61話 あと一つ(2)
俺は兵を引き連れ、敵の城へと向かう。今回は特に派手な作戦を取らずに気長に攻め入るつもりである。しかし気長に攻めるといっても別に兵糧攻めをしようという訳ではない。昔、習った城攻めの戦術を一つずつ試していこうと思うのだ。今後はできるだけ有効な策を使わなければならない。しかしそのためにはどの戦術がどれほど有効であるのか、実際に試してみなければならない。とはいえ毎度、余裕のある戦ができるわけではない。つまり今回のように余裕があるときにいろいろ試しておきたいのだ。そうこう考えていると城に到着する。今回の城はそこまで大きくないな。すぐに落とせるかもしれない。まずは城から少し離れたところに野営地を張るといったん兵を休ませる。その後、斥候を大量に出す。おもに斥候に行った兵はもともと師匠の軍で働ていた者たちだ。彼らは長い間、訓練を受け偵察の能力が高い。他のものは食事の支度や投石用の石を拾ったりと野営地内でできることをやらせたり見張りにつかせたりしている。日が沈み始めると偵察に行っていた兵たちが戻ってき始める。俺は全員から話を聞き出す。そして敵の城の様子を地図を作りつつ、そこに書き込みながら情報を整理する。簡単にまとめると
・今回の敵はどかに大きく戦力を固めることはせずに均等に守りを固めている。
・城壁などに大きな損壊は見られない。
・山城である。しかし山の標高はそこまで高くない。
・門に行くための道は大きいものは3つほどあるが小さい道はいくつもあるように見受けられる。
という感じであった。さて今回のような場合試してみたい手はいくつかある。一つは昔、俺が国日城を守るために使った手である火を使った手だ。前回は風向きなどがよく、また懸命な消火活動で自分たちのほうに火が来なかったが必ずしも来ないとは限らない。だからこちらから火を放ってやろうというものだ。しかしこれは今はまだやらない。戦場が膠着してきてどうしようもなくなってきたらやろうとは思うが、しかしこれをやり山をすべて焼き払うと後始末がめんどくさいのでたぶんやらない。遠藤ですら大変だといっていた作業をやろうとは思わない。というか絶対にやりたくない。ということで第二の手。山城の欠点は水を手に入れるのが大変ということ。ここを突き井戸などを破壊して降伏させるという作戦。明日はこれに向けて、もう少し偵察をおこなわせる。そして第三の手。投石機の活用。投石は山の下のほうに自軍が位置する場合は効果が薄く悪手とされているがしかし実際にやったことがある奴なんてここ200年くらいはいないわけで、いたとしても俺はそいつのことを知らない。だからこそ一度やってみる価値があると思う。そのほかの選択肢は一時保留で今回はこれに絞る。
次の日の朝俺は日の出前に起きる。そして兵士たちも起こし、昨日考えたことの準備をおこなう。まずは元傭兵達に偵察を命じる。今回は敵の城全体についてでなく、水脈についての調査に重点を置き調べさせる。さらに昨日よりさらに軽装で行かせる。なぜなら今日は昨日と違い敵に警戒されている可能性が高く、すぐさま逃げられるようにしておかなければいけないので重装備で行くのはで行くのはかえって危ないと判断したからだ。次に残りの兵について。投石機を作るために材木を切らせたり、野営地周辺の警戒に当たらせる。投石機は大きい石を飛ばすためのものでそれなりの装備を作らないといけないので少し時間がかかる。小さいものであれば布の中に入れハンマー投げみたいにぐるぐる回して遠心力を使って投げればいいけど大きくなるとそうもいかないので装備を作る。ちなみに現地でつくるのは運ぶのが面倒というのといつでも作れるかの確認でもある。いつでも作れるようになればそれだけ軽装備で動けるようになる。
遅れ分の投稿です。さて来週こそはちゃんと投稿するぞ。(あんまり期待はしないでください。)次の日曜までにもう一話かければベストだな、と考えています。




