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俺の戦記  作者: かな河
116/131

116話 始動

 私は各組との演習を行い終わると小坂に呼ばれる。各組との演習はそこまでの収穫はなかった。この前の大規模な演習で見たままの能力を各組とも発揮してくれたのでいい意味でも悪い意味でも新しい発見はなかったのだ。これで能力を信用することができる兵士ができたのはいいことなのかもしれない。小坂のもとに行くとほかにも軍の幹部は待っていた。今回は前回会うことができなかった二人の幹部もいる。小坂は私がきて全員そろったことを確認すると話を始めた。

 「この間、松島様の前で会議が行われ今後の方針が決まった。」

 ここで小坂は一息おいて私たちのほうを見る。私以外の面々は緊張した顔をしている。小坂が続ける。

 「今回の方針で松島家の拡大を行うことに決まった。これに伴い軍部は対外戦争を起こし領地の拡大を行うようにとのことだ。」

 幹部の間に動揺が広がる。これまでに実戦経験がほとんどないようなものと聞いているのでそれも仕方がないのだろう。

 「今回、集まってもらったのはどちらの方向に拡大をするかという話をするためだ。」

 つまりはこの島の真ん中に東から西に大きな山脈がある。その山脈の南を攻めるか北を攻めるかを話したいということだろう。最初に口を開いたのは諜報担当の者だった。

 「今は南に行くにしても北に行くにしても絶好の機会です。南では元皇帝による宗教国家が拡大しその対応にどの領主も追われている。北では七ヶ国同盟という小国を中心とした同盟が北の大国、市川家とことを構えている。そのためどちらに出ても我々が対応されるのは少し先のことになる。」

 真ん中に広げられた地図を指で指しながら言った。

 「そうか、目先の戦いはどちらも変わらないか。ならば統一のための戦いに考えを変えていこう。」

 小坂がこういっても何も案が出てこない。当たり前であろう。基本的にここにいるのは戦略家ではなくて兵士たちの指揮をとらせれば一流であるという戦術家だ。優秀な戦術家であるだろうから作戦くらいの概念までは考えられるかもしれない。しかしそこからさらに離れたところにある概念である戦略ともなるとさすがに専門外もいいところといった感じもするので仕方がない。ここはたぶん私が何かを発言するのを待っているのだろう。しばらく考える。私は言った。

 「北に出るほうが良いでしょう。市川家は大国だ。今のうちに潰さなければ後々、面倒になると思います。それに対し宗教国家というものは長く続くかはわからない。案外、教祖の元皇帝が死ねばあっけなく崩壊するかもしれません。さらに南の宗教国家は周りをすべて敵に囲われている。それに対し市川領の西側には松島領との摩擦を避けるために併合しなかったであろう小国を除き我々以外の敵はない。いかに七ヶ国同盟が強かったとしても長いこと戦い続けることはできない。しかも市川家は領土内にこの島屈指の貿易港を備えており、領土面積以上の国力を備えている。このことを考えると北に行き、市川家を討伐することが大事だと思います。」

 私が地図を使いながらの説明を終えると周りは納得した顔をしている。しばらくの間はいくつかの質問がされたが、しかし最終的にこのことで決まり、詳細を詰めてから会議は終わった。

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