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俺の戦記  作者: かな河
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43話 野戦(4)

 城門の裏には誰もいない。上にいた弓兵は急いで逃げて行ったので本当に俺たちの軍以外に人がいない。不思議だ。物音すら聞こえない。さすがに敵が城内に侵入したのだからほかのところに配置されている兵をこちらに集めたりして対策をとるはずだからこの静けさはおかしい。あたりを警戒しながら前に進んでいくと突然、城の中から大きな爆発音がした。そして本丸が大きな音を立てて崩れていった。どうやら城を破壊したらしい。思いっ切ったことをやるものだ。しかし感心している場合ではない。建物一つ崩落させるのだから近くにいたら巻き添えになってしまう。急いで俺は外に逃げ出す。今来た道を引き返すだけだからすぐに終わる。軍からも被害は出なかった。しかし敵も城を崩して土地をただで明け渡してくれるわけではないようだ。

 「隊列は組まなくていい。戦闘だ。心の準備だけしておけ。」

 俺は兵氏に命令を出す。くそこんなことになるとはな。俺たちが出るとそこには敵の軍が待ち構えていたのだ。どうやらこれはしっかりと罠にはまったようだ。敵も俺たちのように黒く塗って野戦に備えているところを見ると俺が夜中にここを襲うところまで見透かしていたのかもしれない。いやな敵だ。それに俺に似た戦法をとってくるな。敵の隊列を崩し突撃する。唯一違うところといえば相手の中心を突き敵を軍としての機能を奪って敵に逃げ道を与えながらできるだけ犠牲を少なくしながら戦うをモットーにする俺と比べ、囲い込みそして横や後ろからの攻撃で軍を弱体化させる包囲戦を敵はとっているという点だろうか。そんな分析をしていると敵にぶつかる。本当はここからそれぞれの長所と短所を述べるつもりだったんだけどな。余裕がないので後回し。言わない気がするけど。戦況のほうはというと案外うまく味方の兵同士うまく連携をとっている。日頃の調練の賜物だろうか。もう一か月くらいやってないけど。しかしやはり戦況は押されている。末に敵に囲まれてしまっているためどこか適当な位置で包囲を破り逃げ出すかそれとも敵の指揮官の首を切り敵の士気を損失させるのが一番か。俺は試しに何度か名乗り上げてみたけれど一向に返事は来ない。敵に一騎打ちの気はないということか。となるとどこかから敵の包囲を破って逃げ出さないといけない。しかし簡単には抜け出せそうにない。とりあえず俺は兵に命令を出しながら一か所に集めながら戦う。それが終わるともっている火薬すべてに火をつけ煙幕を張る。もはや何も見えなくなる。もともと日の光がない夜にこのようなことをやったのだから当然だ。声で指示を出しつつ適当に刀を振り回し突破を試みる。しかしまあ無理だわな。一応同士討ちは避けるため野戦用に決めてあった合言葉を言ってはいるもののしかし本当に敵なのか味方なのかはまるで見当がつかないし何度も不意を突かれて切られている。俺の指示をしっかりと兵が聞いているのなら同士討ちは起きてないはず。とにかく俺の感覚でとりあえず外だと思われる方向に向け動き続ける。この際多少の犠牲は仕方ない。どんどんと前に進んでいきついに敵の外だと思われる場所に来た。とりあえずは刀に何も当たらない。しかし煙幕でまだ何も見えない。さすがに使いすぎたかもなこれ。何とか煙幕が薄いところまできた。

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