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俺の戦記  作者: かな河
128/131

128話 三勢力(3)

 俺が会議が終わるとすぐに城の戻る。夜が明けるのを待ち、遠藤に伝令を出し城に呼び出す。遠藤は一時間ほどするとこちらに現れる。

 「おはよう、大野。会議の結果報告か。」

 遠藤にいわれ、俺は答える。

 「もちろんだ。会議の結果はどうだったと思う。」

 「反対する大きな理由も見当たらないし最低でも不可侵条約、最高でどちらかが侵略された時に参戦義務の生じる条約。でもどちらか一方が第三国との戦争をする場合に中立を守ることを義務づける条約が妥当なとこかな。」

 「第三国との戦争時に軍事的には中立、非軍事分野での支援を義務付けるくらいの内容を俺は狙っていたけど不可侵条約を提案することで決まったよ。」

 「意外だな。最低でもといったが実際に不可侵条約で止まることはないと思ってたよ。」

 「小林家が想定以上に強く反対した。松島家を理由に強く反発していた。聞いているとそこまで心配する必要はないと思うような内容だけれど七ヶ国同盟の領主は基本的に小林がもたらす情報でしか外部を見ることはできない。だから他の領主たちも小林家がそこまで強く反対するなら深く南とは関わらないようにするべきだと判断したようでこれ以上の内容にすることはできなかった。」

 遠藤は懐に手を持っていき、途中でやめる。俺は気にせず話を続ける。

 「俺としては南の皇帝と松島家を争わせて、その間に力を蓄えるという想定だったのだがこれでは南のほうが松島家にすぐに制圧されてしまいかねないな。」

 「いくら松島家相手でもそこまで簡単に負けるとは思わないよ。」

 「このことは今、考えたところでどうにもならないな。とりあえず遠藤は俺の考えを頭の中に入れて向こうでは動いてくれ。」

 「分かった。僕はこれでいったん宿のほうに戻るよ。結論を報告したりといろいろやらなければならないことがある。」

 そういうと遠藤は挨拶だけ言うとすぐに宿に去っていった。俺は遠藤に任せればよかったな、と愚痴りながら内政で俺がやらなければならない、いくつかの仕事をこなす。その後に吉岡の城へと戻り兵站の管理の仕事にまた取り掛かる。




 私は小坂から届いた手紙を読む。中身は要約すると貿易港とその周辺の都市を占拠しろという内容の手紙とその都市の防衛状況が詳しく書きこまれた、詳細な地図である。ついに来たかと、私は軽くため息をつく。別に落とせと言われて落とせないことはない。しかしとてつもなく大きな被害が出てしまう。なぜなら市川家にとってその貿易港は富の源泉であるから周辺の都市と合わせて防衛を首都以上に施しているのである。しかし小坂から催促がきてしまった以上やらないわけにはいかない。夜に私は自前の諜報部隊を自分の天幕に呼び、命令を出す。

 「敵の傭兵に裏切り工作を仕掛けろ。失敗してもかまわない。できるだけ敵の城内に不安の種をまけ。内部崩壊を狙って動け。」

 兵たちは命令を聞くとすぐに動き出す。次に中野と黒田を呼び出す。私は二人に向かっていった。

 「今回の戦いはうちの生え抜きの兵士を軸に戦うことになる。今のうちに隊を分けておいてくれ。生え抜きのほうは中野が率いろ。そのほかは黒田が率いろ。」

 中野が言った。

 「作戦の内容は決まっていますか。」

 「決まっていない。ただお前達には主に諜報部隊の後方支援にあたってもらう。」

 「諜報部隊ですか。」

 「諜報ではなくかく乱をやってもらうことにしているがな。」

 黒田が言う。

 「私が率いる軍のほうはどうするのですか。」

 「基本的には私の護衛になる。」

 「分かりました。」

 「二人ともあとは頼んだ。」

 私は二人を天幕から出すと作戦を一人で立て始める。

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