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俺の戦記  作者: かな河
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95話 山場(12)

 俺は小林家が持ってきた情報をもとに部隊の編成を行う。投石機の利用は決戦を行う前に行わなければならない。でなければ意思疎通が十分に取れない相手が裏切ってくるという不確定要素にたいおうすることができない。というのも投石機はほとんど石を制御することができないため同士討ちの可能性が出てきてしまうからだ。(あれ、前でもどっかで言った気がするぞ。まあ、いっか。おさらいということで)配置を考え終わるとすぐにそれを他家に伝える。今回は無意味な軍議を開いている暇はない。小林の情報をもとに予想を立てると明日の夜には俺が投石機の部隊を配置しようとしている場所で野営をしまう。想定内ではあるものの俺はかなり焦っている。野戦はとにかく時間が足りないものだ。別に今回は俺たちは機動戦を展開しているわけでもないけれどそれでも時間が足りない。俺は各軍に細かい指示を出しつつ配置につかせる。明日の夕方まで配置につかせておけば問題ないように思うかもしれないがうまいこと兵を潜伏させて奇襲的に攻撃を仕掛け、さらに逃げ道を確保させるためにはそろそろ配置付近につかせなければならないと部隊のほうがやらなければならない仕事が終わらなくなってしまう。俺はその指示を出し切ると何人かの兵士を呼ぶ。そして兵士たちに小林家から得た情報を見せた後こういった。

 「この情報はあくまでも目安だ。信憑性は高いようで低い。ある程度は根拠にしていいかもしれないがすべてを信じてはいけない。お前たちの仕事はこの情報の裏付けを取ることだ。全くあっていないようならすぐに戻ってこい。多少あっているようなら違うところを訂正し、足りない情報は補ってこい。」

 「分かりました。」

 兵たちはそういうと去っていった。俺はひと段落すると少し時間は早いが眠りにつく。

 俺は次の日、目が覚めると現状を兵に確認しそれから自分の目でも確認する。異常はなく物事は進んでいた。しばらく俺は外に出て地形の確認を自分で最後にもう一度行う。それがすむと俺は自陣に戻る。すると昨日、偵察に行かせた兵たちが戻ってくる。すぐに俺は報告を聞く。報告は小林家の情報通りだったとのことだ。ここで俺はようやく小林が騙されているのではではないかという恐怖から解放された。俺は各軍にこれ以上の行動を控えるように指示し夜を待つ。

 夕方になり敵軍がこの近くに来る。そして俺の予想通りに野営を始める。その後も敵の偵察兵に警戒しつつ、また見つかった場合すぐさま殺し何とか日が暮れるまで過ごす。完全に日が暮れると俺は小林家の兵に攻撃開始の伝令を行うように言った。そして俺の部隊を引き連れ、敵の陣に向け投石を開始する。しばらくすると小林家の兵が伝令をおこなったのだろう。他の部隊も投石を始める。敵は少しの間混乱し続け一方的に攻撃を受ける。しかし少偵察の兵が帰ってこないことを不審に思っていたのだろう。すぐに反撃をしてきた。俺はすぐに部隊に撤退の合図を出す。短い時間ではあったがかなりの被害を与えることができただろう。準備通りにしっかり撤退する。自陣に戻ると見張りの兵を残し兵には寝るように指示を出す。簡単には興奮が冷めないのだろう。夜遅くまで兵が寝る気配はなかった。

 次の日、俺たちは敵軍とにらみ合う。どちらも動かずにらみ合いを続ける。距離はお互いの姿がはっきり見える距離である。向こうはこちらの奇策に警戒して動かないのだろう。こちらが動かないのは敵の中にいる裏切者がどこにいるかを小林家が探しているからである。昼下がりになりようやく小林家が敵の中にいる内通者を発見する。情報によると敵の一番後ろにいるとのことである。それがわかってもしばらくにらみ合いを続ける。向こうもこちらも現在は完全に防御に振った陣形であるからだ。この状態では焦れて先に攻撃を仕掛けたほうが負けになる。そのことがこちらも向こうもわかっているから動かない。仕方がないのでこちらから挑発をかける。しばらくすると向こうもこちらに挑発を返してくる。すぐに戦場は怒鳴りあいになる。しかしどちらも直接の攻撃は仕掛けない。そのままどんどん時間がたつ。ついにほかの家の領主からいつになったら攻撃を仕掛けるのかという催促をもらう。しかし俺は動かない。それからしばらくしてついに戦場に動きが起きた。敵が急に動揺し始めたのだ。もちろん動揺を隠そうとした努力はあるが隠しきれなかったようだ。どうやら先に仕掛けたのは向かい合う敵でもこちらでもなく向こうの裏切る予定だった敵の部隊である。俺はそのことに気がつくとすぐに攻撃を開始させる。うちの部隊はまっすぐと敵陣の中を突っ切る。少し遅れてほかの部隊が後ろからぶつかる。俺はすぐに本陣らしきところを探しならがら部隊を動かす。しかし敵の壁は厚く簡単に奥に進めない。仕方がないので少し部隊を後退させ隊を解きほかの部隊同様、混戦に参加させる。俺も自分の槍で敵をついて回る。ここまでくれば戦術など関係ない。どちらが多くの敵を殺せるかにかかっている。日が暮れるまでひたすら戦い続ける。しかし敵は前と後ろからはさまれているためついに崩れる。こちらも敵のことを追撃する余裕はなく逃げていくのを見るだけでそれ以上のことはしない。こうして戦は終わった。

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