは「あんな頭のイカレたクズに絶対に関わりたくない」なのだが。そして、その日、目的のブツをゲットするにはこのいかしたファッションが不可欠だとも少なくともタクヤは考えていた。
……アニメ『北斗の拳』……。見たい気持ちはあるが、これ見出したら、多分、連日定時更新なんていうのは無理でしょう。ただでさえ書くのが遅くてこの程度の分量ずつしか投稿出来ていないのに。退院上がりの病み上がりで体調(いや、活動報告でも書きましたけど、アタマではないですよ。オカしいのは)を配慮されて相当緩くしか拘束されていないというのに。
それではまた明日午後10時にでも。
宜しくお願いします。




