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俺の戦記  作者: かな河
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59話 自分の国(2)

 俺は兵たちを連れて牢の中に入る。いつもとは全く違う時間である。飯時の時間を確定させることで体内時計で眠りの浅くなる時間を確定させている。今は眠りが深いタイミングのはずだ。俺たちは静かに先生の助手の近くに行く。やつが見え始めたところで持ってきた大麻草に火をつける。今回はいつもよりも多めに燃やす。俺とついてきた兵がやつの体を固定する。そして目に黒い布を当て固定する。そして師匠の声に似ているものに声でやつを起こさせる。しばらく声をかけ続けると、やつが目を覚ました。そして

 「主よ。私のことを許してください。状況を呑み込めず敵の手に落ち、そして兵のその後を決まっていても死ぬこともできずのうのうと生きている私のことを許してください。」

 その後も何か言い続ける。しかしかすれた声で俺たちには何を話しているのかはわからない。しかし師匠によく似た声を持つものに俺は合図を出す。するとそいつが話し始める。

 「もうよい。私の話を聞け。お前は今後このまま朽ちていくつもりなのか。私の最後の言葉を無駄にするつもりか。私の考え方はわかっているだろう。私からの給料は止まっているここまでの縁だろう。」

 「しかしよい経営者には腹心の部下一人くらいは最後まで一緒のものですよ。」

 「生きろと言っている。」

 ここまでは俺の予想どうりである。しかしここからは想定外であった。

 「あんたはいつもそうだ。そうやって俺に何も説明せずに命令する。子供のころにあんたに拾われた時からだ。理不尽なことも平気に言いつける。そうやって俺たちと距離を置く。確かにすぐにはわからない。でもあんたは俺たちがあるところよりも近づこうとすると絶対に近づかせない。両親の顔も知らない俺は拾ってくれたあんたのことを父親だと思ってきてたんだよ。でもあんたは俺のことを部下以上の扱いをしない。だから最初は俺もただ兵にするために育てたのかと思ったよ。だけどさ、いつも近くで用兵を見ていると気がつかないわけにはいかなうだろ。あんたが俺たち生え抜きを異常なくらい生かそうとしていることに。あんたの中での俺たちがどういう存在なのかがわかるんだよ。だからこそ俺も部下以上の存在になりたいんだよ。せめて死んだ後くらい部下以上の存在にさせてくれよ。」

 そう言い切ると急にぐったりした。俺はそっと横にいる元先生の部下の兵を見る。そいつは何も言わず上を見ている。俺は先生の声に似ているやつにもう一度同じ言葉を言わせる。

 「生きろ。」

 「そうですよね。あなたがそれを言うことはわかっていた。あなたは私に生きてほしいからこう配置したのですからね。大野に使えますよ。それが私の生きる唯一の道ですものね」

 そういうとしばらくの間黙り込み20分後についに寝た。俺たちはゆっくりと引き下がる。そして牢の外に出ると今回の作戦を手伝ってくれた人たちに礼を言って金を渡してすべてを終わらせる。

 俺はいつもの時間に牢屋に飯を持っていく。そこには師匠の助手が珍しく体を起こし俺のことを待っていた。そしてこういった。

 「大野、あなたに使えようと思う。」

 俺は返す。

 「どうした。急な心変わりだな。」

 「夢を見た。いい夢だった。それだけだ。」

 「そうか。もうしばらくの間は牢にいてもらう。ただし少しづつ自由を与えていく。理由は言わなくていいよな。」

 「そうだな。」

 「名前はなんていう。」

 「萩原 新<はぎわら あらた>。お前の師匠がくれた名だ。」

 「そうか。」

 そういうと俺はこの牢から出た。罪悪感から逃れたくて急ぎ足になるのを必死に防ぎながら。

 それからしばらくたったある日、自殺の可能性がないと判断した俺は萩原を牢屋から出した。その後しばらくの時間を置き石井から軽い手ほどきを受けたのち内政は俺に代わり萩原と石井が受け持つこととなった。

訂正作業は現在進行中です。まだまだかかりそうです。

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