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俺の戦記  作者: かな河
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64話 あと一つ(5)

 俺は城の中に流れ込むと兵をばらけさせないように気を付けながらとにかく奥に進んでいく。目につく敵はとにかく皆殺しにしていく。とにかく勢いの任せて城の本丸以外はすべて占領する。できれば子の本丸にいる敵は殺さずに捕虜にして平和的にこの場を終わらせたい。しかし今から降伏勧告を行っても敵も味方も頭に血が上っている状態なのだからうまく交渉ができるはずがない。少し早いが俺は兵士に野営の準備を始めさせた。昨日から寝ずに戦い続けている兵士をしっかりと休ませなければ倒れてしまう。しかしここも敵の目の前であるわけでそこまで心地のいい場所ではない。それに交代制でまた休ませていくわけだから長い時間ゆっくり休ませることはかなわない。しかし何もすることがない時間ずっと見張りをしてろと言うのは疲れ切っている兵には酷な話だろう。

 次の日の朝、というよりももう昼下がりというような時間であるが全軍を配置につける。4時間交代の少し長い見張りの交代を6回ほど繰り返し丸一日の休みを取った兵はだいぶ疲れが取れたようだ。その間に敵は何もせずにひたすらこちらの動きを見続けていた。どうやら向こうはすでに戦意を損失しているようである。俺は講和の条件とその条件をのむようなら今日の日が沈み切るまでに城主一人で城の外に出てくるように書いた手紙を敵の城に矢に括り付け打ち込む。それから松本家に向けて敵城陥落を知らせる伝令に足の早い兵たちを選ぶ。今度はその兵に持たせる手紙を書く。そして手紙を渡しできるだけ急いで持っていくようにと言い兵たちを松本領に向かわせる。それからしばらくし日が沈み始め俺が兵士に対し仕方なく攻撃準備を始めさせようとするころ城の中から城主らしき人が出てきたとの報告が来た。俺はすぐに自分の目で見れる場所に行く。本当に出てきたようだ。俺は向うに対してこういう。

 「両手を上にあげろ。そしてそのまま歩け。」

向うは俺の言うことに従う。本丸と俺の兵士の最前列との距離の真ん中に来た頃に俺は兵士に合図を送る。すると何人かの兵が前に行き城主が持っていた武器を乱暴に奪うとそのまま拘束して俺のところに連れてくる。俺は近くで敵の城主の顔を見る。かなりの年の城主だ。兵に合図を出し拘束を解かせる。そして用意してあった椅子に座らせる。それから俺は言った。

 「手紙にも書いたと思うが貴殿が死に兵士は全員捕虜にするか、ほかのものを全員殺しお前だけ捕虜になるか、この二つを骨にした講和条約以外認める気はない。」

 向うが返してきた。

 「私が死にましょう。」

 「そうか。今後について話す。お前は今すぐに本丸に戻り、兵の武装解除を行え。そして10人一組にして一組ずつこちらによこせ。二組目以降はこちら側の指示を待て。最後にお前は一人で出てこい。勝手に死んだ場合兵は全員殺す。」

 それだけ言うと敵の城主を本丸へと返す。それから自分を二手に分ける。一組目は敵の本丸に対する警戒をさせ、もう一組はさらに二組に分ける。そのうちの一方の兵には捕虜を入れる用の簡単な囲いを作らさせる。もう片方には武装解除してきた敵兵が本当に何も持っていないか確認させる。長期戦になることを覚悟して俺も兵士の手伝いに行った。しかし俺の予想は裏切られた。なんと本丸の中には城主含め13人しか残っていなかったのだ。最後の城主の老人が出てくるのを見ると俺は改めて兵士たちに城中にまだ敵兵が潜んでいないか確認する。しかし一人たりともそれ以上は現れなかった。俺は城主を捕虜の中から呼び出す。

 「これですべてだな。」

 城主が答える。

 「はいそうです。」

 俺は一つうなずき城主に俺が持っていた脇差を渡す。そして刀を抜き城主の後ろにつく。

 「介錯は俺が務めさせていただく。」

 「そうですか。お願いいたします。」

 それだけ言うと自らの腹に短刀を突き刺し、見事に掻っ捌く。そして中身を出しきる。それを見届け俺は首をはねる。

遅くなりました。今週から少しの間、連載ペース上げようと思います。そしてその後また失速すると思います。

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