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俺の戦記  作者: かな河
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68話 仕上げ(4)

 私は部隊を連れて町の端にある西の城壁に向かう。行軍速度はそこまで速くない。なぜなら行軍速度をあげようにも素人同然の志願兵などがいるためあげられないのだ。うっかりあげてしまうと部隊が途中でばらけてしまうかあである。しかしそのことは初めから分かっていたことなので作戦上に織り込み済みだ。しかしそのことをあらかじめ全軍に伝えているわけではないので元盗賊などから行軍をせかすような使者が来る。しかしそのたびに行軍を止め使者に対応し「これは敵殲滅のため行軍のみならず支配地の民に対し威厳を見せつけるための行軍である」という趣旨の答えをする。そうやって対応することで使者を送るたびに行軍が止まるので使者を送ったほうが遅くなると考え徐々に使者を送らなくなってくる。さらには前の部隊が勝手に進まないように一番前には少数の志願兵たちを置いている。これには二つの理由があり、一つ目は主戦力となりうる盗賊たちを大きな戦いの前に起こると考えられる小競り合いで失う数を減らすためと盗賊たちが早く行軍するのを防ぐ壁にするためである。その甲斐あって何事もなく西の城壁に達することができた。西の城壁に着くと一度休憩をはさむ。別にこの休憩は休息のためのものでなく私の本陣の位置を入れ替えるためのものである。今までは絶対に落伍者が出ないように後ろについていたがここからは別だ。陣頭指揮の取りやすさと偵察を行うために盗賊たちの部隊のすぐ後ろに本陣を置く。さらにここからは部隊からはぐれることもない。なぜなら王宮まで続く大通りをまっすぐに進むからだ。後ろの部隊が多少遅れてもあまり問題ないのだ。部隊内での位置の入れ替えが進むとすぐにまた行軍を始める。今度もさっきと同様にゆっくりとした行軍だ。今度は先ほどの理由と同じものだけでなく、もう一つ私の直属の生え抜きの兵を偵察に行かせているからという理由もある。偵察では熟練の兵のいうことしか信用ならないので実力が未知数の上ばらつきがありそうな盗賊どもや素人の志願兵には任せるわけにはいかない。例え前回の戦いで見直した兵たちであるとしても。情報は戦の勝敗を左右する大事な要素なのだから。だからこそ私は直属の部下は全員、偵察に行かせている。これは中野のほうでも徹底させている。しかしいまだに接敵の報告はどこからも報告がない。しかし当然だ。ここはまだ自分の支配地内にいるからだ。

 境界線へだいぶ近づいてきた。ここらはそろそろ敵に接敵してもおかしくない場所だ。普段から敵の内情を探るためなどの理由で境界線を越えての軍事行動は行われている。しかしそれでも今回は運がいいのか、それとも中野の部隊のほうに敵が回ってしまったためかはわからないが遭遇することなく進み続けることができた。境界線を越えたころ偵察に行っていた兵のうち一人が戻ってきて報告をする。

 「岩田様、敵の治安維持隊の詰め所を発見。」

 治安維持部隊とは警察のことかな。私が返す。

 「敵の場所はどこだ。」

 「この大通りを一本外れた道にあり距離は300メートルです。」

 「人数は」

 「10人ほどです。」

 「30人の兵をやるから先導して攻撃してこい。一兵たりとも討ち漏らすな」

 そういうと俺は後ろにいる志願兵から30人の兵を選び、その兵に渡し攻撃に行かせる。別に10人くらいなら捨てといても構わないが情報が警察から軍に流れたり,後ろから我々のことを攻撃してきても厄介なので叩き潰す。他にも同様の報告をいくつか受けるもすべて敵兵の三倍の数の兵をつけ討たせに行く。さらに歩き続けると別の偵察兵から報告を受ける。

 「この道の前方500メートルに敵発見。」

 「数は。」

 「300ほどかと。」

 なるほどついに向こうの主力との衝突だろう。私は指示を出す。

 「全軍戦闘用意。駆け足はじめ。」


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