2話 敗走
俺が取り出したのは煙幕用の火薬だ。なんだ、そんなそんなものかよ。と思ったかもしれないがこれを手に入れるのは刀と槍が主役の今かなり手に入れるのに苦労する。その上煙ばかりでて火力はほとんどない。その性質を利用して煙幕にしているわけだ。俺は大急ぎで火を付けるその間にも味方の敗走が始まっていた。なんとか火をつけ火薬を少し離れたところに投げ込む。2秒くらいしてから大きな音とともに白く濃い煙幕が張られた。俺は大きな声で兵にむってこういった。
「夜戦を想定した訓練と同様に行動しろ。ここから4里止まらずに駆け抜けろ。」
こうして俺はなんとか戦場を抜け出した。4里先まで走った後俺は人数の確認をすると俺含め13人、何人かは脱落したようだ。13人のうち3人はここまでよくついてきたなと思うような状態で戦闘によって出されていたアドレナリンが切れた今仲間の手助けなしには動けない。6人は動けはするが片腕がもげていたり両腕が切れた状態など動くのがやっとといった感じだ。残りの俺含めた4人は傷をどこかしらに負っているもののなんとか戦闘には耐えられそうだ。ここは帝国の首都の近くで俺の領地まではだいたい200里ほどある。その途中で山賊や残党狩りに合わない可能性は0に等しい。さっき使った煙幕用の火薬は一つしか持ってきておらずもうない。道は山の中を通るか町中を歩くかの二択だ。言い換えると山賊か残党狩りだ。正規兵が主力になる残党狩りはまず超えられないだろう。よって山賊を相手にしながら進むことになる。山賊程度なら4人しか戦えないけれども20人で攻めてきたとしても勝てるだろう。しかしそれ以上だと対応できない。しかしそれでも進むしか帰る方法はないので山道を歩いた。日没の1時間くらい前に動きを止め自分たちが野営する場所の周りに落ちている木材などを使い簡単な柵を作った。その外側に深さは人の身長の半分くらいの穴をほりめぐらした。その日は何事もなく終わった。
次の日の朝太陽が完全にでた後俺たちは前に進んだ。そしてまた日没が近くなると柵を作り穴を掘る。また朝になると前に進む。それの繰り返しだ。三日目のことだった。ついによる山賊に襲われた。柵と穴が功を奏し最初の何人かの山賊は見張りについていた兵によってやりで串刺しにされた。その後見張りの兵の声により起きた俺や他の兵も加わり更に10人程は串刺しにした。しかしそうするうちに柵が破られ混戦になった。俺は刀に持ち替え敵を斬りつけ、突き、とにかく攻撃してまわった。俺は貴族であるが幼い頃から武術をやらされていたおかげでかなりの腕だ。しかし敵は30人以上まだいそうだ俺はあたりを見回しリーダー格のやつを探す。少し時間がかかったものの発見した。近くに落ちていた石を拾い思いっきり投げつける。頭にうまく当てられた。それからそいつの方に向かって敵の山賊のふりをしながら近寄り近距離で石をもう一発当ててから大声で
「勝負せよ」
と叫びながらそいつを斬り倒す。実際は頭に石を二発くらいふらついているところを斬るだけなのだが遠くにいる人にはそんなことはわからずただ指揮官が周りの護衛とともに斬られたと勘違いする。そこからはあっという間だった。指揮官がいなくなった山賊は逃走しだした。
翌日の朝被害を確認するともともと動けなかった兵が二人死んだのと食料のほとんどが奪われていた。なのでその日は狩りなどの食料の調達にあてた。そんなことを繰り返しながら40日近くかけながら我が領土についた。その間に兵の数は生きているものは5人程になっていた。
作中の1里は現実世界の4キロだとして書いています