78話 宗教と戦争(5)
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僕は城攻めを始めてから数日がたったある日、いつも通り藤田と吉田とともに夕食がてら軍議を開いていた。
「ついに今日は敵に動きがあったぞ。」
藤田が言ったのを聞いて吉田が返す。
「ようやくですか。ここまで耐えられてよかったです。」
藤田が笑いながら答える。
「何を耐えていたのか気になるな。城を間違えて落とさないようにすることか。それとも内乱者が現れてそいつがとんでもなく腹が立つやつだったのか。」
「いや違いますよ。実践で本気で攻めているふりをしながら負けるって相当、神経が参りそうになるんですよ。」
吉田が言った言葉を聞き僕もいう。
「そうですよ、藤田様。うっかり城を落としそうになることが何度あったか考えるといかにこの作業が大変だったか分かるじゃなないですか。」
「そうだな。今日だけですでに三回くらい城陥落寸前という状態になったものな。やっぱり間違えて城を落とさないように気を付けるのは大変なんだな。」
僕と藤田で少し吉田のことをからかう。吉田は少し困ったような顔をしながら言った。
「そんなことよりも敵の動きとはどういうものですか。」
藤田が答える。
「信者から入った情報だがついに敵が本腰を入れてここの救援に来るらしい。軍はすでに終結地の城を出た。距離のことを考えるとどんなに速く進軍しても2日以上はまだ猶予はある。」
僕は言った。
「それなら計画通りに信者を使って敵の援軍を撃破すればいいですね。」
吉田が言った。
「いや今回は思ったよりも簡単に城が落ちそうなので追撃は私の軍にやらせてもらうことはできないですか。」
「待て吉田。お前はすぐに次の戦地に迎え。」
「なぜですか。」
「今回、俺は一つ読みを外した。終結した敵が全員、攻めてくると思っていたのに半数しか来なかった。だからお前はここの城を落とし次第もう一つのほうに向かってくれ。」
「分かりました。」
僕が言う。
「戦が終わった後はどうしますか。最初の計画では手薄になった城を手あたり次第とっていく予定でしたが農民軍も吉田の軍の後を追いかけますか。」
藤田が言った。
「いや、それは無理だろう。今回ここに来る敵の兵の数はおよそ七千人。こちらの数は二万人ほど。確かに数自体は優っているものの一回戦をするごとにものすごい数の人間が死んでいくやり方を取っているのだからたぶん追撃する余裕はないだろう。」
「しかし向こうの城のほうにも敵兵が七千人もいるということはさすがに吉田の軍では落とすことはできないと思いますが。」
「かまわん。しばらくの間、吉田には時間を稼いでもらえればいい。できるよな、吉田。」
「できるだけの時間を稼ぎますがたぶんそんなに長く時間を稼ぐことはできません。もし城から全兵が出てきて一揉みされてしまえば人数差がありますからひとたまりもないと思います。しかし二週間は耐えて見せましょう。」
「それは心強い。二週間の間に農民を集めればいい。今回は領土を大きく広げた後だから人集めを広範囲で行うことができる。領土のほとんどですでに布教活動は済ませてある。俺が一声かければすぐに集めることができる。あとはここでの戦を勝てばいいだけだ。」
藤田はそういうと僕たちのほうを見て何か問題はないかと確認した。
遅くなりました。先週分の回です。今週中にもう一話投稿できるように頑張ります




