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俺の戦記  作者: かな河
109/131

109話 対市川家戦(3)

 俺は前線に戻ると少人数の護衛とともに敵の城の偵察を行う。さすが町一つを中に入れているだけありものすごく大きい。さらには城壁が高く、中の様子を伺うこともできない。しかし城壁の上でこちらを見張っている兵士の姿は確認できたので護衛の者に指示を出しながらもらった地図に見張りの兵の配置や気づいたことを書き込ませる。二日ほどかけてゆっくりと城の周りを一周した。

 俺は城を偵察した後、吉岡のもとに来た。俺は言った。

 「この城を落とすことは至難の業です。すぐに落とそうとするなら犠牲を覚悟のうえで力任せに押し込むか、敵の中に内通者を作るしかないと思います。」

 「その程度の案ならだれでも思い浮かぶ。他に何かないのか。」

 「兵糧攻めにするのがいいかと思います。」

 「それでは時間がかかりすぎると思う。」

 「もちろんです。今回の狙いはこの城に向かってやってくるであろう救援軍を迎え撃ち、敵の戦力を削ることです。」

 「なるほど、しかしそれでは長期戦は避けられない。」

 「吉岡殿、市川家相手に短期戦で済むと考えてはいけません。この戦は我々が市川領の一部を奪い取って引き上げたとしても終わりません。必ず向こうは攻めてくる。そうすれば負ける。そうならないためにはこちらが攻め続けなければならない。どう頑張ってもこの戦は長引きます。覚悟してください。」

 俺が言い切ると吉岡は少し間をおいてから言った。

 「そうだな。今は攻め続けなければならない盤面だものな。わかった。今日、軍議を開きこの策を提案してくれ。私がほかの家に根回しはしておく。」

 「ありがとうございます。」

 こうして俺たちの基本方針は決まった。その後行われた会議で各々の役割の兵をどこに配置するかを注意深く話し合った。この作業はかなり難航した。城には門が四つありそこの前に兵を配置することにしたもののほかの門の前の軍との連携がとりずらい。そのため敵の救援軍と戦う時にほかの門からくる応援が遅れる可能性が高い。だからほかの敵の城の方角にある門の前にどこの家もつきたがらず、なかなか決まらなかったのだ。しかし最終的にはその門に浜野家と松本家がつくことになり話が決まった。

 俺は街道の警備に戻る。あちこちに配置した兵に話を聞いて回るとかなりの数の残党を街道沿いで切ったといっている。しばらくの間、俺は荷物の整理や小林に調べてほしい情報も表を作ったりして時間をつぶす。それも終わるとあちこちを見て回り問題が起きそうなところを改善して回ったりする。しかしそれでも時間が余る。戦序盤に起きた城攻めの後方支援とは暇なものである。結局は持ってきた軍略の本を読みながら今後の作戦について考えるという作業で時間をつぶす。会議から二日がたったある日、萩原が帰ってきて言った。

 「ここらの残党狩りは終わりました。」

 「ご苦労だった。兵はもう休ませてあるか。」

 「はい。」

 「そうか。何かほかに報告はあるか。」

 俺はここで異常ありませんという言葉を聞いてまた本を読もうと思っていたのだがそうはいかなかった。

 「はい。近くに国境警備隊が集まり始めています。」

 萩原の言葉に驚いて大声で俺は言った。

 「残党ではなくということか。」

 「はい。近くに詰め所から集まってきたようです。」

 「規模はどのくらいだ。」

 「500人ほど。しかしまだ増えている可能性はあります。」

 「兵を集めろ。さっきまで戦っていた兵はいい。お前は留守の間を任せる。今回は俺に行かせろ。」

 「分かりました。」

 こうして俺は用意をすぐに済ませ出陣する。

いつもより早いですが今週分の投稿です。

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