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俺の戦記  作者: かな河
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12話 つかの間の平和

 七ヶ国同盟の今後の方針を話し合う会議が始まった。会議の内容はかなり長くなった上になんどもおなじことを繰り返し話していたのでここでは省略してまとめたものを書く。まず軍がボロボロでとても軍事なんて考えられない俺と七ヶ国同盟のなかに囲まれていて簡単には攻め込まれる心配のない松本はしばらくのあいだここでまわりの国の反応をみながら攻めるかは考えようと主張し市川家に接している吉岡とその近くにある野村と小林は市川家に攻め入ることを主張してさらに浜野と梅田は自分たちの領土に接している元統制派が支配しようという意見を出すありさまだった。とにかく議論が一日で終わらずさらに議論を重ねていくうちに情報不足や準備不足がでてきて結局当分の間は互いに援助しつつ軍備を拡大しようという話に落ち着いた。しかし早急に軍備を拡大するということで一致し市川家とは和平が結べないかどうか小林家がしらべることになった。統制派には浜野家と大野家、梅田家が各々で大きな動きがないか見張ることになった。松本家は同盟各国が集めた情報を整理して送る作業と俺のところの軍がいないことを危惧して俺に軍を100人貸すことになった。

どうもこの兵は表向きは同盟諸国の安全のためとのことだがどうやらこの間のうちの兵の戦い振りを見て練度の高い兵だと気づいたらしく貸された兵を練兵した上で返さないといけないらしい。まあその兵たちの食料は松本家が出すらしいし兵力が少ない俺からすればたとえ他家の兵を練兵するという面倒をしなければならないとしてもありがたい。そして俺は良い成果を上げられたことを喜びながら帰ることになった。領地で遠藤が同盟を結ぶためにおこなった諸々の代償を払うことになるとも知らずに。


 俺が帰ると遠藤がすぐさまでてきた。そしてこういった。

 「大野、少し相談があるんだけどいいか。」

 「かまわないけど。しかし遠藤が相談なんて珍しいな。女に告られて傷つけない振り方でも聞きたいのか。先にいうがそれなら俺は知らないぞ」

 「冗談はいいからとりあえず来てくれ。」

 かなりきつくにらまれた。しょうがないじゃん。実際遠藤からの相談なんて10歳くらいのときに似たような質問を受けたのが最後の気がするし。遠藤は俺の執務室に入っていき扉の鍵をしめた。執務室は基本的に人がいるときは鍵は開けっぱにしている。その鍵を閉めるということはかなり情報の機密性が高いものを扱う場合ということだ。とすると遠藤に隠し子でもできたのか。同盟を結びに行く過程で出会ったどこかの貴族の娘と相手の親などに内密に子供を作ってしまいそれがバレ外交問題に発展しそうとか。遠藤が話し始めた。

 「この間の同盟を結ぶ旅の途中でいくつかの貴族の内輪もめに首を突っ込んだんだ。その貴族たちは統制派の軍に反抗するかどうかで揉めていたんだ。少しでもここに統制派の軍が到着するのを遅らせるために反抗すると言っていた奴らに知恵を貸したり反抗するのに反対している奴らを説得したりしたんだ。そのときにもし負けたとしてもうちの領地に逃げてきて再起をはかればいいと言ってしまったんだ。負けたらその場で全滅させられると考えていたから深く考えずに言ってしまったんだ。だけどいきのこったその時の貴族たちやその領地内に住んでいたひとたちおよそ300人がここ何日かにこの領地について難民として受け入れてほしいと言ってきているんだ。」

 なるほど。これはかなり大変な状態になったぞ。隠し子がどうこうなんて考えていた俺はとても恥ずかしい。確かに追い返すことはできる。しかし遠藤が難民として受け入れると発言したときは遠藤に全権をすべて預けていたわけで、もしその約束を反故にすると我が家の信用が堕ちる。俺は遠藤に聞いた。

 「逃げてきた300人の内何人が貴族なんだ。」

 「だいたい10人くらい。」

 「かなり多いな。確かに俺の両親が早くに死んだせいで少し少ないというのもあるけどうちの一族なんて5人くらいしか貴族として認めていないぞ。後はすべて一般人と同じだ。それに戦争で何人か死ぬと思うのだが。」

 「それについては3つの貴族がきているからだ。」

 「兵はどのくらいいる。」

 「だいたい100人くらい。後の貴族を除いた200人は基本的に元農民だ。」

 「わかった。とりあえずうちの領内に入れろ。一般人には国日城の修理などを手伝わせるとしよう。兵と貴族に関してだが貴族を俺の配下にできないか説得してみよう。そうすれば兵も手に入れられる。だめなら貴族を不慮の事故を装い暗殺しよう。そうすれば結局兵たちも俺につくしかなくなる。今は一兵でも多く必要なときだからこのやり方が一番だと思う。」

 「その方法しかないのか。」

 遠藤はそういいフラフラと部屋をでていった。たぶん今まであまり失敗してこなかったのでかなりのショックを受けているのだろう。さて明日辺りから貴族たちに話を持ちかけよう。暗殺という手は使わずに済むといいのだけど。

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