表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の戦記  作者: かな河
83/132

83話 二城同時攻略

 俺は、伝令の話を聞くと小さく唸り声をあげた。どういうことだ。敵は防衛に徹しているはずではないのか。しばらく考えると俺は伝令の兵に向かってこういった。

 「お前は急いで戻り、松本殿に伝えてくれ。すぐに会議に向かうと。」

 「分かりました。」

 事態はかなり悪いな。近くにいた梅田が言う。

 「敵が全軍出撃を開始するとなるとかなりの問題ですね。」

 「そうですね。どんな心境の変化があったことやら。ではこれでいったん自陣に戻らさせてもらいます。会議の場でまた会いましょう。」

 それだけ言うと俺は自陣に引き返す。どうやら時間をかけすぎたようだ。というのもこの戦争が始まってからすでに半年以上がたってしまったため農作物の収穫の時期までにすでに一か月を切るというところになってしまった。ということで兵糧について深く心配する必要がなくなり、大胆に攻撃を開始し始めたということだろう。そもそも敵が籠城作戦を始めた理由が戦争の序盤に行った兵糧の焼き討ち作戦によるものだったということをしっかりと頭に入れておくべきであった。俺は自陣に戻ると兵たちに撤収の準備を始めさせる。本来ならここで一つや二つ爪痕を残して帰りたいところであるがそんなことをしている余裕は残念ながらない。というか本来ならここは副官にすべてを任せて俺、一人会議に向かいたいところであるがなにせ副官が今回の戦にはいない。たしかに石井や萩原に任せるということも考えたのだが内政がおろそかになってもいけないと思い連れてこなかったのだ。(そもそも石井に関しては連れてきてもたいした働きもできないだろう。)こんなことになるのだったら萩原をぶっつけ本番になるけれど連れてこればよかった。そんなことを考えながら手際よく撤退の準備を済ませてきた兵たちを率いて領土に向かってかけ始める。梅田家の軍はまだ撤退の準備が済んでいないようだ。

 何事もなく撤退を終え、領土から馬にのりひたすらかけて松本家の居城に到達する。使いのものに案内されて俺が会議の部屋に着くとそこにはすでに松本と小林が待っていた。俺は二人に向けていった。

 「他の者たちはどうされた。」

 松本が言った。

 「さすがにまだ来ていなですよ。大野殿が早すぎるのですよ。まだ召集をかけてから4日しかたっていませんからね。」

 「そうですか。それはそうと詳しい情報が欲しのだが。」

 そういうと小林が言った。

 「それはこちらの資料をご覧ください。当家が集めた情報のすべてです。できる限り信憑性が高い情報だけを集めまとめたものをのっけたものです。」

 「ありがとうございます。」

 そういって小林から受け取った冊子はかなり分厚いものである。あまりの冊子の厚さに驚いて俺は小林に行った。

 「これはいったいどこからどこまでの情報を書いてあるんだ。」

 「それはもちろん敵兵の数から城内の配置、敵の今後の動きの予定、兵糧の残りの量まで。」

 松本が口をはさむ。

 「どの情報も良質で見やすくまとめてある。さらに会議の時にあると嬉しい書き込み用の余白までついてるよ。ほんとに出来すぎだよ。」

 俺は慌てて中を確認する。ほんとだ。かなり詳しくそして見やすく書かれている。まだ落としていない城も、俺たちが落とした城の情報も乗っている。これならもっと早く小林家に情報共有を求めればよかった。少しの間、俺はこの冊子を見ることに夢中になった。そしてこういった。

 「これだけの情報があれば相当な対策がとれる。小林殿ありがとうございます。」

 「皆さんみたいに戦働きはできないのでこれくらいの働きでは取り返せません。」

 小林は謙遜してこういっているが小林のこの情報は城の5つや6つに相当するか、それ以上のものであるように俺の目には移った。

不定期な投稿で申し訳ないです。今週からはしっかり週一投稿に戻そうと思います。次の投稿は金曜にできればいいなと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ