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俺の戦記  作者: かな河
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91話 山場(8)

 俺は戦が終わるとすぐ戦場から少し離れたところに置いてきた兵士のことを迎えに行く。そして無事に兵士のことを回収するとすぐにほかの領主たちとの会議に出る。会議の場所に行くとすでにほかの領主たちはそろっていた。野村が言った。

 「今回の戦はとても大きいものになった。各自損害の報告をこの場でしてもらいたいのだが集計は終わっていられるか。」

 みんなが頷く。野村が言った。

 「ではうちから報告していこう。」

 こうして報告が済み全員の合計を出すと全体が4000人、死者約200、負傷者約1000、現在使える兵は2572人とのことだ。ついでにうちの兵の損害は死者13人、負傷者54名、現在の使える兵は333人だ。もちろんここにこれから補充の兵が入る。しかし補充の兵といっても人数をきれいな数字にするために連れてこなかった兵士なのでそんなに多くの数がいるわけではない。しばらくの間、沈黙が起こる。普通に考えるとこれは大勝利といえるだろう。しかしこれが全軍であるということを考えるとやはりこの数の損害を受けたとなると今後について一度、考え直してしまうのだろう。俺は言った。

 「小林殿、現在分かっている範囲でかまわないが、敵の軍で組織だって活動をしている敵はどのくらいの数がいるかわかりますか。」

 「今回の戦で敵がどのくらいの数の損害を受けたかがわからないのでこの戦の前段階となりますがそれでもかまいませんか。」

 「かまいません。」

 「我々が損害を与えた数としては1000人ほどですが長い籠城戦によって士気が低下し動かなくなったり反乱がおこりそうになっている兵などがいて実際に動きそうなのは一万三千人といったところでしょうか。」

 これなら野戦を続ける気になる数字だろうか。もしここで野戦をやめるとほかの領主たちがいったらその時点で俺たちの負けが決まってしまう。籠城戦では勝ち目がほとんどないのだ。しばらくの間、沈黙が続く。ついに野村が言った。

 「一つ今回の戦の全容がはっきりとわかるまでしばらく待つとするのはどうだ。それからのことはしばらくの休憩をはさんだのちに補充できる数のことも考えてきめるというのでどうだ。」

 誰も反対はしない。俺も反対しようか迷ったが実際に一度、所領に帰って休むことができるというのはとても魅力的な提案である。それにこのくらい時間がたってしまうと敵が徐々に集まりだしてどうしたって簡単に勝つことはできなくなってきてしまっている。だから今回は反対をすることもないだろう。こうして俺たちは一度互いの所領に戻り、休むことになった。

 俺が所領に戻ると萩原と石井を呼び出す。萩原たちから俺が留守の間の内政について話を聞く。別に特に大きな問題もなかったのでその話を終わらせると石井には兵の訓練に向かわせる。そして萩原と二人きりになる。

 「少し前にお前は俺に自分の軍を持ちたいといったよな。」

 萩原が答える。

 「はい。その気持ちは今も変わっていません。」

 「なら良い。これからお前は兵の募集に行ってもらう。そして100人の兵を集めろ。しばらくの間そいつらのことを自由に訓練してみろ。」

 「分かりました。」

 萩原はそれだけ言うと下がっていった。俺はその様子を見送ると内政の監査をやり、それから内政用の人材を何人か雇い、仕事につかせた。

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