表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の戦記  作者: かな河
114/131

114話 演習(2)

 私は第二の防衛線にいる隊のうちのいくつかに第一の防衛線に援軍に行くように伝令の兵を通じて指示を出す。そうしていると麓のほうからおおきな太鼓の音がしてしばらくすると敵の撤退が始まる。どうやら第一波は終わりらしい。私はすぐに陣の立て直しを図る。第一線は放置しその内側にある第二線を直す。第一戦は消耗が激しすぎて使い物にならない。私は第一線にいる兵に陣の内側に入るように指示を出す。麓から第二陣がやってくる。攻撃の間が思っているよりも短いな。まだ日が昇り切っていないのに三度目の攻撃か。物量で圧倒してくるのが松島家のやり方なのだろう。今度は盾を持った隊が来る。どうやら押し合いで陣を破壊するつもりのようだ。三方から上りあがってくる敵を見てここが農民軍の真価が出るところだと確信する。この攻撃に耐えられれば実戦でも大いに活躍するだろう。私は第一線から引き揚げてきた兵たちを固めて第三線のすぐ後ろに配置する。そうこうしている間に第二線のほうでは押し合いが始まる。こちらのほうが高い位置にいるのでほとんどの場所で拮抗状態後に持ち込んでいる。しかし盾兵の組の中にも実力差があるようで場所によってはかなり押し込まれ始めている場所もある。第三線の隊のいくつかに戦況がまずいところに援護に行かせる。長いこと押し合いが続き、日が昇り切る。するとついに盾兵が引き始める。陣の形は大きく崩れていない。しかし盾兵と入れ替わりで上りあがってくる騎馬隊が来るまでに陣を調整することは不可能である。騎馬隊がぶつかるとあちこちの第二線の隊が崩れる。私が第三線の部隊を次々に派遣し何とか崩壊が起きないようにする。しかし下から槍を持った男たちが上ってくるのを見てこれはまずいと感じた。向こうの司令部は先ほどと全く同じことを繰り返しているだけだがそのことでこちらはかなり消耗してくる。騎馬隊と入れ替わるようにして歩兵同士の戦いが始まる。先ほどとはすべて違う組を使ているようだ。そしてその攻撃をどうにか耐えきるとようやくしばらくの間ができる。第二線をなくし第三線とその後ろにいるあまりの兵という形にすると私は遊撃軍に合図を出す。しばらくすると麓に向かって遊撃軍が駆けだす。さすがにこのまま戦い続けては負ける。ここはひとつ相手を混乱させるとしよう。遊撃軍は敵の陣の中を強引に突破すると敵陣の後ろにまわり、攻撃をしては引く。攻撃しては引くを繰り返し始めた。しばらくすると騎兵隊に追い回されるようになったがそれでもうまくやる。しかし相手の気をいつまでも引き続けることはできず、山頂に向けて軍を繰り出した。武器の統制はないから暗くなって連携がとりずらくなる前に全軍突撃して一気にこの演習を終わらせに来たようだ。さすがに疲れのたまっている農民兵にはこの攻撃を防ぐというのは難しく陣は崩れる。それでも私が指揮をする以上、簡単に降参はしない。近くにいる兵士を中心に何とか密集陣形を作り耐え続ける。隙を見て何とか敵の間を突破し少し離れたところまで逃げ、それから降参する。日はまだ暮れていない。松島家の軍はよきものであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ